画像補正トライアル -ひと味違う画像をめざして-

2001.6.30

当サイトでは古い写真も撮影時のイメージを極力再現した画像の公開を目指しています。開業時(2000.11.5)にアップした「ホームページ立ち上げ奮闘記」では、色あせた写真がきれいに補正されたときの感動などについてご紹介していますが、当コーナーはその続きとして、画像の補正に関する試み、苦心についてご紹介していきます。
 既にネット上には具体的なソフトを掲げてレタッチの手法を解説したサイトが多数あり、素人の私が今さら体系立てて「解説書」を作るつもりはありません。あくまでもページ制作の1課程で試した手法をご紹介し、デジタル写真の可能性の広さによって、あきらめていた作品も情熱を注ぎ込めば甦らせることができる(可能性がある)ことを微力ながらもお伝えできればと思います。プロやハイアマの方には歯がゆい内容もあろうかと思われますが、素人の試行錯誤と割り切ってご笑覧いただければ幸いです。

1.明るさを調整する

その補正、ちょっと待った!

レタッチソフトの機能で最も使う機会が多いのが明るさの補正ではないでしょうか。スキャナーに付属していてユーザーが多いと思われる「Photoshop LE」(以下PSL)にも明るさの調整機能がついています。「自動調整」の機能を使えばかなりの確率できれいに補正できますが、かえって悪くなってしまったという場合も少なくありません。今回はPSLの色調補正にある「明るさ」「明度」「レベル」の補正機能を用いてテストを行いました。

(1)スキャナーから取り込んだ原画

スキャナーから取り込んだ原画  

スキャナーから取り込んだ原画です。これはこれで黄昏時の雰囲気がよく出ていてよいかも知れませんが、暗部のディティールがもう少しほしいところです。「自動補正」をしたところ、コントラストが高められて、黒いSLがさらに黒くなってしまいました。
 右上は「レベル補正」を選ぶと表示される明るさの分布を表すグラフです。右端が純白、左端が純黒で、グラフが高いほどその明るさの部分が多いことを表します。このグラフでは暗い部分と明るい部分の頻度が高く、中間色の頻度が低いことがわかります。


(2)明るさの補正

明るさをプラス

自動調整がうまくいかない場合は手動調整を行います。左の画像は「明るさ」をプラスしたもので、違いをわかりやすくするために適正よりも多めに補正しています。すでに煙の左側の空や、煙の上1/3くらいの調子が飛んで(白飛びを起こして)しまっています。これは原画のヒストグラムでは見られた筑波山のような部分(右の2こぶの山)が右へ押し出されてしまって純白のところに鋭い山ができていることに表れています。
 その一方では足回りの影の締まりがもうひとつよくありません。ヒストグラムからもわかるように、左側の黒に近い部分(赤矢印)が欠落しており、純黒の部分が存在しないためです。
 コントラストを上げれば締まりは改善されますが、調子が飛んだ空はさらに白っぽくなってしまいます。「明るさを上げる」操作を行うと、各部分が平行移動で一律明るくなるようです。最も明るくなった(飽和した)部分は当然ながらそれ以上明るくなりません。



(3)明度の補正

明度を+14

今度は「色相、彩度の補正」で、「明度」をアップさせてみました。空の調子は保たれていますが、黒の締まりはやはりよくありません。グラフでもわかるように「筑波山」は残っていますが、純黒に近い部分がやはり欠落しています。「明度を上げる」操作では最も明るい部分は変化させず、暗い部分ほど明るさを上げる割合が大きくなるようです。


(4)レベルの補正

ガンマ=1.3

純黒の部分を欠落させることなく画像を明るくするには、純黒、純白の部分は変化させずに中間調の部分を明るくする「ガンマの補正」と呼ばれる方法があります。「レベルの補正」で、グラフの中央の三角(赤矢印)をスライドさせることによって、白と黒のちょうど中間のグレーとなる位置を補正します。左側に動かせば、より暗い部分がちょうど中間のグレーになるため、全体的には明るくなります。これならば影の締まりは維持され、明るい部分の調子が飛ぶこともありません。
 作例は補正を強めにしていますが、もう少し控えめにしてもよかったでしょうか。


(5)補正後のヒストグラム

レベル補正後のヒストグラム

ガンマの補正を行った後のヒストグラムを表示してみました。中間色帯を持ち上げた(明るくした)ため、明るい部分の頻度が高まり、左側の鋭く高い山がなだらかになり、「筑波山」が高くなっているのがわかります。
 グラフを並べながら補正結果の違いをご覧いただきましたが、画像は数値よりも人の目にどう見えるかが大切ですね。


レタッチの基本中の基本とも言える明るさの調整ですが、私は「ちょっと暗いかな。」と感じると安易に「明るさの補正」を使っていました。しかし、その操作によってせっかくネガに写っていた滑らかな階調を飛ばしてしまった可能性があります。既にアップしている作品にもこのような作品が多数ありますが、今の段階では次のコンテンツにばかり気が向いて、なかなか修正できそうにありません。

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