これまでちょこちょこ撮ってきた写真と、それにまつわる機材や旅の話です。
20代後半から30代のあいだ、大手出版社で週刊誌の記者をしていました。
大半の取材にはカメラマンが同行するものの、手数は多いほうがいいので
僕らもそれなりの機材を揃え、普通に撮影をしていたのです。そのとき思
ったのは、カメラマンと同じような写真を撮っていてもしかたがないとい
うことです。それぞれ立場が違うのだから、記者の視点で対象を見て、そ
れを写真に収める努力をしなければ、わざわざ重いカメラを持ち、そこに
立っている意味はありません。その後、仕事を離れて自由に撮影をするよ
うになってからもこの考えは変わりませんでした。ここで紹介させていた
だくのは、カメラマンほど上手ではないものの、僕なりに何かを観察し、
報告できないかと模索してきた結果です。うーん、そんなおおげさなもの
じゃないか。ただの旅のスナップだし(笑)
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石川憲二
ジャーナリスト、作家、編集者


古い記録(2003年2月〜2016年12月)は別ページに移しました。
フィルム時代の写真もなかなか味があるので、ぜひ、ご覧ください。

OLD


富山県、高岡20170301
2010年に訪れたときには昭和感あふれる駅ビルと寂れた地下街で強く印象に残った高岡でしたが、その後の再開発事業により、駅周辺はすっかりきれいになりました。北陸新幹線の開通に合わせて、いろいろ町興し企画も進行中みたい。山町筋金屋町に残る江戸時代からの伝統的な町並みは貴重な観光資源なので、これからも大事にしてください。個人的には、町のあちこちに点在する「絶対建築史に残らないような昭和のチープなデザインビル」がツボです。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
左の写真、けっこう複雑な加工をしているのですが、わかりますか?
















北海道、函館20170310
函館駅から徒歩15分ほどの自由市場は、お客さんも地元の人が多いので落ち着いて買いものができます。しかも休憩用のテーブルが用意されており、箸と醤油が置いてあるから、購入した刺身をその場で食べることも可能です。写真は平目、帆立貝、鮪赤身&中トロ(ほぼ大トロだった)で1000円。安い! 函館の市場では市電堀川町駅そばの中島廉売がもっとローカルで、こっちはこっちで味があります(飲食は不可)。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
観光客だらけの駅前の朝市にも安い店はちゃんとあるので、奥までしっかり探してみてください。
















茨城県、土浦20170320
「土浦がヤバい」とは聞いていたものの、三連休の最終日に訪れてみたところ、本当にとんでもないことになっていました。写真は奥の黄色い建物が駅ビルで、このあたりは本来なら、もっとも賑わっていなければいけない場所です。なのに歩いている人はこの程度(これでもいいほうで、ほとんどの時間は無人でした)。駅周辺の商業施設は撤退や閉店が進み、市の中心地なのにまるでゴーストタウン。大丈夫なのか?
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
水戸街道沿いにわずかに残った歴史的建造物を観光の目玉にしたいようですが、あまりに規模が小さく、こっちもほとんど人影はないです。














中国、天津20170325
北京に直結した港湾都市として発展してきた天津は、19世紀後半から20世紀前半にかけてヨーロッパの列強や日本が租界を築いたことから、今でも古い西洋建築が数多く残っています。規模は上海を上回っているので、もっと人気が出ていいはずなのに、アピールが足りないのか国外からの観光客は非常に少ないですね(国内からの観光客、つまり「お上りさん」はたくさんいる)。もっとも、そのおかげで航空運賃もホテル代もかなり安いから、行くなら今だと思います。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
旅行ガイドにもあまり詳しく紹介されていない町なので、旅行情報のメモをつくりました。あまり参考にはならないと思いますが、興味をもった方は、どうぞ。






















鹿児島県、奄美20170416
奄美大島の中心部(名瀬)にあるバー「QLK」。日本国内で歴史あるバーが次々と閉店している現在、このレベルの店が離島で営業を続けていること自体、大きな奇跡です。経営は楽ではないそうですが、バーテンダーであるご主人は農家と兼業で店を守りたいと語ってくれました。お酒に関する知識は豊富なので、カクテルなど、おまかせでどうぞ。久しぶりに、また行きたい店に出会いました(旅中2日連続で通った)。あ、開店時間はときどきブレるので事前に確認してください。
[Olympus OM-D E-M10 & ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye]

















