BAN ニュース 2021年2月22日
活動家ら 海運会社にプラスチック廃棄物の
開発途上国への輸出を止めるよう要請

情報源:BAN News, February 22, 2021
Activists Ask Shipping Lines to Stop Exporting
Plastic Waste to Developing Countries

https://www.ban.org/news/2021/2/22/activists-ask-shipping-lines-
to-stop-exporting-plastic-waste-to-developing-countries


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年2月28日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/210223_Activists_Ask_
Shipping_Lines_to_Stop_Exporting_Plastic_Waste_to_Developing_Countries.html

プラスチック廃棄物貿易は地球を窒息させる

【ワシントン州シアトル 2021年2月23日】世界中の環境および社会活動家は、プラスチック廃棄物を豊かな先進国から環境的に適切な方法で処理するための設備が整っていない開発途上国に輸送しないことにより、企業責任の約束を証明するよう主要な海運会社に求めた。

 バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)、グリーンピース、ガイア(GAIA)、環境調査エージェンシー(EnvironmentalInvestigation Agency)、ラスト・ビーチ・クリーンアップ(The Last Beach Cleanup) など世界中の 52 の組織は、世界最大の 9つの海運会社である Hapag-Lloyd(ドイツ)、 Maersk (デンマーク)、CMA CGM(フランス)、MSC(スイス)、Hamburg SUD(ドイツ)、Hyundai Merchant Marine(韓国)、Evergreen(台湾)、COSCO(中国)、Orient Shipping(ヨルダン)に対して、プラスチック廃棄物を運ぶ輸送用コンテナが豊かな工業化された OECD諸国(先進国)から非 OECD諸国(開発途上国)に輸出されるのを防ぐための基本方針を確立し、その手順を実施することを促す手紙を書いた。
 プラスチック廃棄物活動家グループによると、そのような輸出品は分別されておらず、汚染されており、実際には違法である可能性が高く、廃棄物の多くが犯罪的不法取引として取り押さえられるか、大部分が受取国で投棄され燃やされ、労働者や地域社会の健康を損なう。

 ”プラスチック廃棄物を開発途上国に輸出することは、世界にとっても海運業にとっても良いことではない”と、バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)の事務局長ジム・パケットは述べた。”これらの貨物は、インターポール(国際刑事警察機構)によって追跡され、政府によって押収され、船会社の評判を傷つける上に、滞船料と返還費用を負担する違法取引のネットに巻き込まれる可能性がある。要するに、プラスチック汚染の世界的な運び屋として機能することは、誰にとっても良いことではない。”

 2021年1月1日、バーゼル条約の締約国である中国、メキシコ、マレーシア、インド、インドネシアを含む 187か国が、米国および欧州連合諸国からさまざまな混合された及び汚染されたプラスチック廃棄物を受け取ることは違法になった(訳注1)。その他の貨物は、合法的に輸送する前に、輸入国の同意が必要である。しかし、これらの新しい法律だけでは、ブローカーがプラスチック廃棄物を発生源で適切に管理するのではなく、海外の標準以下の事業に輸出することによってお金を節約する方法を見つけ続けることを阻止できないかもしれないという恐れがある。。コンテナの数が非常に多く、輸出入港での検査が不足しているため、活動家は、主要な海運会社が主導的な役割を果たさなければ、非倫理的な廃棄物取引が続く可能性があることを恐れている。


*国連コムトレードデータベースから BANがまとめたデータによると、昨年、米国、英国、EU、日本は、非 OECD 諸国にプラスチック廃棄物を定期的に出荷していた。 2020年10月に入手可能な最新のデータでは、非OECD諸国へのプラスチック廃棄物の輸出が増加しており、プラスチック廃棄物の海外諸国による処理に依存していることが示されている。グラフ拡大
 昨年の開発途上国への OECD の輸出に関する BANの データ*は、2020年の最初の 9か月間で 170万トン以上のプラスチック廃棄物が EU、米国、英国、日本から輸出されているという恐ろしい状況を描いている。2020年10月だけで、マレーシアは世界中からプラスチック廃棄物のコンテナ 16,740 TEU (訳注:TEUとは、20フィートで換算したコンテナ個数)(約8.9万トン)を受け入れた。* これは、1日あたり約 558個のコンテナ受け入れに相当する。違法なプラスチック廃棄物取引に関するインターポールの2020年の報告書は、プラスチック廃棄物の貿易規制が輸出業者によって日常的かつ厚かましく無視されていることを示している。港湾規制の執行が緩すぎることが多いため、ブローカーは新しい規則に反して今年もこの取引を継続することが予想される。したがって、商業部門(海運業界)が違法または持続不可能な貿易を阻止するために主導的な役割を果たすことが重要であると考えられる。

 2月17日に9社に送付された、このレベルの責任を求める書簡は、具体的に次のことを求めた。

 ”OECD から非 OECD諸国、および OECDであるトルコ、メキシコへのいかなる種類のプラスチック廃棄物の輸送は許可されない。”

 ”我々は海運会社に、人々と海の健康を、世界的な廃棄物投棄サービスとしての役割を果たすことで得られる可能性のある小さな短期的な利益よりも上に置くよう求めている。本日、立ち上げたキャンペーンで、どの企業の行動がより大きな持続可能性への取り組みと一致するかを示すスコアカードをもって報告を開始する”と、プラスチック貿易監視グループの The Last BeachCleanupの創設者であるジャン・デルは述べた。
訳注1:改正バーゼル条約(2021年1月1日発効)
訳注:プラスチック廃棄物に関連する情報


化学物質問題市民研究会
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