BAN プレスリリース 2022年10月26日
海で数週間、危険な漂流をする有害な航空母艦
NGOs は、ブラジル当局がサンパウロ号を
ドックに入れることを許可するよう要求

情報源:BAN Press Release, October 26, 2022
Toxic Aircraft Carrier Dangerously
Drifting After Weeks at Sea

NGOs Demand that Brazil Allows the Sao Paulo to Dock
https://myemail.constantcontact.com/Toxic-Aircraft-Carrier-
Dangerously-Drifting.html?soid=1114999858498&aid=69K7AXFdFio


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年10月31日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/shipbreaking/ban_221026_
Toxic_Aircraft_Carrier_Dangerously_Drifting_After_Weeks_at_Sea.html


【2022年10月26日、ブリュッセル、ベルギー】トルコが輸入を阻止し、ブラジルの環境庁 IBAMA がその帰還を要求して以来、有害な空母サンパウロ号がブラジルに戻って訳注1)から 3週間が経過した。しかし、船はペルナンブコ州の海岸から 12 マイル以上離れた場所を漂流しており、ブラジル海軍と IBAMA の両方が、海洋環境への潜在的な害を防ぐための安全な停泊所を要求すること及び提供することができないでいる。国際および国内の NGOs[原注1]は緊急の行動を求めている。

 ペルナンブコ州の環境庁 (CPRH) は、サンパウロ号の船体構造に有害物質が存在することを警戒し、南海岸のレシフェの南に位置するスアペ港での停泊を拒否した。船の所有者である SOK が接触した他のいくつかのブラジルの施設も同様に、利用可能な停泊場所がない又は技術的能力が不足していると申し立てて、一時的に船を受け入れることを拒否した。この行き詰まりを監視している NGO は、緊急の問題であるとして、ブラジル側の責任ある行動を要求している。

 ”ブラジル当局は責任転嫁をやめ、危険な状況に対して共同で責任を負うべき時である。IBAMA は現在、この船の環境に配慮した管理を任されているが、彼らは再びその管理を確実にすることができないでいる。我々は海軍が場所持っていることを知ってい。ゲームをやめる時が来た”と、NGO 船舶解体プラットフォームSのシニア コミュニケーション及びポリシー アドバイザーであるニコラ・マリナリスは言う。”船はすぐに停泊する必要がある。”

 船は、ブラジル海軍の港湾沿岸局の指示に従って、10月 5日に現在の場所に到着した。同局は、船体の完全性を検証するために、SOK が契約したサルベージ・マスター社が海上待機エリアで船体を検査するように命じていた。そのため、AWS サービスは 10月 12日と 10月 14日に検査を実施し、環境の影響による劣化と構造的損傷のため、”損傷の拡大と海上で長期間安定性を失う可能性を回避するために、構造的修復のために直ちに係留/入渠が推奨される”と結論付けた



ブラジル・レシフェから 12マイル離れた場所のサンパウロ号。 AWSが完成させた検査報告書の表紙より。 2022年 10月 8日。
 船がブラジルに安全に係留された後、NGOs は船の安全なリサイクルまたは再利用の計画を完全に再開するよう求めている。バルセロナ条約議定書に基づくトルコへの有害廃棄物の国境を越える移動の試みの違法性と、購入者の信頼できない危険物目録 (IHM) の提出を考慮して、NGOs はブラジルとフランス (元の海軍所有者) に最初からやり直し、新しい危険物目録 (IHM) を作成して合法的で遂行能力のある目的地のみが参加する新しい売却手続きを開始するよう強く促している。

 ”ブラジル海軍が最近主張したように、55 トンのアスベストが 30 年前に除去されていたとしても、数百トンのアスベストやその他の有害物質がサンパウロ号に搭載されている可能性が高い”とアスベスト禁止フランス(Ban Asbestos France)のアニー・テボー・モニは述べている。”姉妹船クレマンソー号(CLEMENCEAU)で発見された量に基づけば(訳注2)、この船には PCB やアスベストを含む約 900トンの有害物質が含まれていると予想される。サンパウロ号の構造物がわずか10トンのアスベストで汚染されているという主張は、現実からかけ離れている。”

原注1: International and national NGOs
NGO Shipbreaking Platform, Basel Action Network (BAN), BAN Asbestos France, Henri Pezerat Association (Work, Health, Environment), International Ban Asbestos Secretariat (IBAS), Istanbul ISIG (Isci Sagligi ve Is Guvenligi) Meclisi, Greenpeace Mediterranean, Brazilian ABREA (Associacao Brasileira dos Expostos ao Amianto).

バーゼル・アクション・ネットワークについて

 1997 年に設立されたバーゼル アクション ネットワーク(BAN)は、ワシントン州シアトルに本拠を置く米国の 501(c)3 慈善団体(訳注:アメリカ内国歳入法 第501条C項3号の規定により、課税を免除される非営利団体)でる。 BAN は、世界的な環境正義と有害廃棄物貿易の経済的非効率性とその壊滅的な影響に立ち向かうことに焦点を当てた世界で唯一の組織である。今日、BAN は、ジャーナリスト、学者、及び一般大衆のための廃棄物取引に関する情報交換所としての役割を果たしている。 BAN はその調査を通じて、発展途上国における有害なな電子廃棄物の投棄の悲劇を明らかにした。詳細については、www.BAN.org をご覧ください。

NGO 船舶解体プラットフォームについて

 NGO Shipbreaking Platform は、ベルギーのブリュッセルに本部を置く、環境、人権、労働者の権利団体の連合体である。当組織は 10 年以上にわたり、船舶解体労働者が安全な仕事を得る権利、利用可能な最善の技術を使用する権利、及び同等に保護される環境基準を世界中で求めて戦ってきた。地理的にも方向性においても幅広いサポート基盤により、標準以下の慣行について責任を問われることのない強力な海運業界の主張に挑戦している。我々は、船舶体によって引き起こされる人権侵害と汚染に対する一般の認識を高め、悪名高い船舶解体海岸でのビジネスを止めさせるための政策と市場インセンティブの両方を促進するよう努めている。我々の目標は、人権、企業の説明責任、環境の原則を包含する持続可能な解決策を見つけることである。


訳注1:サンパウロ号の経緯
訳注2:クレマンソー号


化学物質問題市民研究会
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