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抗原・抗体についての概略
抗原については“さまざまな抗原たち”で一応書いてはいる。今回は少し違った視点で書いてみよう。抗原が体内に入ると抗体が出来る。しかし、この抗原と抗体は全てがかみあっているわけではない。抗原分子と抗体分子は一部でしっかりと繋がっている。人と人が手を握りあっているように。そう、抱きあっているわけではなく、手を握りあっているのである。抗原から見て、この手に相当する部分を“抗原決定基=エピトープ”という。一つのエピトープでは一つの抗体しか出来ない。では、小さい抗原はどうするのか。小さいものの場合、すぐに体外に排出されてしまう。うちの学生実習では“ペニシリン”に対するアレルギー実習をしている。このペニシリンアレルギーを起こすであろうマウスを作成して学生さんに見せるわけである。しかし、ただペニシリンを抗原として免疫しても、もちろん抗体は出来るが、短期間でしっかりと活性が高い抗体は簡単には出来ない。
区切り
そう、ペニシリンを打って簡単に抗体が出来るようでは困るのだ。だって、風邪をひいたら注射することもあるでしょう。一回打ってすぐに抗体が出来たら治療薬としてはつかえないのである。一般的な蛋白質みたいに分子量が大きくはないのだ。実習期間は短い、その間に確実に作る。それにはどうするか。この場合は次のようにする。
低分子の抗原はハプテンという。このハプテンに対して、キャリアという蛋白質を結合させる。キャリアとは、これをつけるとハプテンに対する抗体が出来るようになるものである。ペニシリンよりももっともっと小さい分子、例えば人工的に合成した化学物質:TNP(トリニトロフェノール)などでも蛋白質であるアルブミンなどをつければしっかりと抗原性を発揮するのだ。
このような抗体は一般にIgM、IgG , IgA , IgE 、IgDに別れる。これらだけではなく、生体内のいろいろな蛋白質は免疫電気泳動という方法で分けられるのだ。イムノグロブリンたちは似ている構造はしているが、やはり±の荷電がちがう。これを利用して電気泳動で分けるのである。−に荷電しているアルブミンはプラスに引き寄せられ、+に荷電しているグロブリンは−に引き寄せられる。特にIgGは最も強く−に引き寄せられる。それよりも内側にIgMやIgEなどが来るのだ。IgAはIgMと同じくらいの位置から+側に尾を引く傾向がある。こうしてみるとどれが多いとか少ないとかがわかるのだ。そう、+の方からα1、α2、β1、β2,γに分かれるのだ。5種類のグロブリン達はそれぞれμ、γ、α、ε、δという独特な構造を持ち、H鎖の定常部と呼ばれるところに存在する。定常部は何かの教科書を参考にするように。この部分のように、同一人物の中で違った部分を認識するものをisotypeとよぶ。また、それぞれの抗体は構造が若干違っていて、IgMは五量体、IgAは二量体であって、これらにJ鎖というものが結合していて唾液などに出てくることに関係するのだ。分泌が多で有名なものがIgAで、母乳中にあることはあまりにも有名である。また、抗体にはサブクラスというものもあって、IgGにはG1 G2 G3 G4という4つのサブクラスに分かれていて,IgMとIgAにはM1 M2 とA1 A2の二つのサブクラスがある。では共通するものはないか??ある。L鎖といわれているところだ。ここはκとλといわれるものがあってこれは各グロブリンに共通している。免疫グロブリンのクラススイッチが起こっても、抗体を作る一つの細胞はκを作るか、λを作るかは変わらない。これを応用すると、臨床的にいろいろなことがわかる。癌の発生とかを考えると、癌は一つの細胞からクローン化して増えていくと考えられるため、免疫グロブリンがκかλに限られているときなどはクローンであることが想定されるということになる。もちろん、これだけで決めるわけではないけれどね、一つの想像する材料になるのだ。
いろんな免疫グロブリン、それに対応する抗原、文章だけで書くのは限界はあるけど、少しはわかるかな??
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