IPEN 2016年9月20日
POPRC12 における PFOA についての発言

情報源:IPEN POPRC12 Intervention, 20 September 2016
PFOA INTERVENTION 20th September 2016
http://www.ipen.org/sites/default/files/documents/
IPEN%20PFOA%20Intervention%20POPRC%2012%20Sept.%202016%20.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年10月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/
160920_IPEN_PFOA_intervention_at_POPRC12.html

 議長、ありがとうございます。私は国際的公益 NGO である IPEN のマリアン・ロイド=スミスと申します。私はまた、残留性、生物蓄積性、そして有毒性を持つこの化学物質のために、健康、家、そして安全を失った数多くの地域住民のためにも、この発言をいたします。

 アメリカ、スウェーデン、オーストラリア、中国、そしてその他の場所で、PFOA は地域社会を汚染し、住民の健康を損なってきました。産業界は規制当局と公衆を欺くために繰り返し科学を操作したので、PFOA の被害を受けた地域住民の物語はこの委員会に対するひとつの警告となるでしょう。

 例えば、今週、委員会はこの PFOA の残留性についての決議を行うでしょうが、 3M 社の社内では PFOA のような過フッ素化合物(PFCs) は、残留性物質であることがすでに 1976年から知られていました。社内調査の後同社は、”過フッ素化合物は自然界ではほとんど、あるいは全く分解しない”と結論付けました。しかし同社は、この情報を社内だけにとどめ、PFOA の製造は継続しました。 3M 社は公的には、この物質を”画期的な目に見えない驚異”と表現しました。

 産業側はまた、少なくとも1961年以降は PFOA が有毒であることを知っていました。

 デュポン社は、従業員の子どもの中に出生障害を見出した社内調査の結果を規制当局又は公衆に発表しませんでした。そして2005年に同社はその出生障害の事実及びその他のデータを米・環境保護庁(EPA)に報告することを怠ったとして1,650万ドル(約16億5,000万円)の罰金を科せられました。

 今週、残留性有機汚染物質検討委員(POPRC)は、この化学物質は50年以上にわたり使用されてきたが労働者には何も影響を与えていないという主張を聞くかもしれません。しかし米国の裁判所を通じて明らかにされた同社の社内文書は、それは真実ではないこと、労働者の腎臓がんを含んである種のがんの発生が増加していることを同社が報告していたこと、そして暴露を受けた労働者がより多い頻度で内分泌障害を被っていたことを示しています。

 長い年月が経過した後、会社とは独立した調査がこれらの関連を確認し、 PFOA に曝露した住民は精巣がん及び腎臓がんの高いリスクを、また PFOA レベルの高い女性は、内分泌障害である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のより高いリスクを被ったことを示しました。

 2004年、デュポン社は、1984年以来隠してきた飲料水の PFOA 汚染により影響を受けた8万人を含む巨大な集団訴訟の和解に注力せざるを得ませんでした。重要なことは、この和解は、69,000 人が参加した暴露集団に関する医学的情報を収集するための健康プロジェクトの設立を含んでいたということです。

 8年後に、この広範な健康調査に基づき、C8 科学審査委員会はその作業を完了し、潰瘍性大腸炎、高コレストロール、妊娠誘発高血圧、甲状腺障害、精巣がん及び腎臓がんを含めて6つの疾病に関係がありそうであるとの結論を下しました。

 現在、法的措置を求める数千人の住民がおり、実際に現在、3,500人の個人がデュポン社に傷害賠償請求を行っています。今年の初めに、最初の訴訟のひとつでデュポン社は一人に男性の精巣がんの責任を認定され、関連する損傷について510万ドル(約5億1万ドル)の支払いを命じられました。

 POPRC は PFOA 及び関連化学物質の有害影響に関して審議するときに、十分な証拠があるにもかかわらず、人間への健康影響はまだよく分からない、又は一貫性がないという主張を聞くかもしれません。POPRC がこの化学物質周辺の科学に関して審議する間にも、多くの被害を受けた住民が嘘をつき欺いた産業に対して、そして傍観するだけで何もしなかった人々に対して、正義のための戦いをしようとしています。

 POPRC の長きにわたるプロセスは、フッ素テロマーアルコール、フッ素重合体、及びフッ素テロマーベースの重合体を含んで PFOA 関連化合物は最終的に PFOA に分解するということを認めており、3M 社さえもその事実を認めています。

 これらの前駆物質の分解は、 PFOA 汚染を人々の生活のあらゆる面、焦げ付き防止調理器具からデンタルフロス(糸式ようじ)、私たちを健康にすることを意図するスポーツ用品にまで拡散しています。 PFOA に関するリスクプロファイルは、PFOA 化合物の全てに対する行動を含まなくてはなりません。

 結論として、今週、世界の目はかつてないほど残留性有機汚染物質検討委員(POPRC)の審議に注がれています。私たちは、POPRC が産業側の過去のごまかしを考慮し、否定者を拒絶し、産業側のレビューに基づく主張を拒絶するよう促します。私たちは委員会がストックホルム条約のこの最も有害な化学物質から人の健康と環境を守るという責任を忠実に果たすよう要請します。PFOA は決して分解しないので、今週ローマでなされる決定は、今後何世紀にもわたって世界中の人々に影響を与えるでしょう。どうぞそれを実現できるようにしてください。


訳注:PFOA関連情報の一部


化学物質問題市民研究会
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