静岡県、掛川20170626
静岡県って、割とメジャーなようで、案外、知らないエリアがあります。特に東海道本線や新幹線が通っていないところって、あんまり行ったことがないはず。でも、けっこうおもしろい観光スポットがあるんですよね。写真はプリミティブな石垣の横須賀城祉。ネット上の書き込みでも「丸い石垣のお城は珍しい」「よく復元されている」と絶賛の嵐です。他にも太平洋側で唯一の油田とか、たくさんの砂丘とか、見るべきところはいっぱいあります。
[Olympus STYLUS SH-60]
天気が悪そうだったので「雑なカメラ」しか持っていかなかったのですが、相変わらず写りは抜群です。














岩手県、北上20170802
北上はけっこう大きな町なのに(デパートもある)、北の花巻(宮沢賢治)や南の平泉町(中尊寺金色堂)に比べると印象が薄いのか、観光で訪れる人はあまりいないようです。でも、飲み屋はけっこうバリエーションがあるので、意外と楽しめる旅先でした。おばちゃんが仕切る「おでん千石」は、ぜひ行くべき。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
北上駅舎は、最近、どんどん減ってきている「国鉄型」ですね。でも、ピンク色はかなりめずらしい。青春18きっぷでがんばって来たので、ここまでの交通費は2300円程度でした。早朝に出れば夕方には着くし、仙台駅改札横の立ち食いそば屋で昼食も摂れます(知る人ぞ知る名店)。
















三重県、四日市20170808
三重県最大の都市である四日市は、いろいろ微妙かも。貴重な歴史的建造物があるのに、地元では本当にその価値がわかっているようには思えないし、室町時代の風景まで再現した「金のかかった」博物館もアピール不足です。そして何より、県下一の商店街が衰退気味なのに具体的な対策が感じられません。写真は国内にわずかしか残っていない狭軌鉄道のひとつ(線路幅が狭く車体も小さくておもちゃみたい)、四日市あすなろう鉄道の南日永駅の風景。けっこう有望な観光資源だと思うのですが、地元の扱いはかなり雑です。
[Olympus STYLUS SH-60]     















長野県、飯田20170826
16年前、たまたま乗った飯田線がおもしろく、関連情報を集めているうちにたどり着いたのが、ローカル線の超マイナーな駅を「秘境駅」として紹介している牛山隆信さんのサイトでした。そして協力を得て出版したのがこの本です。誰も言ってくれないけど、ウェブサイト(いわゆるホームページ)をもとに本をつくった初期の例だと思います(『電車男』はこの3年後)。なので、あえてネット特有の表現を、一部、残したのですが(文章はすべてリライト)、そういった「工夫」に気づかなかった読者も多く、これはこれで「工作」がバレなかったのだから、正解なのかなあ。
[Olympus STYLUS SH-60]
久しぶりに飯田線に乗ったら、こんなことになっており、仕掛け人としては感無量です!















カンボジア、プノンペン20170909
せっかくカンボジアにまで行ったのに、アンコールワットには足を延ばさず、首都プノンペンだけで1週間過ごすという怠惰な旅をしてきました。そんな緩い状況だけに、できれば、こういった女の子の写真でお茶を濁し、「ちょっとぐらいピンボケでも力ある被写体はそれを超える」と上手にまとめたかったのですが、気になる写真を撮ってしまったのでそっちの報告を次でします。
サブショットはここに。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
プノンペンの旅情報は、まだ少ないのでメモをつくりました。かなり偏った見方ですが、参考になれば幸いです。















カンボジア、プノンペン20170913
ホテルの窓からたまたま撮ったプノンペン市内の一風景だったのですが、あとで画像を確認して驚いてしまいました。よく見てください。手前の川岸、水面と地面の高さが同じで、すでに少し、水が溢れてきています。もしちょっとでも増水したら大惨事です。わかりやすいように拡大写真を掲載します。見比べると、こちら側は護岸工事の途中のようなのですが(この後、堤防を築く?)、10月いっぱいは雨季で豪雨の可能性あるのに、どうしてこんな無防備な状態で放置しておくのか、さっぱりわかりません。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]

















