一つはエデッサ(現在のトルコ領ウルファ)のアブカル王の病を治すためにイエスが自分の顔を押しつけた布(マンディリオン)を送り、王の病を治したというもの。
もう一つはゴルゴダの丘を登るイエスにヴェロニカが差し出した布にイエスの顔がうつったという伝承(外典ニコデモ福音書)。ちなにに今でも特に西ヨーロッパでヴェロニカといえば、聖顔を意味する。もっとも、Veronica という名前自体が vera icona (真の像)から由来しており、かなり作為的な伝承ではある。
いずれにせよ、本来は十戒で厳しく禁じられていた人為的な”偶像”ではなく、イエス自身により”聖顔”が作られたというところが、これらの伝承のポイントであると言える。(「イコンを描く福音書著者聖ルカ」も同様)
構図の特徴は
左右がほぼ対称のイエスの首のない顔面像。髪の房は通常左右2房ずつであるが、後年は1−3房で左右の対称性が破られる作例が増える。
背景に十字架を伴った円形の光輪を持つ。伝承に従い、垂れ幕のようにつるされた布を背景にする作例も多い。
前述のように西ヨーロッパ絵画では「ヴェロニカ」がこれに類似し、また、「この人を見よ
Ecce Homo」も類似した構図をとる。
聖書では
外典ニコデモ福音書
代表的なイコン