バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)報告書 2006年11月8日 日本フィリピン経済連携協定(JPEPA) 日本のアジアにおける有害廃棄物貿易の自由化構想の第一歩 情報源:JPEPA as a Step in Japan's Greater Plan to Liberalize Hazardous Waste Trade in Asia 8 November 2006 Basel Action Network http://www.ban.org/library/JPEPA_report.pdf http://ban.org/library/JPEPA_Report_BAN_FINAL_29_Aug_071.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年11月10日 更新日:2006年11月14日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JPEA/JPEPA_Report_BAN.html 1. はじめに
関税撤廃の目標とされている廃棄物の多くは、その貿易は、”有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の下に厳格に管理されるべきとされる国際的に指定された廃棄物である。日本とフィリピンの双方ともにバーゼル条約の締約国である。同条約は締約国に有害廃棄物の国境を越える移動を最小とする義務を課し、同条約でカバーされる廃棄物を自国内で処理するよう求めている。さらにバーゼル条約はどのような廃棄物の輸入も禁止するという締約国の主権を認めている。しかし、バーゼル条約それ自身は、先進国と開発途上国間の廃棄物貿易を厳密には禁止していないということを認識することが重要である。バーゼル条約修正条項は発効に必要な数の国により批准されればそれが実現する(訳注1)。 1995年、フィリピンも日本も参加した第3回バーゼル条約締約国会議はバーゼル条約を修正する決議 III/1を採択したが、それはどのような理由があっても、OECD/EUの加盟国及びリヒテンシュタイン(Annex VII)はそれら以外の諸国に対して全ての有害廃棄物の輸出を完全に禁止するものである。日本は Annex VII(OECD 加盟国)のリスト国であり、フィリピンはそれら以外の国である。この禁止修正条項は開発途上国によって長らく待望され早期の発効が求められていた。日本もフィリピンもまだバーゼル禁止修正を批准していないが、フィリピンは有害廃棄物の部分的輸入禁止をしていることで知られている[1]。日本は、アメリカやカナダなど一握りの先進国と同じくバーゼル条約修正条項を批准する意図はなく、実際にはその目的を損なうよう積極的に動いている。JPEPA の取組はこの戦略の一翼であると我々は見ている。 この日比経済協定(JPEPA)が調印されて以来、フィリピンと日本の政府当局は関税撤廃プログラムに廃棄物を含めることは単に事務的なことであり、バーゼル条約やフィリピンの国内法を無効にするものではないと繰り返し主張している。 ”有害廃棄物に対しては十分な安全策がある”とフィリピン通商長官ファビラは述べた。”同協定に含まれている項目のひとつは、我々が危険な有害廃棄物と呼ぶものである。それは全てを含む貿易の中の一部であり、そのことは我々がそれらを我が国に輸出することを許すという意味ではない。廃棄物条項はそれ以上の何ものでもない[2]。” 同様に、日本大使館は次のような声明を発表した。 ”日本政府はバーゼル条約に基づく法的枠組みを確立しており、厳格な輸出入管理を実施しているので、もし、そのような国の政府がそのような輸出を承認しない限り、フィリピンを含む他の国に対してどのような有害で危険な廃棄物も輸出することを許さない。” この声明の後半部はあることを述べていないという点で重要である。それは、日本は、フィリピン又はその他のどのような開発途上国に対しても、バーゼル条約修正禁止条項及びバーゼル条約一般義務にしたがって、有害廃棄物の輸出をしないと述べていない。むしろ途上国はそのような輸出を承認しなくてはならないということに留意している。日比経済協定(JPEPA)が発効すれば、日本はフィリピンはそのような輸出を”承認しなくてはならない”と主張するであろうと考えられる。 この報告書の中で、我々は有害廃棄物の関税低減を含めることは単に事務的なことでもなく、貿易交渉のポーカー・ゲームにおける取るに足らない副産物でもないということを証明する。それは法的に重要な動きであり、実際、世界のチェス・ゲームで日本によって現在演じられている計画的な戦略の一翼である。このゲームの計画は、有害廃棄物の国境を越える移動を最小にし、その貿易を厳格に管理するというバーゼル条約の義務を覆すことである。 脚注1: バーゼル条約ウェブサイトで報告されているように:”一般的政策として及びバーゼル条約と有害物質及び危険な核廃棄物管理法1990、別名、共和国法6969に基づき、DAO29の第VII章24節及び25節(RA6969の実施規則及び規制)で定義されているように、廃棄物の輸入は同国によって許可されない。しかし、RA6969、その実施規則と規制及びの後に続く廃棄物の輸入管理のための諸指令下で定義されている有害物質を含む物質の輸入は、回収、リサイクリング及び再処理の目的に対し、事前の書面による長官の承認がある場合に限り許可されるかもしれない。DAO 94-28 は、内部で許可されるというベースで例外(リサイクリングのための有害廃棄物輸入)をリストしている。そのリストは提案された関税低減とはいかなる方法においても対応していない。そのリストは下記で入手できる。 