台湾、基20170924
台北から1時間以内で着く基は台湾を代表する港町であり、有名な夜市(実は昼間からやってる)や2階が食堂街の市場、そして台湾名物パイナップルケーキの元祖といわれるお菓子の名店(個人的にはイチゴケーキのほうが好き)などの観光スポットが狭いエリアに集中しています。けっこう楽しめますよ。ちなみに英字ではKeelungと書くのですが、地元の人に確認したら、キールンではなくチーロンが一番近いようです。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
この写真、柵の字のおかげで安い観光ポスターっぽくなったところが、妙に気に入っています(そういうキッチュな町です)。














台湾、台北20170926
最近、割とがんばっている台湾のアートシーン。さすがに欧米日には勝てないものの、現代美術の分野では確実に「次点」には着けていると思います。このため、台北に行ったときには当代芸術館市立美術館を訪れるのが、けっこう楽しみです。最近はその利便性を考えて宿を選んだりします。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
市立美術館は松山空港に近いため、すぐそばをものすごい勢いで飛行機が通り過ぎます。それを撮影をしようと屋外展示場に潜んでいたところ(超暑いので誰も出てこない)、女性がひとり現れたので、ちょっと狙って撮ってみました。わかりますよね。














台湾、台中20171205
相変わらずいろいろな場所に出没しているものの、一方で台湾に関してはしばらく頻繁に通い、観察していきたいと思っています。いいところだからね。ここ台中は台湾の中では先進的な町として知られ、芸術やファッションなど、台北よりおもしろい動きが見られることが多いです(彩虹眷村とか)。また最近、日本にも影響を及ぼす台湾のスイーツ事情の発信地は、たいがい台中になります(たとえばタピオカミルクティとか)。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
















マレーシア、ジョホールバル20180116
ジョホールバル(JB)はシンガポールに隣接した町という好立地を活かし、マレーシア第二の都市にまで成長しました。一部で治安の悪い町だといわれることがありますが、そんなことはなく、駅の南西に広がる旧市街も、昼間、歩く限りはまったく問題ありません。もっとも特に観光するところもないのですが……。この写真だけでは寂しいので、次に行ったイポーのあまりに絵はがき的な駅の風景を掲載します。凡庸ですが説得力はあるよね。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
久しぶりに行ったマレーシア。旅をするうえでいくつか気づいたことがあるので、「旅行メモ」として公開します。→ブログに掲載することにしました。イポーの食のレポートもお読みください。





















マレーシア、クアラルンプール20180122
ショッピングモールの建設ラッシュに沸く東南アジアでは、集客力に直結する「派手さ」を競う戦いが熾烈に続いています。マレーシアで注目すべきはクアランプールのKLパビリオンでしょう。とにかく飾りつけが盛り盛りですごく、それが地元民の心に刺さるのか、エントランス付近は記念写真を撮る人でいっぱいです。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye]
こっそり撮影させていただいたこの一家は、その微妙な服装から、かなりローカルな方々だと見受けられます。経済発展の勢いに乗じ、思い切って首都見物に来たのでしょうか。日本の高度成長期を生きてきた僕にとっては、けっこう親近感があり、このあと家族の記念写真を手伝ってあげたら、ものすごく喜ばれました。















愛知県、岡崎20180508
名鉄東岡崎駅に併設されている駅ビル「岡ビル百貨店」があまりに昭和だという噂を聞いていたので、名古屋に用があった帰りに寄ってみました。たしかに貴重な生き残り物件であるものの、館内はかなり閑散としており、改築は時間の問題かも。見に行くなら今のうちです。
[Olympus STYLUS SH-60]


















三重県、奥津20180803
マグロを食べに行こうと那智勝浦に向かう途中、寄り道がしたくなって松阪で降り(牛モツおいしかったです)、ついでに名松線に乗ってきました。盲腸線の終点に何があるのか確認したくて、前から気になっていたんですよね。で、その結果は、味のある宿場町が旧道沿いにわずかながら残っていました。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
究極のローカル線みたいにいわれる名松線ですが、風情のある車窓は最後の数キロだけ。それでも、せっかく復旧してくれたのですから、大勢の人に乗ってほしいですね。















