『フェミニズムの害毒』関連リンクを見る。
1 その主張
とりあえず、見出しが草思社のページに出ていますが、何だか見るだけでおどろおどろしいですね。ここまで言ってしまって足下すくわれないのか、人ごとながら心配です。
紹介や書評は、今年(1999年)8月末に出たばかりなので、まだないだろう思っていたのですが...出ました。しかも長文です。ファイルサイズも大きい。お願いですから項目毎にアンカー付けて下さい(笑)。
ページ内検索で『フェミニズムの害毒』のところに飛ぶと、その内容が見られます。基本的に林氏の立場は支持しつつも、やり方がまずいんじゃないの、というスタンス。よくまとまった見事な書評です。
確かに、この人のような「軽く受け流して度量のあるところを見せなきゃ」という態度は、フェミニストの多くにとっては最も頭に来る対応でしょうね(笑)。私もちょっと頭に来てます(笑)。でも、その指摘はそれなりに正しいとは思います。確かに、林氏は「よほどフェミニズムに対してルサンチマンがたまっているのであろう」とは思いますが、それは専ら彼がアカデミシャンだからだと思われます。学問の世界では優勢に見えるフェミニズムですが、普通に会社員なんかやっていて、少しでもフェミニズム寄りの考えを持っていようものなら、役職クラスの団塊のおじさま方に疎まれるわ説教されるわ。世間全体ベースで見れば、フェミニズムなんて泰然自若と受け流していいくらいの微力なものに過ぎません。「あまり力まれては困る」というのは、フェミニズムを好ましくなく思う人たちとしては真っ当な見解でしょう。
しかし、この書評の人のフェミニスト理解にはかなりの誤認があるように思います。「野蛮に還る思想」だなんて誤解はちょっとひどい。社会の仕組みやルールを組み替えようという主張をそういう風に言い換えられてはたまりません。「少数派の異議申立てとしては有効だが、多数派になったら危険」だなんて、あのー、「つくる会」とかじゃないんですから...。フェミニズム、というか、それを起点として広がったジェンダー研究の多様性は、そう簡単に「多数派」という一枚岩になり切れるものではありません。まあ今からでも遅くはないので、井上・上野・江原編『日本のフェミニズム 別冊 男性学』(岩波書店、残念ながら品切れだそうですが図書館にはあるでしょう)あたりを読んでみてほしいと思います。
もう一つ、週刊文春の書評欄からの抜粋を私がまとめてみました。何か、「真の平等を打ちたてる」なんて言ってますが、平等って何だかわかってるんでしょうかと言いたくなりますね。
2 反響/反論
先日某リベラル寄り書店に行ってみたのですが、『フェミニズムの害毒』は平積みどころか普通の書棚にも見つかりませんでした。リベラル陣から総スカンを食って、結構苦戦しているのかも知れません。それにしても、反対陣営の本だから置かないなんてのは、度量の小ささを示してしまって却って逆効果なんじゃないですか、セゾンさん。
でもそのうちウェブ上にも色々出て来るのではないでしょうか。今後の展開が楽しみです。
一つだけ、面白い引用例がありましたので、ご紹介します。こちらをどうぞ。
「人間とはそんなに単純な存在ではないのだ」ですか(ページ移転。しかし該当部分が削除されてます。しかし何でまた...)。はあ...訊かれもしないのにそんなことまで書く人の気が知れません。何か、舞い上がってませんか、林先生?
(1999.10.24)