Eric Rohmer
エリック・ロメール
Connoisseur Video版 "La Collectionneuse"->

 エリック・ロメールが好きだなんて、人前ではうっかり話さない方が良い。ロメールの映画はなるほどサラリとオシャレなフランス映画かも知れない。主人公たちは恋をし、泣き、そしてあまりに多くを語り合う。

 でも、ロメールの映画は一貫してエロティシズムの映画なのだ。そうでなければ、どうしてこれほどまでに他愛もない映画なのに、多くの人が彼の映画を偏愛しつつ見続けるだろうか?

 80歳を迎えたロメールは本当に(良く言われているように)女性の感情がわかっていて、女性の琴線に触れる脚本を書いているのだろうか? 女性を理解して映画を作ることで名作が生まれるならば、なぜロメールが描く主題を彼以上に表現できる女性監督が現われないのだろう?

 想像してみて欲しい。もし、ヒッチコックの映画に恐れおののく美しいヒロインが不在であったなら、彼の映画は古典となり得ただろうか?不自然に美しいヒロインたちは、ヒッチコックの歪んだ執拗な愛情の対象として純化され、我々のサディスティックな欲望をストレートにくすぐる。ヒッチコックは満たされぬ欲望を、自分とは似ても似つかぬ俳優を代役に使ってスクリーン上に実現してみせたのだ。だが、ロメールはそんなちゃちな小細工を必要とはしない。

 ロメールの映画は、ヒッチコックと似た欲望の構造を持ちながら、そんなことに感づかれないように「自然に美しい」ヒロインが、求めている男性の不在に苦しむ姿をリアルに提示してみせる一流のエロティシズムの映画なのである。



Cinema 作品

Triple agent, 2003
Triple agent
(三重スパイ)

1936年のパリを舞台としたスパイもの(らしい)。
L'anglaise Et Le Duc, 2001  日本語公式サイト(プレノン・アッシュ)
The Lady and the Duke
グレースと公爵
日本では2002年年末の公開となる。かなり期待できる作品のようだ。Read more
Conte Des Quatre Saisons: Conte D'automne, 1998
Tales of the Four Seasons: Autumn Tale
恋の秋
若い女性の映画ばかりを撮ってきたロメールが、「秋」を描くために中年にさしかかったロメリエンヌ達を主人公にして「恋」のフーガを奏でてみせる、、、Read more
Conte Des Quatre Saisons: Conte D'ete, 1996
Tales of the Four Seasons: A Summer's Tale
夏物語
たわいもないバカンスでの風景。近頃ありがちな意志の弱い好青年。彼が待っているのはヒステリックで自意識の肥大した少女。新たに出会った情熱的な女性に惹かれつつ、そこに包容力のある魅力的な女性(アマンダ・ラングレ)が、、、Read more
Les Rendez-vous De Paris, 1995
Rendez-vous in Paris
パリのランデブー
3つのエピソードの中で、女性たちはパリという舞台で、、、Read more
L'arbre Le Maire Et La Mediatheque Ou Les Sept Hasards, 1993
The tree, the Mayor and the Mediatheque
木と市長と文化会館 または七つの偶然
ここでは懐かしい顔を含めてロメール映画の俳優たちが集まる。でも主役はおしゃまで知的な少女たちだ、、、Read more
Conte Des Quatre Saisons: Conte D'hiver, 1991
Tales of the Four Seasons: A Tale of Winter
冬物語
冬物語は夢のように過ぎた夏のシーンから始まる。そして一転して冬。しかし冬こそが人の触れ合うことの暖かさを教えてくれる季節なのだ、、、Read more
Conte Des Quatre Saisons: Conte De Printemps, 1989
Tales of the Four Seasons: A Tale of Springtime
春のソナタ
眉をひそめて美しく悩むフロランス・ダレルが脳裏に焼き付く。軽快なスプリング・ソナタ。新しい花を買って留守中の恋人のアパートに戻るアンヌ・ティセードルの満ち足りた表情、、、Read more
L'ami De Mon Amie, 1986
Comedies & Proverbs: Boyfriends and Girlfriends
友だちの恋人
誰がなんと言おうと、この映画でのエマニュエル・ショーレは魅力的だ。いとおしくて抱きしめたくなる。そう、恋とは仕組まれたものなのだ、、、Read more
Quatre Aventures De Reinette Et Mirabelle, 1986
Four Adventures of Reinette and Mirabelle
レネットとミラベル 四つの冒険
野暮ったさを、単なる野暮ったさではなくしてしまうところが彼の魔法なのか、、、Read more
La Rayon Vert, 1985
Comedies & Proverbs: Summer
緑の光線
かつて自分の感じた想いをなぞるかのように、ストーリーは進んでゆく。悲しいまでに等身大の主人公。彼女が涙を流す時は、自分が孤独に泣いた時を、、、Read more
Les Nuits De La Pleine Lune, 1984
Comedies & Proverbs: Full Moon in Paris
満月の夜
パスカル・オジェが痛々しい。とても素晴らしい演技をしているのだけれど、彼女のその後の(その前も)人生を思い出させて、、、Read more
Pauline a La Plage, 1982
Comedies & Proverbs: Pauline at the Beach
海辺のポーリーヌ
ポーリーヌ(アマンダ・ラングレ)が従姉妹と過ごした海沿いでのバカンス。リアルで陳腐な登場人物たちの中で、ポーリーヌだけが不思議な魅力を放っている、、、Read more
Le Beau Mariage, 1981
Comedies & Proverbs: Le Beau Mariage
美しき結婚
彼女にとって「救い」とはなにだろう? 彼女はなにを学んだのだろう? そんなことは論点ですらない、、、Read more
La Femme De L'aviateur, 1980
Comedies & Proverbs: The Aviator's Wife
飛行士の妻
単調な、そしてあまりに稚拙な印象を与える、、、Read more
Perceval Le Gallois, 1977
Perceval Le Gallois
聖杯伝説