長野県、小諸20180821
佐久と上田のあいだにある小諸は新幹線が通らなかったことで存在感が薄れてしまいましたが、地方都市としてはそこそこの規模があり(本当に「そこそこ」ですが)、それなりに散策が楽しめます。特に昭和の古い建物がたくさん残っているのは楽しいですね。写真はビルのように見える看板建築で、このように角地に建っているケースはめずらしいと思います(二面を飾らなければならない)。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
蕎麦どころとして知られており、名店と評されるところも多いのですが、一生懸命、歩いて訪れてみると臨時休業していることがあり、ああいうのは店だけでなく町の印象もものすごく悪くするから、気をつけたほうがいいです。休むなら休むで、その情報がネットや駅でわかるようにするとか、工夫が必要でしょう。




















静岡県、富士20180822
4年半前に富士駅周辺を回ったことがありますが、実は市の中心部は少し離れた吉原地区にあり、しかも、そっちのほうがディープだとの情報を得たので、山梨県から身延線に乗ってやってきました。問題はここからです。町のセンターに向かうわりにはバスの利用方法がわかりにくく、探し当てた「最短路線」もけっこう遠回りするんですよね。こういった細かいことひとつひとつが町の評価につながるので、もっと真剣に考えたほうがいいと思います。たとえば、富士駅、新富士駅、吉原駅、吉原中央駅、東名富士高速バス停留所を効率的に回るシャトルバスがあれば地元の人にとっても便利なはず(高速バス停へは公共交通がまったくありません。東京へのバスが1時間に数本もあるのに、これは本当に不思議)。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
そんなこんなで、なんとかたどり着いた吉原中央駅(要するにただの貧相なバスターミナル)。目の前にものすごく派手な建物があり、テナントを募集していたので思わず撮影してしまいました。ちょっと借りてみたい(笑)。吉原の商店街は500メートル近く続く長いもので、往時の繁栄ぶりを感じるのですが、今は半分以上、シャッターが閉まっています。もっとも、そのせいなのか残っている建物の大半は昭和建築なので、映画やドラマの撮影に活用できそう。古い町だからこそのいいバーもあります。








ベトナム、ハノイ20180910
ベトナムではフランス統治時代からの広い歩道が多く残り散策しやすいのですが、こんなかたちでバイクが行く手を阻むのは本当に残念です。ほぼ無法地帯のカンボジアのように自動車に占拠されてはいないものの(それなりにルールはある)、真ん中の1台が左右どっちかに寄せていれば通行しやすかっただけに、モラルの徹底にはあと一歩です(左の赤いバイクも、実はその前に僕が通ろうとするのを見て、慌てて「ちょっとだけ」隙間を空けて駐車しました。なんで、もっと早く気づかなかったのかなあ)。おそらく、このあたりが途上国(要するに後進国)と中進国とを分けるのボーダーなのではないでしょうか。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
アジアの人々は、なぜ線路上で生活したがるのか? このあたりの緩さが、土地を機能ごとにきちんと区分しようとする先進国との違いだと思います。鉄道のような大量効率輸送機関は社会を発達させる切り札なのに、そういうものへの低い意識が進歩を妨げているように感じますね。そのせいもあって、たまにしか通らない列車が来たときの踏切の様子は一種のイベントです。なにしろ、遮断機がないんだから、先進国からの観光客だったら写真撮るよねえ。










台湾、新竹20180919
羊の肉(特にマトン)が大好物なのですが、日本では食べられるところが少ないので、海外に行ったときには積極的に探します。中華文化圏の台湾では食肉の優先順位は豚鶏牛。それでも食堂街や夜市にはけっこうな確率で羊肉の店があり、みつけたときにはうれしいですね。ここのメインは濃厚ダレの羊肉丼。塩茹や塩焼が多いなかでは貴重です。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
台北から南に80キロほど行った新竹は古い建物が多く残る地元では人気の観光地です。手前の台鉄新竹駅は日本統治時代の1931年に完成した、現存するものでは台湾最古の駅舎。その向こうにある箱みたいな建物が新しくできたバスターミナルです。台北に向かうならここからのほうが便利。
新竹駅からは内湾線が内陸部に向かって走っています。最近の「台湾ローカル線ブーム」の中ではもっとも地味な路線なのですが、それでもそこそこ楽しめ、終点にはこんな密度の高い田舎町があるので、近くに行ったときには、ぜひ、どうぞ。乗るなら両端にある個室っぽいスペースがお薦めです。地元の人は、なぜか来ないので(隔離されているみたいで、嫌みたい)、ゆったり車窓を楽しめます。