http://www.emb.gov.ph/laws/toxic%20substances%20and%20hazardous%20wastes/dao94-28.pdf 脚注2:Official: Enough safeguards vs toxic waste http://www.manilastandardtoday.com/?page=politics6_oct26_2006 訳注1: バーゼル条約について バーゼル禁止令 決議 III/1 2. バーゼル条約に反対し廃棄物貿易の自由化を求める日本の世界的なキャンペーン バーゼル禁止修正条項が採択されて以来、日本は、JUSCANZ (ジュースカンズ)として知れられる外交グループ(日本、アメリカ、韓国、カナダ、オーストラリア、ニュージランド)の諸国とともにバーゼル禁止修正条項を批准することを阻んできた。実際、日本は有害廃棄物の国境を越える移動を最小にすることに関するバーゼル条約の義務について、特にバーゼル禁止修正条項について、どの国よりも強い嫌悪感を示してきた。 日本は現在、廃棄物貿易を最小化するためのバーゼル条約の義務を潜り抜け、弱体化し、損なうために様々な戦線で最も積極的に活動している国である。以下で明らかにされるように、JPEPA 廃棄物貿易条項は単純に交渉時の事務的な名残というようなものではない。そうではなくて、それらはアジア域内廃棄物貿易計画に向けたひとつの大きな戦略の一部である。実際、日本は、有害廃棄物の”環境に適切な管理”及び”廃棄物リサイクリング”を強化するというフリをしそれを口実として、日本はバーゼル条約の範囲を縮小し廃棄物貿易を促進するためにいくつかの前線で非常な努力を払っている。 ”環境に適切な”、”リサイクリング”、キャパシティ・ビルディング”、あるいは”3Rs”と言うようなグリーンで積極的な言葉で意図を隠すやり方は、自国で廃棄物処理に責任を持つよりむしろそれらを輸出したいと望む国々によってとられてきた、それ自体は新しくもない戦略である。国際的な廃棄物取引が1980年代後半に世界的に明らかにされ非難されて以来、輸出国や輸出業者は廃棄物輸出を正当化するために、この”グリーン”という言葉を利用し、輸入国の利益になると主張した。 新しいことは、同じ論証の促進に向けて日本によってもたらされる巧妙さと投資のレベルである。彼らは、過去にバーゼル条約において棄却され又は信用されなかったこれらの主張を実現するために新たな場や条約を実際に作り出していた。日本は、島国であり大量の廃棄物を置いておくために利用できる安い土地が全く不足しているが、一人当たりの廃棄物排出量を真剣に減らすことを怠ってきたので、他のJUSCANZ 諸国よりもこのキャンペーンに関して熱心であると信じられている。 明らかになった日本のキャンペーンにおける JPEPA の役割 廃棄物貿易を推進しようとする日本政府の戦略は、政府系研究機関である財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)から出版された政策文書『国際リサイクル特区とアジア域内ネットワークの構築』[3]に非常にあからさまに述べられている。JPEPA の役割と戦略の背景は、廃棄物貿易を容易にするための日本の青写真と呼ぶことができるこの文書から引用した次の文章が明らかにしている。(アンダーラインは強調するために加えられた) ”ここで我々が提案する政策は、環境的・経済的に適正なリサイクル資源の国際市場の形成促進を目的としている。” ”各国に「国際リサイクル特区」を設置する。各特区は、指定港湾と指定工業地域から構成される。指定港湾では、認定企業間に限ってリサイクル資源の国際取引を認める。” ”この政策を効果的に実施するためには、何らかの国際的合意を取りつける必要がある。参加国は、通関手続きに関する細かな規則・規定や、リサイクル資源の取扱い・処理に関する事項に合意しなければならない。その後、国際リサイクル特区のネットワークを構築する。” JPEPA は、この政策を効果的に実施するためにここに提案されている”国際的合意”なのか? ”本提案の利点のひとつは、将来の本格的な合意に向けた第一歩として、パイロット的に国・地域を限定しこの制度を導入できる点にある。” フィリピンは日本により第一歩としてのパイロットプロジェクトのひとつと見られているのか? ”リサイクル資源の国際流通には、関税率が高い、非関税障壁があるといった数々の障壁がある。こうした障壁のせいで、廃棄物をリサイクル資源に変えるチャンスが妨げられてきた。ここに提言する政策を実施することにより、リサイクル資源の取引が国際リサイクル特区内の認定企業間で行われる限りにおいて、このような障壁の緩和を直接的に行うことができる。” 明らかに関税障壁の緩和(JPEPA)はよく計画され首尾一貫した戦略の一部である。次にこの政策文書は非関税貿易障壁(すなわち、バーゼル条約の貿易管理と禁止)のことを言っている。 ”有害廃棄物の輸出入はバーゼル条約(1989年採択)によって規制されている。条約では、通過国を含む全ての国の承認が義務づけられているため、輸出入手続きに長い時間がかかる。この手続きがリサイクル資源の国際取引において障害となっていた。しかし、国際リサイクル特区にはより簡素化された手続きが導入されるため、この問題も避けられる。” ここでこの政策文書は明確に日本政府のバーゼル条約及びバーゼル禁止修正の目標と原則に対する基本的な嫌悪感をあらわにしている。バーゼル条約は、”リサイクリング”だけがバーゼル条約とバーゼル禁止の義務を果たさなくてもよいことの法的正当性の根拠となり得るというようなことは許さない。締約国はリサイクル作業は最終処分として真に多くの危害をもたらす可能性があり、より弱い経済力に不均衡にリスクと危害を及ぼし彼らから商業的に搾取していることに対する隠れ蓑として容易に使用されるということを認識しているので、この禁止修正はどのような理由があろうと有害廃棄物を明白にそして意図的に禁止している。