IPEN 2009年5月10日 プレスリリース
あなたの居間の有害物質
代表者らの決定はストックホルム条約を脅かす


情報源:IPEN For Immediate Release 10 May 2009
Toxic chemicals in your living room
Delegate Decisions Threaten the Integrity of the Stockholm Convention
IPEN_PR_10_May_2009_final.doc

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年5月11日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/090510_IPEN_Press.html


【ジュネーブ、スイス】 残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約への政府代表者らは、政府が管理すべき物質のリストに9種の新たな化学物質を加えるという歴史的な決定をした。しかし、リストされたこれらの化学物質のうち3種のために承認された管理手法は不安をもたらす不適切さがあり、人の健康と環境を守るという条約の目的に矛盾する。

 3種の物質のうちの2種は、家具用発泡材(詰め物)や家電製品に使用される臭素化難燃剤(ペンタBDEとオクタBDE)である。第三の物質は、製造用及び消費者製品に使用されるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)である。

 代表者らはこれらの物質が環境中に残留し、長距離を移動し、人の健康と環境に害を引き起こすことに同意した。世界中の子どもたちは、これら全ての3種の化学物質に暴露し、それらは体内に残留する。

 ペンタBDEとオクタBDEについては、新たな製造は最近、行われていない。現在、生じているこれらの化学物質への人の暴露は、まだそれらが存在する製品と廃棄物に由来する。会議は、これらの化学物質を含む製品のリサイクルとリユースの継続を2030年まで許すことに同意した。多くの場合、あるプラスチック製品の成分や家具の詰め物の10〜20%はこれらの有害な化学物質から成る。

 ”このことは、家具中の発泡材が含む18%ペンタBDEが切り刻まれ、新しいカーペットの裏張りとして使われ、我々の部屋に戻り、暴露が継続することを許すことになる”とダルエスサラム大学の教授であり、国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)の共同代表でもあるカティマは述べた。”この条項はまた、これらの高度に汚染された製品が富める国から開発途上国、特にアフリカへ輸出されることを許す”と彼は付け加えた。

 第三の化学物質、PFOSは、非常に残留性が高いので、テストされたどのような環境条件でも分解しないことが示されている。アメリカにおける299人の幼児の調査で、そのうち297人の血中からPFOSが検出された。PFOSを条約にリストした後、代表者らは、消火泡及び農薬のように直接環境中に放出されるPFOSの用途を含んで、進行中の製造と15以上の用途での使用を継続することを許すであろうことを決定した。

 国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)は、追加の9種のPOPsをリストした条約の決定を歓迎し、条約の条項の完全で効果的な実施を推進し続けるであろう。

 IPENは、合意されたPFOSの管理措置及び難燃剤がひどく不適切であることに失望したが、ネットワークのNGOsはその改善のために圧力をかけ続けるであろう。

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 リストされた化学物質に関する背景情報については、下記の新たなPOPsに対するIPENガイドを参照ください。
http://www.ipen.org/ipenweb/documents/ipen%20documents/newpopbooklet_09.pdf

 国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)は、全ての地域、100か国で700以上の参加団体から成る世界の公益NGOネットワークである。多くの国とすべての地域のIPEN参加組織は、強力で効果的なPOPs条約を作るという共通の目標を進めるために協力してきた。IPENは現在、有毒化学物質が人の健康又は環境をもはや損なわない未来の世界に向けて、地域、国、地方、及び共同体レベルのPOPs廃絶の取り組みを支援する活動をしている。 www.ipen.org


訳注:関連情報




化学物質問題市民研究会
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