新潟県、佐渡20181113
過疎化などで人口の半分以上が65歳以上の高齢者になり、社会の維持が困難になりつつある地域を限界集落と呼ぶのですが、飲食店などが集まる歓楽街にも似たようなケースがあります。個人的な定義としては、同じタイプの店(料理自慢の飲み屋とか活気のある寿司屋とか深夜までやってるラーメン屋とか)が2軒以上ないところがそれにあたると思う。なぜなら、もしそこが閉まっていたら目的が達せず、わざわざ足を運ぶ意味がないからです。佐渡島の両津の飲み屋街はまさにそんな「限界歓楽街」で、入りたくなる居酒屋はひとつしかありませんでした。島全体が佐渡市という行政区分になったものの、そのせいで唯一の市だった両津の魅力が薄れてしまい、全体にうすぼんやりしたエリアになっています。やっぱセンターは残しておいたほうがよかったんじゃないの?
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
行政への不満はいっぱい聞きました。たとえば、旧市町村の役所はすべて残っているのに新たに市役所をつくったのでスリム化にはつながらずかえって逆効果だったとか、旧両津市民は佐渡市を離れて「新潟市両津区民」になりたがっているとか。ちなみに現在、約5万5000人の佐渡市民(島民)は、毎年、1000人ペースで減っており、統合よりも有効な活性化策が必要だと思うのですが、フェリー料金の島民割引なんかやってるようじゃだめでしょうね(外から人を呼びたいのに、そっちの運賃を割高にしてどうする)。









フランス、ナント20181222
ロワール川の下流に位置する地方都市ナントは調査によると「フランス人が一番住みたい町」なのだそうです。パリに比べるとコンパクトなエリアに賑わいのある商業地と居心地のよさそうな住宅地がぎゅっと詰め込まれ、それらが復活したトラムで便利に結ばれているため、たしかに暮らしやすそう。ただし、魅力ある街になるように行政もさまざまな努力をしており、地域の活性化を望む人々にとっては参考になる事例がたくさん発見できます。写真は渡船で訪れることができるトラントムーという漁村だったところで、アーチストなどの移住を促した結果、カラフルな街区に生まれ変わり、多くの観光客で賑わっています。やってることは壁や窓枠などをペンキで塗っただけであり、コストパフォーマンスは非常に高いですね。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
ジュール・ヴェルヌの生地であることにちなみ機械仕掛けの動物(人を乗せて歩く象や不思議な生物に乗れるメリーゴーランドなど)があったり、街の中心にある城を観光資源として多用したりと(これもあまり金をかけてはいない)、外から人を招く工夫にあふれています。











ミャンマー、ヤンゴン20190105
2018年10月からビザ免除となり、日本人観光客が急増しているというミャンマーに僕も便乗して行ってきました。政治的にはいろいろあったものの(今もあります)、敬虔な仏教国であるせいか人々はやさしいし、食べものもけっこうおいしいので旅をするにはいいところです。観光の目玉のひとつがヤンゴンのランドマークでもあるシュエダゴン・パゴダでしょう。1000年以上の歴史をもち(一説では2500年以上とも)、境内には50以上もの仏塔や廟がある大寺院で、どこをどう見ればいいかわからないほど。そんな中で僕が気に入ったのはこの「マンガ」廟です。お釈迦様の物語をわかりやすく説明しており、この手の表現方法に慣れている日本人にとっては馴染みやすい。ちなみに、メインの仏塔を修復工事中なのですが、上に資材を運ぶケーブルカーもちゃんとデザインされていて、ちょっとおもしろかった。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
その国のネガティブな部分だけをことさら強調する気はないのですが、町中で見かけてしまったので、ミャンマーの現在の事実として、「ゴミ箱から何かしら売れそうなものを探していく姉弟」の写真も掲載します。このような光景は途上国ではめずらしくないものの、全身を使って生活の糧を求めようとする姉の迫力に僕は圧倒されたのです。もっとも、靴はちゃんと履いているし(マスクもしてる)、服装もそんなに貧しい感じはしないので、このあたりが今の「それなりに好調」な経済状況を表しているのかもしれません。
















