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(2002年8月22日発行)


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第3回定期総会特集号

開会のことば
−−−職務と責任−−−


弁護士  佐久間哲雄



 防衛庁の情報公開室の担当官が、情報公開請求者について職業、所属組織などを記入したリストを作っていたこと、そのリストが、情報公開室のLANを通して他部署の者からもアクセスが可能な状態におかれていたことがスクープされ、大騒ぎとなった。

 防衛庁は、緊急事態が発生したとき、治安出勤の任に当たる自衛隊を所轄する組織である。治安出勤時における要注意人物の監視、拘束等の資料に、右のリストからの個人情報が使用されないとは限らない。防衛庁、政府は、担当官個人の発想によるものと頑張り通した。情報公開室のLANによって、公開請求者のリストを目にした人たちが、何の疑問も持たなかったのは何故か。疑問を持った人がいたとしても、リスト上の思想・信条に及ぶ個所の削除などを進言せず放置したのは、何故だろうか。

 先日、神奈川県警察本部刑事部捜査一課の幹部捜査官は、取調べでは「お前」と言い、或いは名前の呼び捨てで被疑者と対峙すると証言し、大声を出すことがあるのもやむを得ないと胸を張って供述した。絞首台から生還した冤罪事件の被害者の多くが、捜査過程において虚偽の自白をしている事実から、証人は捜査官として何を学んでいるかと質問してみたが、要領を得た証言はなかった。

 思うに、防衛庁に勤務する公務員として、防衛庁・自衛隊に対し敵意を有する者、防衛・治安活動に障害となるかもしれない者を予め掌握しておくことは職務に必要な行動だと考えているのではないか。捜査官は犯罪者の摘発、犯罪者との対峙は戦いだ、きれい事では済まないと考えているのではないか。組織全体がこのような考えになったとき,自分らのやっていることが違法であることなどポッカリと忘れ去られてしまう。

 上記の2例は,日本人の弱点の一つを典型的に示したものと思う。


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