2012年6月8日 ECHA ニュースアラート
欧州化学物質庁(ECHA)と加盟国規制当局(MSCAs)
REACHにおけるナノ物質の更なる評価の道を整える


情報源:ECHA News Alert, 08 June 2012
ECHA and MSCAs pave the way for further assessment of nanomaterials under REACH
http://echa.europa.eu/web/guest/view-article/-/journal_content/
e10a7d39-da18-4002-80bd-8a5afd0824f1


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年6月15日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ECHA/120608_ECHA_two_day_workshop_nano.html


 二日間のワークショップでECHAは、ナノ物質登録書類一式の評価についての経験を加盟国規制当局(MSCAs)、欧州委員会(EC)及び認定利害関係者と共有し、またナノ物質に関するECHA作業部会を立ち上げることを提案した。2013年5月31日までにナノ物質を登録する必要のある登録者を支援することを目指して、既にナノ物質を登録した登録者から収集した最良の手法が近々、公表されるであろう。ナノ形状の物質の評価において、ECHAは基準としてナノ定義に関するEUの勧告を使用するであろう。

【ヘルシンキ 2012年6月8日】ECHAは、REACHにおけるナノ物質の最初の経験に関するワークショップを評価プロセスに重点を置いて開催した。二日間のワークショップで、ECHA、MSCAs 、認定利害関係者、及びECは、ナノ物質は一般的に登録書類一式の中でどのように特性付けられたかについて討論した。現状では、登録の範囲(すなわち、ナノ形状のものが含まれているのかどうか、もし含まれているならどのくらいか)は、しばしば不明確であり、提供されたナノ特有の情報(例えば、物質特性化、ハザード、曝露、リスク)のレベルは、大いに改善の余地があることを示している。MSCAs から参加した50人以上の専門家らは、ナノ物質の安全面に対応するためにREACHが提供する規制プロセスとともに、科学的及び技術的課題を討論した。

 ECHAは、科学的不確実性とREACHによって提供される法的枠組みを考慮しつつ、ナノ物質登録書類一式中の現状の情報要求に対応する共通のアプローチに関してMSCAの代表者らと合意した。同ワークショップは、ECHAが更なる登録書類一式の評価活動を継続する道を整えつつ、近い将来、評価プロセスの下でナノ物質にどのように着手するかに関する勧告を出した。ECHAは、物質評価における基準としてナノ物質の定義に関する欧州委員会の勧告(訳注1)を実施するとし、登録者は先を見越してこの定義に基づいて彼等の物質の特性化を行なうよう呼びかけている。ECHAの第一の目的はナノ物質の物理化学的特性を明確にすることであり、利用可能なデータを得るためにREACH手法を使用するか、又は新たなデータの生成を要求することである。ワークショップは、登録者との協力的で建設的な相互作用を統合したそのような段階的なアプローチが、REACHにおけるナノ物質のさらなる安全評価に向けての第一歩であることを確認した。

 REACHにおけるナノ物質に関連する科学的及び技術的原則に関する助言を提供するであろうナノ物質に関する作業部会を立ち上げるという計画がワークショップで議論され、合意された。このナノ物質に関する作業部会は独立して活動するが、(既存のPBT作業部会が既に行なっているのと同様に)関連するECHA委員会に報告する。この作業部会の権限はMSCAsと統合されるであろう。

 ECHAは、ナノ物質を登録した関連利害関係者から現在、情報を収集中であり、またワークショップに先立って開催された最初のGAARN(既に登録されたナノ物質のグループ評価)会議で議論された最良の実施方法を広めることを意図している。この会議で共有された実際的な課題と成功事例と、最近更新されたナノ物質に関する指針(訳注2)の支援が、次の登録期限(訳注:2013年5月31日)までにナノ物質を登録することを意図している登録者等の作業に役立つことをECHAは期待している。これらの最良の実施方法は今年の夏までにECHAのウェブサイトで公開されるであろう。

更なる情報



訳注1
訳注2


化学物質問題市民研究会
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