最後に、この政策文書はその計画を実施するために二つの柱からなる戦略を強調している。この戦略の第一の柱は JPEPA のような二国間自由貿易協定の活用することである。 ”1999 / 2000年以降、アジア太平洋地域では地域内・二国間の自由貿易協定(FTA)が急激に拡大している。こうした二国間・地域内貿易協定をめぐる動きは、近い将来東アジア共同体設立につながると期待される。国境を越えたリサイクル資源の市場拡大は、このような域内における貿易・投資の自由化の一環としても捉えられる。” 実際に、自由貿易協定は予見可能であったかもしれないが、予見可能でなかったこと(確かにフィリピンの民衆によってではない)、又はどのような方法でも避けることができなかったこと、又は世界貿易機関(WTO)によって規定されなかったことは、国境を越えたリサイクル資源の市場拡大であり、これはあたかもひとつの単純な商品のように有害廃棄物の自由化を婉曲に表現するものである。日本が経済的抵抗力の弱い所に廃棄物を流し込ことが許された時代に時計を逆戻りさせるという政治的目標を担うであろうということは予見できなかった。 この政策の背景を見ると、JPEPAでの貿易自由化は、現在の世界の法的及び倫理的規範に反して有害廃棄物及びその他の廃棄物の貿易に国境を開放し、先進国から開発途上国への廃棄物の流れを許す長期的で大規模な戦略における深慮遠謀の一部であるように見える。 ”リサイクル資源・再生製品の貿易促進措置について、指定港湾でパイロット的に導入し、その効果を確認した上で、特定の自由貿易協定の中に盛りこむことも可能である。” この政策文書の”可能である(could be)”はまだ、現在の JPEPA の現実によって置き換わっていない。 脚注3:国際リサイクル特区とアジア域内ネットワークの構築 http://enviroscope.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/261/attach/LTP-05-006.pdf(日本語版) http://www.iges.or.jp/en/pub/pdf/policybrief/001.pdf(英語版) 日本の3Rイニシアティブ
この名前は、もちろん響きがよいが、なぜ日本がこのイニシアティブにバーゼル条約を取り込まなかったのかはそこで述べられている目標を理解すればすぐに分ることである。3Rイニシアティブの主要な目標の一つは次のように述べられている。(訳注2) ”既存の環境及び貿易上の義務及び枠組みと整合性のとれた形で、再生利用、再生産のための物品・原料、再生利用・再生産された製品及びよりクリーンで効率的な技術の国際的な流通に対する障壁を低減する。” ”再生利用、再生産のための物品・原料”は国際的な定義では”廃棄物であり、廃棄物にとっての流通の障壁の最も明白な例は、まさに、バーゼル条約、バーゼル禁止修正条項、そしてバーゼル条約が認めている各国の輸入禁止令である。NGOs とバーゼル条約締約国による厳しい反対に直面して、日本はその表現を幾分和らげたが、島国日本で発生する廃棄物の山をアジアの隣国にもって行くことで廃棄物問題の地域的”解決”を図ろうとする日本の意図はそのまま残っていることは明らかである。日本はこの意図を口当たりのよい表現にするために、”リサイクリング”、3Rs”、”自由貿易”、”キャパシティ・ビルディング”、そして”環境に適正な管理”等の言葉を使っている。2006年3月に東京で開催されたアジア地域3Rs会議(訳注3)における議長サマリーで次のように勧告している[4]。 ”透明性と追跡可能性を持った有害廃棄物を含むリサイクル資源のための地域市場を確立すること;自由貿易協定(FTAs)を含んで、輸出国と輸入国の間の3R関連共同を構築すること;国/共同体の中で相対的な利点(たとえば、技術的能力、労働力確保、市場へのアクセス)のある所に投資する3R政策を展開すること” 日本の廃棄物を処理するためにフィリピンを利用するという”相対的な利点”は、労働力と土地代がはるかに安いフィリピンは、日本に比べはるかに安く廃棄物処理を実現することができるということである。そこで述べられていないことは、コストの外部化の長期的な影響という相対的な欠点である。言い換えれば、日本は、長期的な責任、リスク、職業的健康問題、及び、残渣の処分やリサイクル操業からの排出影響を含んで有害廃棄物の処分/リサイクリングによる国土の犠牲から逃れることができると言うことである。全ての外部コストが計算された時には間違いなく、これらの措置は日本には経済的に有利であり、フィリピンにはまさに不利である。BANは日本の3Rイニシアティブを”有害物質貿易の仮面”と呼んでいる[5]。 訳注2:3Rイニシアティブ閣僚会合 環境省イシューペーパー/課題U 国際流通に対する障壁の低減 http://www.env.go.jp/recycle/3r/outline/issues_paper.pdf 訳注3:アジア太平洋環境開発フォーラム第2フェーズ(APFED II)専門家会合 2006年3月5日開催) http://www.iges.or.jp/jp/ltp/activity05.html 脚注4:APFED Expert Meeting on the 3Rs in Asia March 5, 2006 Tokyo, Japan Draft Co-chairs’ Summary http://www.iges.or.jp/en/ltp/pdf/activity05/summary.pdf 脚注5:The 3R Initiative: A Mask for Toxic Trade? http://www.ban.org/Library/briefingp9_april2006.pdf 日本は有害廃棄船に対するバーゼル条約の権限の弱体化を図っている
