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〔090〕 大きく変化しつつある中国の性事情 いつしかビジネス規模に
【2007/05/09】
上海市内のあるビルを訪ねた。成人用品を扱う専門店が入るビルだ。政府から強制的に閉店させられたなど、さまざまな噂がこれまで飛んでいたが、何事もないように営業していた。
いろいろな噂が流れたのは、新聞やテレビなどのマスメディアがほとんど取り上げてこなかったためだとされる。中国のインターネット上には成人用品に関する商品情報が増え、通信販売も珍しくなくなった。だが、新聞などに広告を出すことは原則的に禁止され、記事にされることもない。このため、専門店の存在は市民にはそれほど広く知られていない。
上海駅からほど近い繁華街、大通りに面したビルの1階と2階は漢方薬を扱う店が占める。その3階に「“性”福生活小天地」がある。未成年者は立ち入り禁止とあるが、警備員がいるわけではないし、チェックがあるわけでもない。誰でも出入り自由な状態にある。
ガラス張りで見渡せるようになった店舗が約20店ほど。フロアー全体は明るく、見た目には通常のデパートと変わりがない。
ただし1階や2階に比較して客は多くない。「客の大半は地方の商売人で、卸が中心」と、店員は説明した。「あまりに多く客が出入りすると、関係機関が営業停止に踏み切ることもあり得るので、このくらいがちょうどいい」という声もあった。
品揃えは、媚薬、性用具など実にさまざま。日本、アメリカ、ドイツ製などと表示された商品が目につく。日本でいえば、アダルト・グッズ、大人のおもちゃという店構えだ。
中にはSM商品を専門に扱う店もあり、口塞口枷 条鞭皮拍といった単語とともに説明文が掲げられていた。中国でもっとも品揃えが充実した店舗だと、経営者と名乗る人物が誇らしく語った。
安い値段のバイアグラがあるといって、すかさず購入を進めてきた。日本、香港、台湾から仕入れた本物で、政府も認めた合法的なものばかりだと説明する。店内にはアメリカ、日本、中国などでの「厳格検験」済みといったうたい文句が目につく。
「店員はすべてが本物、合法だと言いはるが、値段からしてあまりにも安すぎる。たぶん偽物だろう」
同行した中国人記者はいぶかった。中には、前アメリカ大統領の顔写真を使用した媚薬などもあり、現地記者が推測するように危なげな品がいくつも見受けられた。
ほとんどの店員が女性で、白衣を着用する。屈託のない笑顔を浮かべ、質問にはてきぱきと答える。彼女たちの多くは「医療関係者で、さまざまな相談に乗る」と言う。差し出された名刺には成人用品と記され、さらに性保健用品あるいは衛生用品といった文字も付くが、商品の購入を勧めるだけで専門知識となるとかなりあやしい。
現地記者は「10数年前なら、営業は許されなかった。それどころか、香港あたりから入ってきたアダルト・グッズを持っているのが見つかって逮捕された者もいた。時代の移り変わりを感じる」と言う。
最近では、上海で「中国国際成人保健及生殖健康展覧会」と題した大規模なイベントが虹橋経済技術開発区にある上海国際展覧中心(上海国際展覧センター)」で開催され、昨年で3回目となった。会場では数多くの成人用品が展示されたほか、下着のファッションショーも開催された。
しかし、展示会は中国国際展覧中心集団公司、中国性保健産業国家級管理機構、中国保保健協会性医薬保健分会などによる主催。
「すべてが公的機関にコントロールされ、民間人の自由裁量はない。店の営業にしろ、大規模なイベントにしろ、風紀の乱れを防ぐという大儀のもと、ガス抜きのような役割を政府が認めているのではないか」と、現地記者はみる。
中国政府は売買春などを中心に、風俗営業の取締を強化している。去年、広東省では摘発した売春婦らを公安当局が公衆の面前に引き回すなどした。しかし、これらはたんなるポーズに過ぎないという批判の声は強い。
中国には存在しないという建前になってきた売買春だが、実際にはカラオケ屋、マッサージ屋、ホテルなどで売買春は行われている。しかしこれらは外国人も客になるような表の売買春だ。
都市部、農村部にかかわらず、裏の売買春となると100元(約1500円)たらずの額で、公衆トイレでも行われているという話も聞く。
また日本ではほとんどなじみがないが、中国でもっとも普及しているといわれるインスタントメッセンジャーQQ。このQQを活用した売買春も広がりつつあるとされる。こうした傾向に対し、政府は「精神異常者の行動」と批判するが、もはや効き目はない。
「それだけに、成人用品を扱う店がもっと増えれば、売買春は減るよ」という店員がいた。
経済発展にともなう側面として、今後、この種の店が増える可能性は高い。中国人の性行動について研究する中国人作家は「改革・開放政策にのって想像以上に現実は進んでいる。性に関わるさまざまな分野がカネになることに気づき、セックス産業と呼べるまでに規模は大きくなりつつある」と言う。
最近、上海に開店したSMクラブの「女王」と名乗る女性は取材申し込みに対し、1時間1000元(約1万5000円)を要求してきた。
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