北海道、陸別20190208
過去最大の寒波が襲ってくるといわれた日に、たまたま「日本一寒い町」陸別を通ったら、テレビクルーがたくさん取材に来ていました。ごくろうさまです。僕の目的は北見に行くことで、帯広行きの飛行機が安かったことからこのルートを選んだのですが(ここでバスを乗り継げば5、6時間で移動できる)、極寒のエリアを抜ける旅は、道中、意外としっかりした町を発見でき(本別、足寄、訓子府など)、けっこうおもしろかったですね。冬の陸別は実は二回目で、前に食べておいしかった秦食堂のお蕎麦をまた堪能できました。北海道特有の極太麺は大好物です。
[Olympus OM-D E-M10 & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
北見はけっこう大きい町で、飲み屋焼肉屋もたくさんあります(ちょっといいバー夜だけやってる蕎麦屋などこだわった店も多い)。でも、マイナス15度レベルの飲み歩きはかなりしんどいですね。途中でホテルに帰って休むほどでした(笑)。そのあと、網走の北海道立北方民族博物館に行ったのですが、北極圏周辺に暮らしてきた民族をグローバルに紹介する博物館はたぶんここしかなく、勉強になりますね。なかでも、アムール川下流地域に住むナーナイ人の花嫁衣装はすっごくかわいくて、結婚式に参列したくなりました(笑)。









ベトナム、ホーチミン20190306
ホーチミン市の中心部にある「統一会堂」は旧南ベトナムの大統領府及び官邸として使われていた建物です。1975年4月30日、北ベトナム軍の戦車がここに突入したことで20年近く続いたベトナム戦争が終結しました。今はそんな歴史を学べる博物館として一般公開されており、大統領夫妻の寝室だった部屋にまで入ることができるのですから、足を運ぶ価値は充分にあります。僕が個人的におもしろいと思ったのは、反共産主義の砦であったはずなのにデザインが妙に社会主義っぽいところです。外観はスターリン様式のできそこないみたいだし(笑)、内部のオフィスは旧東ドイツの秘密警察シュタージにそっくり(こっちも旧本部ビルが博物館になっています)。もちろん完成した時代(1966年)に流行していたデザインを採り入れただけで、そこに深い意味はないと思います。もうひとつ、屋上にヘリポートが設けられているのですが、そこに出る扉の鍵穴が尋常の数じゃない! つまり、これだけの鍵を使える権力者だけが逃げられるわけで(他に空港までの地下道があるという噂も)、当時の南ベトナム上層部の複雑な事情がよく表れています。みんな国を捨てる気満々だったので、先を越されないように用心したのでしょう。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
カメラを少しだけ高いモデルに替えました。M10も高性能だったのですが、ピントがちょっと甘いような気がしてきたので。




















タイ、バンコク20190309
1月にミャンマーを訪れたとき4日間ほどバンコクにも寄り道したのですが、東南アジアを代表する大都市だけあって、もう少し長居をしたいと思いました。そんなわけで早めの再訪。しかも今回の旅のテーマは「いいと思ったらミーハーっぽいところにも行こう!」という低めの設定です(笑)。写真は「バンコク&インスタ映え」で検索するとワット・パクナムに並んで上位に出てくるタラート・ロッファイ・ラチャダーの夜市。多彩なテントの輝きは日本のテレビでも紹介され話題になりました。「どこから撮影しているんだろう?」と気になっていたところ、ショッピングモールの駐車ビルが隣接しており、自由に出入りできるのがポイントだったようです。ただし……(けっこう重要な情報が以下に続く)。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
撮影のベストタイミングがわからなかったので日没前からスタンバイしていたところ、夜が深まるにつれ、酔っ払いも含めて多くの人が殺到してきました。いろいろ緩い国だけに駐車場の管理者も見逃してくれてはいるものの、もともと人が押し寄せることを想定した施設ではないので外壁の高さは1メートル程度しかありません。いつか転落事故が起きるのではないかと心配になるほどで、訪れる人は充分に注意してください。










