碧電12周年企画各地を走った ジョイフル気動車

第17回 こがね  13.3.10UP

小金沢−大谷海岸の日門漁港付近をゆく「こがね」

●主要な活躍の舞台だった気仙沼線

東日本大震災から2年になるのを前に、再掲載となりますが、気仙沼線をゆく「こがね」を扱います。同車は第2回で扱った「グラシア」のリニューアル車ですが、塗装、名称がともに変わっています。
 「グラシア」は2003年にリニューアルされ、「こがね」に名称を変更。2010年末まで活躍していました。一般乗車が可能な多客臨時列車に使用される機会が多いのはグラシア時代と同様で、気仙沼線には頻繁に乗り入れていました。

 2008年10月、修学旅行色が再現されたキハ28・58の「ひまわり号」を主目的として、気仙沼線を訪れました。10/12の日中は小金沢−大谷海岸の有名撮影ポイントで過ごしました。そして、大谷海岸から「こがねふかひれ号」に乗って宿泊先の仙台へと向かいました。
 志津川を出ると徐行運転になりました。海沿い区間のサービスです。朝来るときは思わず感嘆の声が出るほどの美しさでしたが、帰りは日没後でした。このときは2年半後にこの海が大暴れすることになるとは想像もできませんでした。

 2011.3.11の震災による津波で気仙沼線は大きな被害を受けました。大谷海岸駅も道の駅を併設した建物の2階まで水没したそうです。そして、現段階では鉄道としての復旧工事が行われることはなく、一部区間をバス専用道路としてBRTで運行を再開しています。
 三陸鉄道が補助金を受けて復旧工事が進んでいるのとは対照的に、JR東日本の沿岸線区は復旧に消極的な印象が否めません。このままでは三陸鉄道が南北でそれぞれ孤立するような状態になってしまいます。
 復旧費用が莫大であることに加え、震災によって沿線の住民の流出が続いている現状では、気仙沼線沿岸区間に再び列車が走る日が来ることを期待するのは極めて厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 JR東日本は大きな会社なんだから自力で復旧しなさいと言ったところで、結果は見てのとおりです。沿線自治体の復興計画待ちという説明も言い訳に聞こえます。
 先人たちが苦労して敷いた三陸縦貫の線路が長期にわたって途切れ途切れになることを強いられそうです。こんな中途半端なことになるのならば、いっそのこと三陸鉄道への移管を前提に補助金で全線を復旧したほうがよいとも思えます。しかし、復興予算を沖縄県の道路工事やシーシェパード対策費に使って適切だと言うような人たちに支配されているうちは、それも期待できそうにありません。
 震災の年の夏に海を渡り、フィリピン国鉄で活躍する「こがね」はどんな思いでかつて活躍した路線の惨状を見ていることでしょうか。

快速「こがねふかひれ号」 2008.10.12 気仙沼線 小金沢−大谷海岸


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