日本は、強力な世界の運輸産業を代弁して、ノルウェー、インド、ギリシャ、及びアメリカとともに バーゼル条約は廃船に適用されないし適用すべきでないと熱心に主張した。日本はかつてバーゼル条約会議で、参加国が船舶に関してバーゼル体制を強化する方向を望んだ取組を阻止する上で主導的な役割を果たした。そして再び、”venue shopping”の戦術を用いて、日本は既存のバーゼル条約よりはるかに産業界よりの国際海事機関(IMO)への道を踏み固め、同機関が有害物質を含む船舶の開発途上国への輸出を妨げない船舶解体に関する代替条を作るよう働きかけた[6]。 日本が交渉において指導的役割を果たしたIMO条約案(draft)は、バーゼル条約では廃棄物生成者に課せられている責任を国際的に逆転させ、全ての責任をその廃棄物船を輸入した国に課すものである[7]。同条約は現在最終決定されようとしてしており、最近の10月に行われたIMO会議において日本はノルウェー、ドイツ及びアメリカとともに、バーゼル条約が目的としている世界の有害廃棄船の開発途上国への不均衡な廃棄を防ぐことにはほとんど役に立たない最低限のこと−”グリーン・ウォッシング”にとどめることを確実にするために主導的に働いた[8]。
バーゼル条約が船舶を取り扱うことを妨げる並々ならぬ努力をしている日本の最大の関心は、強力な海運業界のために現状を維持すること、すなわち、船がその生命を終えて廃船になるときにコストを発生させずに鉄材から非常に利益の上がる収穫(円)を得ることである。日本の攻勢はまた、改善された技術によって口当たりよくされた廃棄物貿易の自由化は、長期的な日本及び他の先進国の廃棄物危機を解決するための手段であるとする見解と完全に首尾一貫している。言い換えれば、開発途上国に我々の廃棄物を与え、彼らに我々の技術を売り、そしてそれを”3R”、”環境に適正な管理”、”国際リサイクル特区”、そして”キャパシティ・ビルディング”と呼ぶ。これはバーゼル条約が初めから回避しようとしていた結末、すなわち開発途上国が、先進国の豊かな川の支流から流れ出る汚れた水を便利に管理する役を割り当てられる世界、いわば廃棄物植民地主義とでも呼ぶことができる世界かもかもしれない 脚注6:IMOの venue shoppingとバーゼル条約離れについての詳細 http://www.ban.org/Library/briefingp5_april2006.pdf 脚注7: このドラフトの完全な批判 http://www.ban.org/Library/IMO_Draft_Convention_CritiqueFINAL.pdf 脚注8: 船舶解体に関するNGOプラットフォームのプレスリリース http://www.ban.org/ban_news/2006/061013_ship_scrapping_immoral.html BAN 有害廃棄物ニュース 2006年10月13日/船舶解体に関する人権・環境団体プラットフォーム プレスリリース 船舶解体に関するIMO条約案は倫理にもとる(当研究会訳) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/06_10_13_Draft_IMO_Treaty 脚注9:Brief Outline of the Seminar on "Establishing the Global Framework in Ship Recycling https://www.maritimejapan.com/JSC/maritimejapan.nsf/v_welcome1_e /8E03989BC45813A9802571EE005701B8 3. 日本から輸出された有害廃棄物はすでにあふれ出ている 現在は開発途上国に有害廃棄物を輸出していないとする日本政府の主張にもかかわらず、実際には日本という国はほころびから廃棄物を噴出しており、開発途上国に向けて有害廃棄物が輸出されることを防ぐことができない国なのである。すでにBANとグリーンピースは日本からの大量の廃棄物、そしてあるものは有害廃棄物、が上海の南に位置する台州(Taizhou)[10]などの中国の港に不法に送り込まれ、そこから悪名高い電子廃棄物処理地域である広東省の貴嶼(Guiyu)[11]に運び込まれて処理されることを報告した。これらの輸出に関する最も広範な報告書が2001年及び2004年に実施されたBANの現地調査によって作成されたが、我々はこれらの輸出が今日では行われていないと信ずる理由を持っていない。
2005年10月にBANは電子機器スクラップの世界廃棄物貿易の現状を見るためにアフリカのナイジェリア、ラゴスを訪れたが、そこで、再使用のために輸出されたという触れ込みの日本製自動車と電子機器スクラップを見た。しかし輸入されるもそれらの75%は使用することができず、それらは湿地や道路沿いのゴミ捨て場に投棄され、日常的に燃やされていた[12]。
1999年、日本の有限会社ニッソー(栃木県)が古紙と偽って大量の医療廃棄物と家庭ごみを124箱のコンテナーに詰めてフィリピンに輸出した(訳注4)。当時、あるフィリピンの新聞は次のように報告している。”我々はグローバリゼーションには賛成だが、まさかそれが家庭ゴミや大量の恐らく伝染性を持つ有害ゴミの輸出のグローバリゼーションを含むとは想像もしなかった[13]。 1994年、日本の造船会社である常石造船株式会社(Tsuneishi Heavy Industries Inc.,)はフィリピンのセブ島に産業ゾーンである西セブ産業公園(West Cebu Industrial Park (WCIP))を開発した(訳注5)。現地の会社が常石造船と契約し、造船所を操業している。常石造船がWCIPに投資した理由は、同島は比較的規制が緩く、安い労働力が確保できるからであると信じられている。そこでは、現地の反対が起きるまでの数年間、汚染を防止する有効な措置もとらずに海中で船を解体していた[14]。 