Conte Des Quatre Saisons: Conte D'hiver

Tales of the Four Seasons: A Tale of Winter

冬物語


監督・脚本 エリック・ロメール

撮影 リュック・パジェス

音楽 セバスチャン・エルムス

出演 シャルロット・ベリー / フレデリック・バン・デン・ドリーシュ / ミシェル・ボレッティ / エルベ・フュリク

あらすじ

 冬物語は夢のように過ぎた夏のシーンから始まる。そして一転して冬。しかし冬こそが人の触れ合うことの暖かさを教えてくれる季節なのだ、、、

個人的な感想

 「ロメール版『生きて行く私』

 わたし、好きです、この映画。

 シャルロット・ベリー演じる主人公フェリシーは、あまり賢いとは言えないが愛らしく美しい女性。というか、賢くないから愛らしいといったタイプ。彼女はバカンス先で知り合ったとコックと恋仲になる。

 夏が終わり、別れ際に彼女は彼に連絡先を書く。なあーんと、その住所を彼女は間違えて記する。当然、彼は彼女に連絡を取ろうとしても連絡のつけようがない。彼女は彼の連絡先を知らない。(バカンス先の宿帳を調べれば、相互に連絡がつけられるのでは?というヤボな突っ込みはしてはいけない)

 彼女は妊娠していた。

 で、数年後、子連れの彼女は二人の極端にタイプの違う男性の間で、ゆれている。それも、よくもまあーこんな両極端なタイプと付き合えるなあーといった連中なのである。一人はやり手の中年美容師で脂ギラギラ。もう一人はよくいるインテリで物分りが良くて「優しい」タイプで、議論するのが好き。この彼がなんでフェリシーとお付き合いしているかは謎。この二人が(とくにインテリ君が)とってもリアル。もうイヤになってしまうくらいリアル。リアルすぎて気持ち悪くなるくらい。(いや、実際キモイがな)

 子連れのフェリシーは、この二人をさんざん手玉に取った挙句、なんと二人ともほっぽり出す。いや、わかっています。彼女もさんざん悩んで、最良の道を選ぼうとしているということは。でも、ことを進める前に、あらかじめ諸事情を考慮して、責任を持った言動を取るといったことにおいて、彼女は決定的に無能者なのですよね。

 この映画の素晴らしさは、映画のラストにその「運命」のコックと偶然再会する!(やれやれ、、、)という所ではなく、この当て馬にされた二人の男性のリアルな翻弄されっぷりと、フェリシーのこれまたあまりにリアルな身勝手で責任能力の無さ加減なのですよね。自らのクレディビリティ(信頼性)を全く省みない姿勢に、潔さまで感じてしまします。

 しかも、コックとの再会の時点では、この当て馬二人との関係もきれいに清算されているといったご都合主義!(というか、すべてフェリシーのご都合の映画なのですが、、、)

 「じゃー、このコックはどんなお人柄なんじゃいな?えっ?」と、ハッピーなエンディングロールに向かって突っ込みたくなるのを我慢できなくなったあなた(男性)。わかりますよ、、、その気持ち。でも、女性を一般化しないようにね。
 

cf. 淀川長治さまの解説 明快である。それに比べて、あまりに商業的な解説で恥ずかしくないのか?という類いのものも存在する。これとか。



Eric Rohmer
Home