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〔087〕 「日本人であることさえ隠さなければならないのか」と嘆く中国の日本人
【2006/08/16】

  • 【最新スポット情報】 中国:反日デモに関する注意喚起 外務省

  • (緊急)大使館への抗議活動について(在留邦人の方々へのご注意)
     在中華人民共和国日本国大使館

  • (緊急)北京の日本大使館への抗議活動について(在留邦人の方々へのご注意)
      在上海日本国総領事館

  • (緊急)反日活動に関するご注意(在留邦人の方々へのご注意) 在瀋陽日本国総領事館

  • 小泉総理の靖国神社参拝にともなう注意喚起 在重慶日本国総領事館

  • デモ関連情報 在広州日本国総領事館
 外務省や在中国の日本大使館、総領事館のホームページに掲載された最新情報だ。いずれも8月15日。広州の日本総領事館は当日、午前10時半付けで、デモ関連情報を掲載した。小泉首相の靖国神社参拝を受けてのもの。

 こうした対応は珍しく手際が良すぎると驚く、北京に駐在する日本人ビジネスマンがいる。
 「しかし素早い対応とはいえ、大使館や総領事館のホームページにアクセスしなければ知り得なかったが」と言う。

   首相が靖国を参拝すれば中国でどのような反応が起きるか、大使館員や総領事館員は当然ながら、あらかじめ予想していた。総領事館に出入りすることが多い一人は、首相の靖国参拝によって日本人の安全が脅かされると危惧する館員もいて、「小泉が参拝を強行した際には、以後、外出には注意するように」と、個人的に伝えられていたという。

 しかし、ホームページ上に示された「注意喚起」や「ご注意」は、以下のような内実はおざなりなもの。

  • 日本及び海外のテレビ、インターネットなどの報道に十分注意する。

  • 日本大使館、総領事館のホームページ、外務省の危険情報などをこまめにチェックする。

  • 広場など大勢の人が集まるような場所に近寄らない。

  • 抗議活動を目撃した、あるいは事前にこれらの情報を入手した場合には、現場に近寄らず慎重に行動するとともに、関連情報を大使館又は総領事館へ知らせる。
 「要は、自分で自分の身を守りなさいということだろう。在留日本人に対する具体的な安全策が準備されているわけではない。私が知る限り、総領事館員たちは館内にこもりがちだ。外出するにしても、常に万全の対策が整えられている。彼らに比べれば、一般の日本人は無防備に等しい。だが、おびえて家や会社にこもっていては、仕事にならない」

 首相が参拝をすれば注意しなければならないとする大使館や総領事館の論理からすれば、誰が日本人を危険な事態に巻き込む状況をつくりだしたのか。

 「小泉は靖国参拝は公約という。しかし一国の首相が不特定多数の日本人の危険性を高めるというのは愚行としかいいようがない」と、憤る北京の日本人会所属のビジネスマンもいる。

 8月11日、 すでに広州の総領事館は安全情報として「在留邦人の皆様へ」と題し、以下のような注意を伝えていた。

 「8月から9月にかけては、日中間の歴史上注意を要する日があり、テレビ、新聞等でもこうした特集が組まれます」として、「中国人と興味本位で不必要な政治談義、議論をしない」「街頭演説、集会には近づかない」などに続いて、こんな一項さえ付け加えられていた。

 「タクシー乗車中に運転手から『日本人か?』等と尋ねられた場合は、必要に応じ言葉が分からない振りをする等して政治談義を避けるとともに、状況によってはタクシーを乗り換えることも考慮すること」

 日本人だと率先し公言するのではなく、尋ねられてさえ日本人であることを隠すようにすべきだという。この恥ずべき事態をあえて伝えなくてはならなくなっている。

 「さまざまな情報が集まる総領事館が、このような警告を発するということは、一般人が想像する以上の危険な事態に直面しかねない兆候があるということなのか。たった一人の独善的な満足感のために多くの人を巻き込むことは避けてほしい」
 上海の数ある日本人会の一つに入会している日本人はこう嘆いた。

 別の同僚は、「自分の意見に反対する者は、党外に追放するような首相だ。中国にいる日本人のことなど、考慮していないのではないかという不安がつのっている」

 日本では8月15日を一つの区切りとする。だが、中国は違う。9月3日には中国人民抗日戦争勝利記念日。9月18日は九・一八"事変(満州事変)記念日がひかえる。


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