次に日本の海運業界はインドへの船の輸出を促進することを求めた。悪名高い船舶解体海岸アランの南、ピパバフ(Pipavav)港に日本の資金援助により建設された現代的な船舶解体施設があるが、そこには日本の利己心がないわけではない。現代的な外洋船の有毒な塗装の下には豊富な鉄材が埋まっているが、日本では高い労働賃金、厳しい環境規制、及び残渣やアスベストを埋める用地の減少のために、船舶解体は非常に高くなった。しかし、今日まで、日本により資金供与されたこの施設は一隻の船も解体しておらず、開発途上国への先進的技術支援としてうわべを飾る一方で、廃棄物推進への日本の関心のシンボルとしてそこにある。日本が所有する船が未だに解体されているアランの解体現場で技術的改善がなされても、それはやはり自国内処理と経済的弱者に対する廃棄物の不均衡な負担の防止を求める環境正義(environmental justice)に対する侮辱である[15]。 訳注4:ニッソー不法投棄について http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/010515fuho_niso.htm 訳注5:Tsuneishi Heavy Industries Inc., http://www.tsuneishi-rd.co.jp/company/thi.shtml 脚注10:GREENPEACE-BASEL ACTION NETWORK / Key findings from Taizhou Field Investigation http://www.ban.org/Library/Taizhou_E-waste_Research_Report.pdf 脚注11:Exporting Harm: The High-Tech Trashing of Asia http://www.ban.org/E-waste/technotrashfinalcomp.pdf 脚注12:Digital Dump: Exporting Re-use and Abuse to Africa http://www.ban.org/Library/TheDigitalDump.pdf 脚注13:PHILIPPINES: TOUGH TALK ON WASTE SHIPMENT WITH JAPAN http://www.ban.org/ban_news/philippines.html 脚注14:Japanese shipbreaking breaks workers in the Philippines http://www.jca.apc.org/joshrc/english/14-2.html 脚注15:Pipavav, a modern scrap yard waiting for orders http://www.greenpeaceweb.org/shipbreak/travelreport_pipavav.asp 4. バーゼル条約が要求していること
全ての廃棄物について自由貿易を許すことを求める日本とアメリカの見方とは対照的に、1980年代後半に広まった廃棄物貿易の頻発に対応して世界のコミュニティはバーゼル条約を作り出して代替的なアプローチをとった。バーゼル条約は、開発途上国が先進国の廃棄物管理のコスト増大によって経済的抵抗力が最も弱い経路に流れ込む廃棄物輸出にさらされることを防ぐよう構想された。 廃棄物の国境を越える移動を管理する国際的な措置を要求したのはアフリカ諸国に率いられた開発途上国であり、国連環境計画(UNEP)が対応した。実際、1988年にフィリピンは上院議員エドガルド・アンガラとマニンタル・タマノにより提案されたフィリピンでの核又は有害廃棄物の輸入、保管及び輸送を禁止する法案を満場一致で採択した。その時、フィリピンの議員らは国際的な廃棄物貿易を”極悪非道なやり方”と呼んだ[16]。 開発途上国はどのような理由があろうと先進国から途上国への有害廃棄物の完全禁止を求めた。しかし、アメリカのような国が弱体化をはかり国際的交渉で合意は最小公倍数となったので、最終的には1989年に署名されたバーゼル条約はほとんどの開発途上国にとっては失望する内容であった。グリーンピースやアフリカ諸国はこの条約を犯罪行為といわれるべき廃棄物貿易を合法化するものであると非難した。当初の条約は南極大陸を除く世界のどこにも有害廃棄物を輸出できないとするを完全禁止ではなかったので、その約束を果たすことができなかったが、それでも非常に重要な原則を含む枠組みを設定した。これらの原則はこの条約の一般義務の中に見ることができる。
同条約の残りの部分は、国家間の情報伝達と許可をもって貿易を行うことができるよう通知と同意の仕組みを規定しているが、バーゼル条約の目標、原則、及びメッセージは明確である。すなわち、廃棄物は単に商品ではなく、むしろ”良いもの”よりも”悪いもの”とみなされ、その根源で最小化され、その貿易は特に経済的弱者に向けられるときには特別の管理が行われるべきであるということである。 バーゼル条約が1992年に発効してすぐ後に、締約国は、特に開発途上国は、先進国から開発途上国への輸出を全面的に禁止する活動を開始した。第1会、第2回、及び第3回締約国会議(COPs)において、禁止決議が I/22、II/12 、 III/1 [17]、(訳注6) としてそれぞれ採択された。これらは、締約国である各国ははこれらの締約国の決議を実施することを意味するので、非常に重要である。悲しいことに、フィリピンと日本はこれらの決議を批准しておらず、そのことが JPEPA 協定の条項を可能にし、実際に危険な意味を持つことになる。バーゼル条約と決議の趣旨は下記の表に示される。 脚注16: The International Trade in Wastes: A Greenpeace Inventory, 1990. 脚注17:これらの主要な決議は下記にて見ることができる。 http://www.ban.org/main/about_Basel_Ban.html http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/Basel_Decision_2.html バーゼル禁止令 決議 III/1(当研究会訳) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/Basel_Decision_3.html