ラオス、ビエンチャン20190415
あまり計画性なくビエンチャンに到着したところ、空港からの相乗りタクシーで出会った日本人リピーターに「明日からラオスの正月です」と教えられ、びっくりしました。唯一のガイドブック『歩き方』にもさらっとしか書かれていなかったので見逃していたのです。でも、これってけっこう重要な情報なんですよね(詳細はブログで)。とりあえず正月のあいだはラオス中の寺が賑わうので、片っ端から回ってみました。「他に行くところがない!」という事情があるものの、この時期にしか味わえない雰囲気を楽しめたのはよかったですね。地味なイメージのあるラオスですが、後ろのイラストも含めて意外と派手好み。民族衣装などを見ると「おしゃれ」の伝統はあり、なんとなく納得してしまいました。ようやく正月が開け、活気づいた市場の一角で撮った「ほのぼの写真」も掲載します。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
よく言われることですが、ラオスは飯がうまいです。最近のタイと違って辛いものはしっかり辛いし、味付けも明確な意思が感じられる。それに、餅米で炊いたごはんをおかずと一緒に食べるのって、やみつきになりますね。買ってきた米を日本で筍ごはんに混ぜてみたらおいしく、品質は高いようです。もう一枚、ビエンチャンでお寺以外の数少ない観光スポットであるパトゥーサイ(凱旋門)の上からの風景。正月中とはいえ、首都でもっともメインの通りでも交通量はこの程度です。パトゥーサイは意匠のレベルも高く、わかる人ならちゃんと感動できます。









台湾、東港20190506
高雄からバスで1時間ほど南に行った屏東県東港は、台湾で最大のマグロ水揚げ港として知られています。その多くは日本に送られていくそうですが、隣接する華僑市場には刺身や寿司にして食べさせてくれる店がいくつもあり、観光客だけでなく地元の人も数多く訪れていて、かなりの賑わいです。値段は「日本より少し安い」程度であるものの、いろいろなマグロを味わえるので、お好きな人は、ぜひ。高雄駅周辺のバスターミナルに行けばチケットは簡単に買えます(僕は高雄客運で行きました)。東港でマグロ以上に気になったのが歩行者用信号。赤で求愛して緑でデートというミニストーリー仕立てで、いろいろな国で信号を見ますが、こういうのは初めてでした。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
このところ頻繁に訪れている台湾。今回は高雄に直行したあと新幹線で台北に移動し、初の松山空港から帰国するという行程でした。もう1枚、紹介するのは、台北駅近くの(徒歩5分以内)フォトジェニックな一角すっかり近代化した町であっても、探せばこんなところがあるものです。











チェンマイ、タイ20190525
タイ北部の中心都市チェンマイは日本の京都にあたる古都だと紹介されることがあります。たしかに歴史深い町ではあるものの、雰囲気は国内第二位の規模にふさわしい近代都市であり(要するに普通のアジアの町です)、過度に趣を期待していくとがっかりするかもしれません。それでも、旅をする価値はある場所だと思いますね。いろいろなタイプの寺院があるので回るだけでも楽しいし、ナイトマーケットを中心に多くの飲食店が集中しているから、バンコクより食べ歩きはしやすいです。伝統的なタイ料理はもちろん、その昔、中国から移り住んできたというイスラム教徒向けの店では、個性的なカレー麺「カオ・ソイ」が味わえます。独特の色使いの服やアクセサリーを売っているモン族市場にも、ぜひ、足を運んでみてください。個人的には、けっこう好きなデザインです。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
食事をしていたら、元気に遊んでいる子供たちが見えたので、がんばって望遠で連写してみました。「小さい子だけが空を飛べる」というピーターパンの設定を思い出しますね。










