IPEN 2022年10月20日
世界の健康擁護団体
”我々の子どもたちは鉛塗料の廃止を待てない”と言う

40か国からの IPEN メンバー 50団体が
国際鉛中毒予防週間の呼びかけに参加し、
”鉛中毒にノーと言おう”

情報源:IPEN 20 October 2022
Global Health Groups Say: "Our Kids Can't Wait, End Lead Paint Now!"
https://ipen.org/news/global-health-groups-say-%E2%80%9Cour
-kids-can%E2%80%99t-wait-end-lead-paint-now%E2%80%9D


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2022年11月17日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/IPEN/221020_IPEN_Global_
Health_Groups_Say_Our_Kids_Cant_Wait_End_Lead_Paint_Now.html

 IPEN と 40か国からの 50 のメンバー 団体は、この 10月 23 〜 29日の国際鉛中毒予防週間 (International Lead Poisoning Prevention Week / ILPPW)(訳注1)に向けて、WHO と UNEP の共同プログラムである、鉛塗料を排除するためのグローバル・アライアンス(Global Alliance to Eliminate Lead Paint / GAELP)(訳注2)に参加し、鉛塗料の使用をなくすための世界的な行動を通じて、子どもたちの身体を保護することの緊急の必要性を強調している。 IPEN は同アライアンスの創設メンバーであり、その諮問委員会のメンバーである。今年の ILPPW イベントは、世界中の大部分の国で使用され続けている鉛塗料によるものを含め、進行中の鉛中毒の脅威に世界的な注目を集めるための、毎年 1 週間にわたる取り組みの 10周年を記念するものである。

 ”我々は、鉛塗料が子どもや家族に与える有毒な脅威について長い間知っており、多くの国が数十年前に鉛塗料の販売を終了した。しかし、世界のほとんどの地域では、鉛塗料がまだ使用されており、何百万人もの子どもたちの生涯にわたる健康への脅威となっている”と、元 IPEN 共同議長であり、IPEN の鉛安全塗料認証プログラムの開発責任者であるマニー・カロンザは述べている。”我々の子どもたちは、鉛塗料をなくすためにさらに 10年待つことはできない。子どもたちのこの中毒を止めるために、緊急の行動が必要である。”

 国際鉛中毒予防週間(ILPPW)に関する IPEN メンバー 団体の活動の完全なリストを参照するにはここをクリック

 2009 年以来、IPEN メンバー 団体は 59 か国の 4,000 を超える塗料について 100 以上の研究を実施しており、鉛塗料が依然として低中所得国で広く販売されていることを示している。

 何十年にもわたる証拠は、鉛への暴露に安全なレベルがないことを示している。鉛は、身体の複数のシステムに影響を与える強力な毒物であり、特に幼い子どもには有害である。低用量であっても、鉛は子どもの脳の発達に影響を与え、IQ の低下、注意持続時間の短縮や反社会的行動の増加などの行動の変化、学業の低下をもたらす可能性がある。鉛への暴露は、腎臓、生殖器、免疫系にも損傷を与え、貧血や高血圧を引き起こす可能性があり、鉛の神経学的及び行動への影響は、通常、不可逆的である。

 鉛塗料の使用をやめるために、IPEN は次のことを求めている。
  • 全ての塗料での鉛の使用を禁止する規制を採用するための全国的な複数の利害関係者による行動。全国的な禁止には UNEPモデル法及び鉛塗料の規制に関するガイダンスで推奨されているように、全ての種類の鉛塗料を含める必要がある。

  • ロッテルダム条約の下にクロム酸鉛をリスト化すること。塗料に使用される鉛を含む顔料であるクロム酸鉛が、事前の知識や同意なしに世界中で取引され続けている場合、国家的な禁止措置を講じている国でさえ、執行が困難である。クロム酸鉛のリスト化により、条約の事前の情報に基づく同意 (PIC) 手続きが開始され、クロム酸鉛と鉛塗料の輸入を拒否するために必要な情報が各国に提供される。

  • 既存の鉛塗料規制の継続的な監視と執行。全国的な鉛塗料の禁止には、法令の執行と不履行の結果についての条項を含める必要がある。

  • 塗料業界のより強力な行動。塗料の生産者は、子どもと家族の健康を第一に考え、鉛塗料の販売活動を停止する必要がある。会社は自社の製品に追加の鉛が含まれていないことを消費者に保証するために、独立した第三者認証である Lead Safe Paint @ 規格(訳注3)を採用することができる。

  • 世界的な鉛塗料の廃止に特化した追加情報源。これには、鉛塗料を排除するためのグローバル・アライアンス(Global Alliance to Eliminate Lead Paint - UNEP)が 各国政府の鉛塗料規制の策定と実施を引き続き支援し、各国での戦略的活動の支援することが含まれる。

 過去 10年間で、約 50 か国が鉛塗料に関する規制を採用したか、その過程にある。 IPEN 参加 NGOs は、これらの法律を前進させる上で重要な役割を果たしてきた。しかし、この前進にもかかわらず、さらなる作業が緊急に必要とされている。鉛塗料が禁止されている国でさえ、鉛塗料を使用した古い住宅は、何百万人もの子どもたちに鉛関連の健康問題を引き起こし続けている。そのため、世界中で鉛塗料を廃絶するための行動が急務となっている。現在販売されている鉛塗料は、今後数十年にわたって子どもたちの健康を脅かすことになる。

関連情報:IPEN Urges Action to End the Use of Lead Paint

訳注1
  • International Lead Poisoning Prevention Week 2022 (World Health Organization)
    鉛中毒にノーと言おう  第 10回国際鉛中毒予防週間 (ILPPW) は、2022 年 10 月 23〜29日に開催される。
     今年のキャンペーン「Say No to Lead Poisoning」の焦点は、政府、市民社会組織、医療パートナー、産業界などに、鉛曝露の許容できないリスクと行動の必要性を思い出させるものである。 このキャンペーンは、ガソリン中の鉛の使用を禁止することに成功したこと、および塗料、特に子供が家庭、学校、遊び場でさらされる塗料中の鉛の使用を制限する法律を確立する上で多くの国が達成した進歩に基づいている。
訳注2
  • Global Alliance to Eliminate Lead Paint (UN Environment Programme)
     鉛塗料を排除するためのグローバル アライアンス (鉛塗料同盟) は、国連環境計画 (UNEP) と世界保健機関 (WHO) によって形成された任意のパートナーシップであり、鉛を含む塗料の段階的廃止を促進することで鉛への暴露を防止する。 同アライアンスは、米国環境保護庁 (US EPA) が議長を務め、コロンビア、モルドバ共和国、ケニア、タイ、国際汚染物質廃絶ネットワーク (IPEN)、健康と環境連合(HEAL)、アメリカ法曹協会、法の支配イニシアチブ (ABA ROLI)、世界コーティング評議会 (旧 IPPIC)、及び Pacific Paint (Boysen) フィリピン (塗料会社)
訳注3
訳注:子ども達の鉛中毒(レイチェルニュース)


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