Die Marquise von O..., 1975
The Marquise of O
O侯爵夫人

L'amour L'apres-midi, 1972
Six Moral Tales: Chloe in the Afternoon
愛の昼下がり

残念ながらZOUZOUは魅力的ではない。あの時代、フランスにおいて彼女に付与された記号を我々は知らない以上、、、Read more
Le Genou De Claire, 1970
Six Moral Tales: Claire's Knee
クレールの膝
どうしよう。ベアトリス・ロマンがめちゃめちゃかわいいのだ。Read more
Ma Nuit Chez Maud, 1969
Six Moral Tales: My Night at Maud's
モード家の一夜
ロメールの作品の中でもっとも高い評価を受けている傑作。カソリック、パスカルの確率論、不貞の形、美しくも寂しい地方都市でのインテリ同士の語らい、、、Read more
La Collectionneuse, 1966
Six Moral Tales: La Collectionneuse
コレクションする女
奔放でどこか投げやりな少女が作り出す緩やかな波紋。男達は距離を置いている積もりだが、知らぬ間に絡め取られてゆく、、、Read more
Paris Vu Par..., 1964
Six in Paris
パリところどころ
6名の監督によるオムニバス。エトワール広場(凱旋門)での事故。フィリップ・ソレルス、、、
La Carriere De Suzanne, 1963
Six Moral Tales: Suzanne's Career
シュザンヌの生き方

La Boulangere De Monceau, 1962
Six Moral Tales: The Girl at the Monceau Bakery
モンソーのパン屋の女の子

Le Signe Du Lion, 1959
The Sign of Leo
獅子座

主人公と共にパリをさ迷う我々は、ふとゴダールと出会ったりするのであろうか?Read more




Books 書籍
Cahiers du cinema版 「四季の恋の物語」->
CINE VIVANT シネセゾン編集発行




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 また表題の右に付された年は作製年ですので、公開年とは異なります。誤りなどがありましたら、ご指摘ください。

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