EurActiv 2006年6月9日
アメリカは EU の REACH を後退させるために反 REACH 連合を組織 日本、韓国、豪州、インド、ブラジル、チリなど親米13カ国 情報源:EurActiv, 9 June 2006 US mounts coalition to defeat EU chemical safety reform (REACH) http://www.euractiv.com/en/trade/us-mounts-coalition-defeat -eu-chemical-safety-reform-reach/article-156044 (訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年8月22日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/euractiv/06_06_09_US_mounts_coalition.html 概要: アメリカは、REACHは 開発途上国と中小企業にリスクを及ぼすと主張し、通商を阻害するものと非難して日本、インド他10カ国を含む諸国からなる反 REACH 連合を結成し、2006年6月8日に共同声明を発表した。 背景: EUでは、閣僚理事会が昨年12月に(2005年12月13日)REACHに法案を採決して、第一読会が完了した。法案は、今年中に第二読会を行うためにEU議会に戻された。 REACH は、現在、広く家庭用や産業用製品に使用されている約100,000種の化学物質のうち、約30,000種についてその安全性のチェックを行うための法案として2003年に提案された。欧州委員会によれば、それらの物質の99%はより厳格な評価が求められることとなった1981年以前に市場に導入されたので、概略だけの不完全な安全情報しか持っていない。 論点: EUの最大の通商パートナーのいくつかを含む13カ国の代表が6月13日に共同声明を発表し、化学物質に関するEUの規制案(REACH)を見直すよう EU に要求した。 駐EU・アメリカ商務省(AmCham EU)で発表された共同声明は、これらの諸国が REACH は潜在的に通商障壁となると考えていることについて焦点を合わせている。加盟国は、オーストラリア、ブラジル、チリー、インド、イスラエル、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、シンガポール、南アフリカ、タイ、及びアメリカである。 訳注:この13カ国うち、ブラジル、インド、イスラエル、南アフリカを除く9カ国は、2003年8月23日付けで「欧州新化学品規制案に懸念を表明」したAPEC(アジア太平洋経済協力会議)加盟国である。 この声明は、今年の4月に駐EU・アメリカ商務省(AmCham EU)によってなされた、REACH のある部分は不必要な通商の障害となり、通商に対する技術的障壁(TBT)2.2条に基づく WTO 紛争の可能性を開くものであると主張した声明に続くものである。 これらの国々は欧州議会議員に対し、”制定を見直し”、特に将来ヘルシンキに設けられる欧州化学品局における化学品の認可と登録を行う場合における”範囲の再考”を検討するよう要求している。 彼らは、”規制手続きの不透明”を非難し、REACH が特に発展途上国における中小企業に及ぼすであろう高いコスト負担に関する懸念を強調した。 立場: これらの主張は、環境 NGO である WWF によって払いのけられている。”この声明は陳腐で時代遅れであり、第一読会で理事会と議会によって REACH になされた変更を考慮していない”−とその反論声明の中で述べた。 中小企業の懸念に関しては、根拠がないと WWF は述べている。WWF は、REACH のコストを主に負担するのはいくつかの大量化学物質を輸出する巨大な多国籍化学物質企業であり、開発途上国自身や各国の中小企業ではないことを示した欧州議会の開発委員会による報告書を指摘した。 ”その分析によれば、開発途上国で事業を行う化学会社に対するコストは11年間でわずか5,000万ユーロ(約70億円)と見積もられている”−とWWF は述べた。 EurActiv の質問に対し、欧州委員会は、通商に対する技術的障壁関する2.2条への遵守について、 WTO 及び自身の法務部門に問い合わせたと述べた。”我々は REACH が WTO 規則にどのようにして抵触するのか理解できない”−と環境担当報道官バーバラ・ヘルファーリッヒは述べた。 最新情報と次のステップ:
訳注1(関連情報/当研究会訳)
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