愛媛県、今治20190924
今治市内にひっそり佇む歴史的建造物「今治ラヂウム温泉」。1919年(大正8年)に建てられた本館は「由緒正しい」国の登録有形文化財になっていますが、マニア的にはその後の増改築(魔改造?)により、さまざまな意匠が組み合わされた不思議な見た目になっているのが魅力です。2014年から休業してしまったため(その後、閉館)、人の手もあまり入らず荒れ始めていますが、なんらかのかたちで後世に残せるといいですね。近くに焼豚玉子飯で有名な重松飯店があるので、そのついでにでも立ち寄ってみてください。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
今治は港町だけあって、早朝から営業している喫茶店がいくつか残っています。これもいつまであるかわからないので、昭和の雰囲気を味わいたい人は、ぜひ、どうぞ。














台湾、高雄20191007
日本では絶滅危惧種になりつつあるデパート屋上の遊園地ですが、高雄の大立百貨店にはかなり本格的なものが残っています。5月に来たときに散策していて偶然、みつけました。ただ、そのときは天気が悪かったのと広角レンズを持っていなかったので撮影は断念しており、今回、魚眼レンズを携えての再挑戦です。このデパート、旧館と新館が並ぶ大型店であるものの、駅から離れた立地のせいか、全体的に寂れた雰囲気は隠せません。それだけに、屋上遊園もいつまで営業しているか不安ですね。客もあまりいないし。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye]
改装が進む台鉄高雄駅構内のトイレには、空室状況がわかるハイテク表示システムがあります(実は台北駅にもあります)。一見、便利に思えるのですが、うーん、どうなのかなあ。どこか本質を外しているような気がするのは僕だけ?













愛知県、蒲郡20191023
マニアックな昭和建築ファンのあいだで有名な蒲郡駅前の地下街です。北口広場の下から隣接するビルまで広がっていてそこそこ規模はあるのに、現在、営業している店が少ないのは寂しい限り。公金による支援などをしてもっと活気ある商店街にしたほうが地域活性効果はあるはずです。この地下街の開発中途半端に終わってしまった原因として、「本来は北口と南口を結ぶ計画だったのに線路が高架になったので存在意義を失ってしまった」というのがあります。たしかに一理あるものの、それでも駅前の好立地にある商業施設を利用しない理由にはならないわけで、やはり、地域社会のやる気のなさが問題なのではないでしょうか(これだけのハードウェアをもつ町はなかなかない)。もうひとつ雑談を。駅の近くにある地図を見比べていくと、実は南口への地下街は完成していたのではないかという疑いが生じます。上の図が北口のもので、下が全体図。わかりやすいように上図の範囲を赤線で囲いました。すると、南口まで謎の点線が引かれているんですよね。疑問に思い、そのあたりを調べてみましたが、出口らしいところはありませんでした。それでも、現在の地下街の南側に妙なドアがあるので、もしかすると地下迷宮はその先にがっているのかもしれません
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6II]
愛知県南部から静岡県西部あたりまでの町でときどき見られる「いざっく」と名付けられた店。たぶん「居酒屋+スナック」なのでしょうが、超ダサいので、そろそろ改名したほうがいいと思います(目にするたびに恥ずかしくなる)。









台湾、彰化20191222
彰化は台湾中部を代表する都市のひとつですが、実は台中と隣接しており、普通列車で10分ほどの距離しかありません。なので、一緒に観光するといいでしょう。目玉は日本統治時代に造られた彰化扇形庫です。転車台を中心に車庫線が放射状に配置された美しい施設で、これだけの規模のものがそのまま残っているのは、たぶんここだけ。しかも、一応、現役なのでちゃんと手入れがされており、鉄道関係の産業遺産としては超一級だと思います。昔は日本の熱心な鉄道マニアが訪れるぐらいだったのですが、最近は台湾でも「鉄道+レトロ」への関心が高まっており、休日に行ったら地元の観光客で賑わっていました(作業中は見学できないのでご注意ください)。近くにある謎の鉄道公園(地下道で線路を渡った反対側にあります)も、ちょっとおもしろいです。
[Olympus OM-D E-M5 MarkII & M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye]
大仏や寺院、空中歩道、美術館などがある八卦山も彰化を代表する観光スポットです。駅からも徒歩20分ほどと手頃なので、併せてどうぞ。個人的なお薦めは南天宮十八層地獄。中華文化圏によくある地獄のテーマパークですが、ところどころに驚かす工夫などがされており、B級のお化け屋敷として楽しめます。













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