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『フェミニズムの害毒』関連記事の紹介

 

1 『週刊文春』書評より

これは『週刊文春』1999年9月9日号掲載のものです。もっとも、林氏の『フェミニズムの害毒』の掲載論文のほとんどは、文藝春秋社発行のご存知『諸君!』が初出のようですから、手前味噌的な感覚は差し引いて読む必要があるでしょう。(以下、段落下げ部分は全て同記事からの引用です。)

この書評の著者は水口義朗氏、前『婦人公論』編集長だそうです。その方が、東京女性財団(東京・青山にある東京ウィメンズ・プラザの運営団体)の会議でこんな科白を吐いて、列席の面々を凍りつかせたのだそうです。

...わたしが、実感していることの一つは、フェミニズムは、その考え方を絶対とすると、ファシズムになるということです。
 いま、ヨーロッパ論壇の争点は「共産主義はファシズムか」で、共産主義の犯罪が検証されつつあります。つまり、コミュニズムが、ナチズム以上に犠牲者を出している歴史的事実です。

ヨーロッパ論壇の争点がそんな単純な話かどうかはさておき、「人生の大半を"女性問題"で食ってきた男」と名乗るこの人が、言っては何ですがこんなナイーヴな発言を女性財団の場ですれば、それは凍りつくでしょう。長年"女性問題"でやってきて、フェミニズムに対してこの程度の理解というのが、ちょっと凄いです。

そもそも「フェミニズムの考え方を絶対とする」などということは、今や不可能だと思われます。かねてから「女性による自己記述」という以上の共通点がないと言っていいほどの百家争鳴であったフェミニズムは、いまや同じ問題意識に基づく「男性学」などにも発展し、「ジェンダー研究」という言葉でしか括れないほど広がっています。『フェミニズムの害毒』で槍玉に上がっている女性の社会進出などは今やその一隅を占めるに過ぎません。どころか、男性学はむしろ男性が社会から撤退する自由を模索すらしています。そういうご時世に、

"女性はすべからく働くことを目指すべし" が現在のフェミニストの錦の御旗。この考えで進むと"フルタイムで働き続ける女性"のみが、絶対正義になる。専業主婦という生き方は、女性解放の邪魔になる存在、遅れた怠惰な立場と見なされる。

などという理解は、フェミニズム憎さゆえの誤解としか思えません。よっぽど限られたフェミニズムの論客と論争されたのであれば、それはお気の毒様としか言いようがありませんが。(追記:こうした決めつけの背景に関するリンクと考察をここに掲載しました2000.2.1) むしろ現在のジェンダー研究の主流と言えるのは「女性にも働く自由は男性と同等にあるべきだ」という考えであり、また「専業主婦」という生き方があれば「専業主夫」があってもいい、という見解です。せめてこういう書評を書く前に、「育時連」(男も女も育児時間を! 連絡会)の活動でもおさらいしておいてほしいものです。

ついでにもう一つ引用、これは『害毒』からの孫引きにもなりますが、林氏は

<われわれが目指すのは、やみくもに性別分業を否定し、保育園神話にうつつをぬかし、母性と家庭を崩そうとする硬直した愚かなフェミニズムを廃棄し、真の男女平等を打ちたてることである>と述べている。

のだそうです(評者も同感のようです)。しかし、そういう硬直から自由になる努力をフェミニズム/ジェンダー研究がしてきたということは何一つ知らないで、こんなことを書くのは勘弁いただきたいものです。付け加えれば、共働きの親たちが保育園神話にうつつを抜かしているなんていうのも偏った見方ですね。私の息子が通う保育園の父母会の親たちは、保育園のスタッフといかに連携、協力して子供を育てていくのかについて非常に熱心です。時には「只でさえ日々仕事で疲れているのに、ここまでしていいのか」と思うことすらあります。こうしたことは、「保育園を考える親の会」の活動などをご覧になればご理解いただけると思います。

保育園まで持ち出されたので、ちょっと冷静さを失っていますが、まあ今回はご勘弁を。

(1999.10.24)

 

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