上記の表に見られるように、日本とフィリピンは経済的動機による廃棄物の輸出をより良く管理し、時には極悪非道なやり方を禁止するという世界のコミュニティの願望と足並みを完全にそろえているわけではない。その中で最も顕著なことはバーゼル禁止修正条項の批准と実施である。 すでに62か国が修正条項を批准しており、アジア地域では中国、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、及びスリランカが含まれるが、フィリピンはまだ批准していない。一方、日本は修正条項に反対していることで知られている。それにもかかわらず、両国はバーゼル締約国から批准するよう促されているので、両国に圧力をかけることが重要である。先進国での廃棄物処理コストの高騰、開発途上国の経済的な欲求、有害廃棄物の増大、世界的な富の不平等などの国際的な廃棄物貿易の推進力は、今日は以前に比べはるかに深刻である。 2006年8月にヨーロッパからの有害な石油化学系廃棄物をひと船分受け取り10人の死者とコートジボアール政府の内閣総辞職をもたらした最近のコートジボアールでの悲劇、使用済み消費者製品のような大量な廃棄物の移動、老朽化した外洋船の輸出などは、世界の有害廃棄物貿易の管理の強化の必要性を証明する現在の事例以外のなにものでもない。 5. JPEPA の廃棄物関税削減は意味がないのか? ”[協定中に]含まれる項目のひとつは我々が有害廃棄物と呼ぶものである。それは全て込みの貿易の一部であり、それは彼らが我々に廃棄物を輸出することを許すということを意味しない。[廃棄物条項は]それ以外の何をも意味しない。−−フィリピン通商長官ピーター・ファビリア[18] JPEPA の交渉に当ったフィリピン政府の代表はその交渉の過程で、関税削減プログラムに廃棄物を含めることは現実と関連のあることでなく、単に事務的なことであり、国内法やバーゼル条約を無効にするものではないと繰り返し主張した。これらの声明は残念ながら事実ではない。 条約は一旦批准されると国内法と同等となる。バーゼル条約それ自身は日本でもフィリピンでも国内法として実施されているが、1989年のバーゼル条約は有害廃棄物の輸出を禁じておらず、単に輸出させないようにしているだけであることを理解しなくてはならない。先進国から開発途上国への廃棄物投棄の世界的なゲームを禁じているのは、フィリピンはまだに批准しておらず、日本は批准の意図が全くない1995年バーゼル条約禁止修正条項である。さらに、フィリピンの国内法はリサイクリングのための有害廃棄物の輸入は厳密には禁止しておらず、単に許可制にしているだけである。その上、バーゼル禁止修正条項を含んだバーゼル条約は(それが発効するという前提で)、JPEPA より上位に位置し、たとえこの二国間協定が発効してもそれを無効にするという保証はどこにもないということに留意しなくてはならない。 法律に矛盾があるときには、JPEPAのような新たな条約に署名する前にそのような矛盾を防ぐための取組にまず着手しなくてはならない。明らかにこのことはなされておらず、その理由は質されなくてはならない。内在する矛盾は裁判で正当性が争われるべきものである。そして実際に裁判沙汰になった場合には、法廷は最も新しく最も具体的な協定の方が古くて一般的な協定に勝ると裁定するであろう。本件の場合、JPEPAは、貿易の制限又は禁止という考え方と明らかに矛盾して貿易を促進するために明確にされた非常に特定な廃棄物の流れを含む最も新しい協定である。JPEPA に廃棄物貿易自由化の条項を含めることの理由は単に交渉の策略であると述べられているだけである。 ”もし、我々がそうしなければ、我々は替わりのものを提案するよう強いられたであろう。それは交渉戦略である[19]” ”ポーカー・ゲームのように、強いプレーヤーはエースを隠すために最も弱いカードを最初に見せる”とファビラは述べた。”我々のエースのカードは我々が守りたいと望む成果である。”[20] --- フィリピン通商長官 ピーター・ファビラ しかし、そのようなことの主張に疑義が提起された時に、フィリピンの環境当局の一部に実際に反対の意見があったが、日本がそれを残すよう主張したので彼らはこの不快な矛盾した文言を削除することはできなかったということが明らかにされた。 フィリピン環境副長官デミトリオ L. イグナシオはフィリピン・デイリー・インクワイアー紙に、環境当局は、国内及び国際的な法はこれらの物に関する交渉を禁じているので、廃棄物に関する交渉は”無益”であると通産当局から告げられたと述べた。しかし彼は、”委任事項(Terms of Reference)はすでに日本によって作成されており”、フィリピンはそれでも同国の法律を実施することができると告げられた。 ”JPEPA は”全てか無かの妥協を許さない協定案であり、もし我々が11,300 の物品のひとつか二つに同意しなければ、この協定案はないものとなると告げられた。”[21] --- 環境副長官イグナシオ 世界貿易機関(WTO)は、二国間協定に100%の関税撤廃をを求めているとほのめかす人々もいる。しかし、フィリピン紙からインタビューを受けたフィリピン国際貿易の専門家である弁護士ジェルミー I. カツドラによれば、これもまた偽りである。 ”自由貿易協定(FTA)中で物品の全ての関税がカバーされ、引き下げられる必要がある言うこともまた正しくない”とカツドラは述べた。 世界貿易機関(WTO)のルールが実際に言っていることは、締約国は”実質的に全ての貿易(substantially all trade)”をFTAに含めなくてはならないということであり、”全ての貿易(all trade)ではないとカツドラは説明した。 さらに、多国間バーゼル条約が廃棄物貿易に障壁を設けるよう求めている時に、廃棄物が厳密な物品とみなすことができるのかどうかに関して著しくあいまいさが残る。この二つの条約、バーゼルと WTO の中に内在するこの曖昧さと矛盾は未だに解決されていない。多くの人々は、WTO ルールから多国間環境協定(MEA)関連貿易条項を除外することに賛成している。 実際に、廃棄物を含めることには意味がなく、バーゼル条約の義務、バーゼル禁止修正条項、及びフィリピンの国内法における輸入禁止と矛盾しているのに、これらの廃棄物が協定に含まれなくてはならない説得力のある理由は見つからない。 さらに悪いことには、JPEPA がバーゼル条約の義務、最終的にはバーゼル禁止条項の実施、及びフィリピンの国内法に影響を与えない又は損なうことはないとする主張は、真実ではないということである。実際に、この協定は、フィリピンとその他の諸国の持続可能性のために将来、壊滅的な結果をもたらすことがありえる。 カツドラは、フィリピン・インクワイアー紙の記事の中で政府の主張を要約し、政府の論理を”間違っており的外れなもの”と呼んだ。彼は、JPEPA は実際に条約であり、フィリピンの法制度の下の条約は国内法規と同等なものとしてフィリピンの法律の一部としてとして扱われると述べた。JPEPA が発効されれば、それと矛盾する以前の法律は無効になるとカツドラは述べた[22]。 なぜ、廃棄物貿易自由化条項が含まれているのか? 現在、廃棄物自由化条項が日本側交渉者の強い要求によるものであることがは明らかにされた。廃棄物条項は、全部又は無の妥協のない協定の一部としてフィリピンの医療介護者らが日本で働くための労働条項の代償として受け入れられた。したがって、これらの廃棄物貿易条項は日本側にとっては非常に重要であることは明らかであり、日本は、フィリピンにおける将来の廃棄物輸入規制と禁止の取組を覆すことになり得る前例を作り上げるために日本の非常に大きな経済的権力をその隣人に強要しようとしているように見える。 ”我々にとって JPEPA で最も重要な項目は、我々の海外の労働者の就業、すなわち我々の医療労働者が日本で就業することを可能にする貿易であり、そのことはフィリピンにとって非常に重要である。そこで我々にとっての問題は次のようになる。我々は我々の立場に固執することにより、我々の医療介護労働者やその他の労働者及び生産者に有益である日本との協定を結ばないのか? あるいは、DTI [日本と交渉を行っているフィリピン通商省] に任せるか?” [21] --- 環境副長官イグナシオ 上述の第2節で検証したように、アジアにおける廃棄物貿易自由化のための日本政府の政策の青写真であると見ることができる地球環境戦略研究機関(IGES)から出版された政策文書『国際リサイクル特区とアジア域内ネットワークの構築』と一致して、日本はフィリピンとの自由貿易協定(FTA)を有害廃棄物の自由貿易に対するバーゼルの砦の石組みを崩すために利用している。 JPEA は WTO とバーゼルの対立を願っているように見える このことは、バーゼル禁止修正条項の実施により将来廃棄物輸入を禁止しようとするフィリピンにとって非常に現実的な懸念であるのみならず、WTO とバーゼルの対立への道を開くものであり、環境正義(environmental justice)の諸原則への世界的な影響は破壊的なものとなるであろう。実際に JPEPA の貿易自由化は、WTO によるバーゼル条約への異議申し立てが現実となり勝てるという、少なくとも交渉者らの一部にある願望をよく表しているかもしれない。二つの条約 JPEA と WTO が一つの条約バーゼルに反対する重みを理解すれば、実際に廃棄物は物品でありバーゼル条約はそれらの貿易を妨げることはできないとする WTO 側の通常の見解が支持される結論となり、バーゼル条約を完全に損ない覆す結果となる可能は十分にある。 貿易条項を持つ他の多国間環境協定(MEAs)と同様にバーゼル条約は相互の義務に部分的な矛盾を持っていることは前から知られている[23]。しかし、今日まで、ほとんどの国は多国間環境協定がWTOの貿易自由化要求によって損なわれることを望んでいない。しかし、アメリカや日本など国の政府からなる強い力をもつグループは廃棄物は第一に物品であり廃棄物の貿易制限は根拠が薄弱であるという意見である。環境正義ではなく廃棄物の自由な貿易を許す一方で、バーゼル条約を単に”環境に適正な管理”を推進する3Rタイプに変えるということは 日本を含むジュースカンズグループ(日本、アメリカ、韓国、カナダ、オーストラリア、ニュージランド)にとって非常に都合が良い。JPEPA はバーゼル条約の環境正義の原則を覆す第一歩である。 