トップページ | おしらせ | 警察見張番だより | 会員募集 | リンク | メール






(2002年8月22日発行)


他の頁へはこの数字をクリック



第3回定期総会特集号
出版を終えて
「刑事確定記録」出版の意義とその影響



弁護士 鈴木 健

 前回の「見張番だより 第7号」において、警察見張番立ち上げに当たってのメインイベントとして掲げた「神奈川県警本部長などの犯人隠避・証拠隠滅刑事事件確定記録」が、4月25日に発売された別冊宝島Real033『裸の刑事』PART3「隠蔽工作−神奈川県警不祥事を再検証する」という形で日の目を見たことをお伝えしました。私は、先日7月4日に行われた第3回総会においてもそのことをご報告したのですが、会場に来られなかった方のために、「見張り番だより 第7号」には書いていないが総会会場では触れたことにつき若干この場で付け加えさせていただきます。

 『裸の刑事』は、横浜関内の有隣堂書店本店では、出版と同時に他の「別冊宝島」シリーズと共に2箇所において平積みされました。とはいえ、前回の「たより」でもお伝えしたとおり、今や社会問題を時間をかけて原因究明し提言するという類の書物はあまり売れ筋にはなりにくいようで、『裸の刑事』も、爆発的に売れているわけではないようです(報道番組『ザ・スクープ』が打ち切りになったのも、手間暇をかけて製作しても視聴率がとれずスポンサーがつきにくくなったことが原因とのこと。残念)。

 しかし、一般市民に対する売れ行きとは別に、警察組織内部に対する威嚇力は、一定程度上がっていると思われます。我々役員会では、事件に関わった人間のどこまで実名を出すかにつき検討し、起訴猶予になった者も含めて書類送検された者は実名を出すことにしました。すなわち、起訴された5人は既に新聞報道などで広く名が知られることになったでしょうが、起訴猶予になった者は、当時さほど報道の対象になっていなかったと想像されるところ、ここで改めて市民の批判にさらされることになったのです。が、別冊宝島の編集長によると、今のところ起訴された者からも起訴猶予になった者からも、実名報道の形で出版されたことについての抗議は来ていないとのことです(起訴猶予になった者の中には辞職していない者もいるのに、です)。

 また、これは私の知り合いの弁護士が言っていたことですが、担当している刑事事件の被疑者の話によると、警察署の留置場の中では『裸の刑事』がよく読まれていて話題になっているとのことでした。被疑者が適正な捜査とは何かを知ることにより、警察官は、違法・不当な捜査や取調をしにくくなります。

 こういった威嚇効果こそが、情報収集・公開活動を通じて組織のありかたを正していくという、我々警察見張番や全国のオンブズマン活動団体の究極の狙いとするところなのです。組織も、自分たちのやっていることが市民にガラス張りにされれば、不正なことはできにくくなります。今回の出版を一つの成果として、今後も情報公開開訴訟活動などを通じて、継続的に神奈川県警を「威嚇」していきたいと考えています。


トップページ | おしらせ | 警察見張番だより | 会員募集 | リンク | メール