注釈の詳細はこちら
交響曲第3番はこちら
交響曲第9番はこちら
ベーレンライター社から刊行中の、ジョナサン・デル・マーの校訂によるベートーヴェン全集を使用した初録音盤という触れ込みで「アルテ・ノヴァ」という廉価盤専門のレーベルから発売されているCDの2枚目(7番・8番)が出ました。(デイヴィッド・ジンマン指揮/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団)
1枚目(5番・6番)が出た時に申し上げたように、この演奏はデル・マー版を忠実に再現したというよりは、デル・マーがもともと共同作業を行っていたオリジナル楽器の演奏家のスタイルを大胆に取り入れたたいへんユニークなものだったのです。私自身はこういう変わり者は大好きなのですが、オーソドックスな名演が支持されやすいこの国の音楽界ではとうていメジャーにはなりえないと思っていました。事実、1枚目は値段の安さ(880円!)ばかり強調されて、内容については殆ど黙殺されていました。
ところが、いったいどうしたというのでしょう。演奏のスタンスは1枚目と全く同じだというのに、この2枚目はちょっと様子が違います。まず朝日新聞の「クラシック試聴室」で取り上げられたかと思ったら、「レコード芸術」では、なんと交響曲部門の最初の2ページぶち抜き「特選盤」という、破格の待遇を受けているではありませんか。しかも、このような演奏からは最も遠いところを理想とされていたはずのあの宇野巧芳先生までもが全面的に褒めちぎっているのですから、世の中分からないものです。
ところで、このCDに収録されている「第8番」は、現時点で唯一デル・マー版の現物を見ながらジンマンの演奏が聴けるものです。ところが、譜面と音とをつきあわせてみると、ちょっと不思議なことが判りました。
![]() |
※ベーレンライター版(BA 9008)の40ページより転載 |
![]() |
※ベーレンライター版(BA 9008)の4ページより転載 |
![]() |
※音友版(OGT 8)の4ページより転載 |