脚注18:Manila Standard TodayThursday, October 26, 2006 / Official: Enough safeguards vs toxic waste http://www.manilastandardtoday.com/?page=politics6_oct26_2006 脚注19:Manila Standard TodayThursday, October 26, 2006 / Official: Enough safeguards vs toxic waste http://www.manilastandardtoday.com/?page=politics6_oct26_2006 脚注20:Philippine Daily Inquirer - 10/26/2006 / Senate indignant, CBCP sad over 'toxic' accord http://www.bilaterals.org/article.php3?id_article=6314 脚注21:Philippine Daily Inquirer - 10/26/2006 / DENR opposed waste dumping in trade deal but gave in to DTI http://www.bilaterals.org/article.php3?id_article=6315 脚注22:INQ7 Breaking News 10/25/2006 / Int'l trade expert says gov't claims on trade pact 'wrong' JPEPA to 'override existing laws' http://newsinfo.inq7.net/breakingnews/nation/view_article.php?article_id=28698 脚注23:BAN Report: When Trade is Toxic: The WTO Threat to Public and Planetary Health, 1999 http://www.ban.org/Library/when_trade.pdf 6. 結論 フィリピンと日本政府は JPEPA に廃棄物貿易の自由化を含めることの意味について正直ではなかった。両政府はこれらの条項を交渉の過程における事務的な意味のない名残りであると言い抜けようとした。本報告書は、主要な結論として下記を挙げる。
両国は、1989年バーゼル条約を批准したが、1992年、1994年、及び1995年に採択されたバーゼル条約合意決議で具体化されている廃棄物貿易の禁止を適切に強固にすることを怠っている。この廃棄物貿易自由化条項は、現在の国内法、及び将来フィリピンがバーゼル禁止修正条項を批准する時に、又は JPEPA の関税撤廃対象となる廃棄物を禁止することを選択した時にそれらを無効にするために十分な力がある。さらに、この JPEPA 条項は、 バーゼル条約中に見いだされる廃棄物の自国処理という包括的な世界政策に水を差し、これら世界の規範と多国間自由貿易協定であるWTOとの間に対立を生みだそうと仕組まれているように見える。 これらの結果は、廃棄物は世界市場の経済的圧力の対象となる厳密な物品ではないと信じる全ての人々にとって非常に危険となリ得る。しかし、関税撤廃は多くの製品にとって価値があるかもしれないが、例えば、侵入性のある生物種、絶滅の恐れのある生物種、危険な化学物質、麻薬、武器など、あるものについての規制と禁止は強い倫理的、環境的、そして経済的合理性をもつ。有害廃棄物貿易は、世界のコミュニティが規制を求め、、それらの輸出が経済的弱者にコストを押し付けることと同等となるような場合には、完全に禁止すべきものである。廃棄物の自由貿易を規制するためにすでに制定されたまさにそれらの法がこれらの関税削減の攻撃にさらされている。リストされている全ての廃棄物が協定から削除されるまで JPEPA の批准を直ちに阻止しなくてはならない。 7. 勧告
Appendix
JPEPA の関税削減目標となる廃棄物のリストと そのような削減の既存の法律との潜在的な矛盾
脚注24:http://www.bilaterals.org/article.php3?id_article=6323 訳注7:JPEPAの関税表 ■「日本国の表」 と 「フィリピンの表」 関税表には、「日本国の表」 と 「フィリピンの表」 がある。「日本国の表」 はフィリピン産物品の日本への輸入関税用であり、「フィリピンの表」 は日本産物品のフィリピンへの輸入関税用である。 外務省の英語版テキストには 「日本国の表」 と 「フィリピンの表」 の両方が掲載されているが、日本語版テキストには 「日本国の表」 しか記載されておらず、「フィリピンの表」 は省略となっている。 日本からフィリピンへの(廃棄物)輸出に関しては 「フィリピンの表」 が適用されるので、フィリピンへの輸出物品(廃棄物)の分類と関税を調べるためには英語版テキストを見るしかない。そのために、JPEPAに廃棄物輸出が含まれていることが非常に分りにくくなっている。 上記の表は 「フィリピンの表」 に基づいている。 日本語テキストにある「日本国の表」には、上記の表に示す品目は示されておらず、次のような大分類項目が示されているだけである。 ・第二六類 鉱石、スラグ及び灰 ・第三〇類 医療用品 ・第三八類 各種の化学工業生産品 ・第六三類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ 日本の衆参両院での審議が廃棄物の記述のある 「フィリピンの表」 の日本語テキストなしで、十分な情報提供を受けずに行われているとしたら問題である。 ■関税表
原産品 1 略 2 1(a) の規定の適用上、次に掲げる産品は、締約国において完全に得られ、又は生産される産品とする。 (a)〜(h) 略 (i)当該締約国において収集される産品であって、当該締約国において本来の目的を果たすことができず、回復又は修理が不可能であり、かつ、処分又は部品若しくは原材料の回収のみに適するもの (j)当該締約国における製造若しくは加工作業又は消費から生ずるくず及び廃品であって、処分又は原材料の回収のみに適するもの (k)本来の目的を果たすことができず、かつ、回復又は修理が不可能な産品から、当該締約国において回収される部品又は原材料
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