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〔089〕 「日本人はしゃべりすぎ」 中国の日本人向け飲食店経営者の警告
【2007/04/07】

 日本の上海総領事館員の自殺事件は、2005年末の『週刊文春』の報道がきっかけとなって明るみに出た。2006年夏には、複数の海上自衛官が内部情報を持ち出し、中国への無断渡航を繰り返していた。しかも彼らは総領事館員が出入りしていた同じ店に行っていたこと伝えられる。

 今年に入ってからも、やはり海上自衛官がイージス艦情報を持ち出していた疑いが強まり、しかもその妻が中国人であったという。

 「軍事に関わるような重要な情報が中国へ漏れたかどうかは、私にはわからない。しかしいろんな情報が流れたとしても不思議ではない光景が毎晩、中国では見られる」
 こう話すのは、中国で日本人相手の飲食店を経営する男性だ。

 「話が真実かどうかはともかく、店内で話すべきではないと思える内容の話がペラペラと、得意げにしゃべられる。日本人客は場所をわきまえず、他人に無警戒で、しゃべりすぎだ」と、その男性は警告する。

 「日本人は日本語がわかる人物に出会うと、急に饒舌になり、緊張感をたちまちなくしてしまう。ホステスが隣にいるにもかかわらず、何でもかんでも話をするのは危険だ。自分を偉そうに見せたい客の気持ちは理解できないわけではないが、ここは日本ではない」

 日本人客相手のホステスは、日本語が話せる。しかしすべてのホステスが日本で生活した経験があるわけではない。つまり日本語が話せても、日本人や日本について理解しているわけではない。

 それだけに、日本人ならホラ話だすぐにわかるような怪しい内容の話であっても、彼女たちはすぐに信じてしまう。しかし、話の中には、当然、口外すべきではない事実も含まれる。そうしたさまざまな話は、たちまち他の場所で他人へと広がる。これが噂社会の中国の実情だ。

 「中国が他の国と違うのは、一般人の密告や通報に対する意識だ。日本人の中にはまだこのことを理解できない人が多すぎる」

 中国の雑誌記者はこう語る。彼自身、文化大革命中とはいえ、学校の教師の一人を監視するように命じられ、逐一、その行動を報告していたと打ち明ける。

 中国では、密告や通報は革命的であり、美徳であり、義務でもあるとして奨励されてきた。1989年6月の天安門事件をきっかけに国外に出た物理学者の方励之博士が、かつてこう語ってくれたことがある。

 「密告や通報は中国では、建国以来、階級闘争に対する自覚が高いことの証明とされてきた。これが共産党の価値観であり、密告者や通報者は常に称えられてきた」

 改革・開放時代に入ったといっても、先の記者のように実際に人を監視した経験を持つ者は今も社会の中枢におおぜいいる。

 「いまわしいと言えばそれまでだが、今もって過去の価値観を払拭できない者は多い」と、記者は言う。

 そんな中国社会にあって、危機管理をみじんも感じさせない日本人。例えば、自分が特別な身分であることを誇るような高級車で来店する者。やたらと名刺を配る者。こんな状況を幸いとして、露骨なことを言う中国人経営者がいた。

 「お金を毎晩、店につぎ込んで。ついでに貴重な情報も忘れずに持ってきて。情報は店への客寄せになるから」


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