T細胞抗原レセプターはTCRといわれるものである。これは抗原そのものではなく、B細胞がMHCとともに細胞表面に提示している抗原の断片を認識するのである。B細胞と同じく、一つのT細胞は一種類のTCRしか持たない。従って、B細胞と同じく多くの抗原に対応するTCRは遺伝子再構築によってできるのである。T細胞の発生段階で一つの遺伝子が選択されて再構築するのだ。人体ってすごい。T細胞などの前駆細胞であるリンパ系幹細胞は骨髄にあり、まだTCRを発現していないpre-Tといわれる状態になってから胸腺に移動していく。B細胞にもB細胞特異的な抗原分子があるのだが、T細胞にもT細胞特異的抗原分子があり、これが胸腺内で徐々に発現していく。T細胞にはCD3,4,8などという分子があり、これらのうちのどれが発現しているかによってその役割は異なる。役割の異なるものをサブセットというのだが、末梢に行くまでにはさまざまなT細胞サブセットができ上がってきて生体内でいろいろ働いていくようになるのだ。
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