天津旅行情報メモ
2017年3月現在。内容に責任はもてないので、あくまで自己責任でご利用ください。

■旅行先としてはけっこう穴場!
天津市は北京、上海、重慶と並ぶ国家による直轄市であり、大都会です。しかし中心部はそれほど広いわけではないので、歩き回ってもそんなには疲れません。

北京から120kmほどの港湾都市であり、東京に対する横浜といった位置づけ。北京−天津間は高速鉄道で結ばれており、所要時間は30分ほどだから、日帰りもできます。

19世紀後半から20世紀前半にかけてイギリス、フランス、アメリカ、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、ベルギー、イタリア、ロシア、日本が相次いで租界を設置していました。このため古い西洋建築が多く残っており、街歩きは楽しいですね。印象としては、ランドマーク的に大きな洋館だけが点在する上海よりヨーロッパっぽい感じがしました。

しかし観光開発が遅れたせいか、国外からの訪問者はビジネス目的の人が大半を占めているようです。町を歩いていても、ほとんど観光客はみかけませんでした(国内からのツアー客、つまりお上りさんはたくさんいる)。世界中どこでもみかけられる欧米人バックパッカーにひとりも出会わなかったのは画期的かも。日本人もスーツ着た人しかいなかったなあ。

そんな事情もあり、足代や宿代は、比較的、安い。成田からは春秋航空が飛んでおり、他の路線より低めの価格が設定されているように感じます(搭乗率は3分の2程度で、乗客は9割以上が中国人)。

宿は、貧乏旅行にこだわらないのであればホテル ニッコー 天津 (天津日航酒店) がお薦めです。現地ではトップランクのホテルでありながら、30m2以上の広いシングルがエクスペディア経由で7000円以下でした。サービスはいいし、日本語も通じる。フロントの両替レートも空港と同じくらいでした(1万円で580元くらい。※日本で替えていくよりは有利)。  ※もっとも、最近は新宿西口周辺の小さな両替所のほうがレートはいいかも。

日航ホテルは市内でいちばん賑やかな場所のターミナル駅に直結しているのですが、入り口がわかりにくいので補足説明をしておきます(この項、割と重要)。地下鉄で営口道駅に着いたら大悦城(JoyCity)というショッピングセンターを目指してください。B3出口から行けます(わからなければいったん外へ。伊勢丹のはす向かいにあります)。大悦城の中に入ったら、1階のマクドナルドの先(並び)で右に曲がる細い出口を探します。目印は右側に見えるスターバックス。そこを進み、途中で左への通路を入るとホテルのエントランスです(ロビーへはエレベーターで)。ちなみに建物の地下にはセブンイレブンがあり、重宝します。

情報が前後しましたが、宿泊先が駅の近くにあるなら空港からの移動は地下鉄がベスト。営口道駅までの料金は4元、つまり70円ぐらいだから、空港アクセスとしては世界一安いかも。時間は30分程度です。空港の地下鉄駅は、国際線ターミナルを出て右に行った国内線ターミナルの地下にあります。こっちにちゃんとした両替所はないので、現地通貨をもたない人は国際線ターミナルで用意しておいてください。

地下鉄は市内の移動に便利ですが、問題は、チケット(コイン型)の自販機がトロく、新札しか受け付けてくれないこと。なぜか硬貨を使えない機械も多いので、その場合は悩まず自販機で料金だけを調べ、係員のいる窓口で、直接、買ってしまうほうが早いです。2元(リャンユァン)などと言うか、指で値段を示せば大丈夫。住民はほとんど交通カードを使っているので窓口はそんなに混んでいません。

日航ホテル近くで食事をするところに迷ったら、伊勢丹の並びにある楽賓百貨(ROBBINZ)というデパートの上にある食堂街が、比較的、利用しやすいと思います。CoCo壱番屋から日本式の居酒屋までありますが、個人的には「香港○○」って店の使い勝手がよかった。メニューはすべて写真付きで、しかも自分で番号を書いて渡す方式だから言葉が通じなくても大丈夫です。1品は20元くらいからと、まあまあ安く、ファミレスタイプの大衆店としては味もそんなに悪くない(チャーハンは短粒米だった。これが標準?)。ビールも置いてあるし(ただし中国特有の薄いやつ)、プーアール茶はタンクから自由に飲めるので、この点も気楽です。注意点は注文と同時に支払いをするキャッシュ・オン・デリバリー方式であるところ。ただし、システムがわかってしまえれば値段を気にせず飲み食いできるし、小額紙幣や小銭を効率よく処理できるのでかえって便利だと思います。

治安はかなりよく、現地の女性がスマホで動画を見ながら普通に歩いているほどです(ひったくりのような犯罪が少ない証拠)。中国の中では先進的な町なので、荒れているようなところはほとんどありませんでした。


■観光地としての問題点は?
国外からの旅行者が少ないというのは、現代中国人の普通の生活を眺められるという点では貴重な場所ではあるものの、住民が観光客の扱いに慣れていないという問題が生じます。とにかく町中では英語がほとんど通じません。「ワン、ツー、スリー……」ですらわからない人がほとんど。中国人はボディランゲージもあまり理解しないので、中国語ができない人は意思の疎通にけっこう苦労しますね。漢字圏だから文字から意味を読み取ることはできるのに、会話になるとまったく通じないもどかしさがあります。

笑っちゃうくらい困ったのは、フードコートでカウンターの上、しかもかなり手前にメニューが貼ってあったケースです。位置的に中の店員からは見えないので指差し注文ができません。このときは前に立っていた他のお客さんに読んでもらって伝えたのですが、オーダーは通ったものの、その後、店員が何か説明してくれる内容がまったくわからない(食べものにこだわる中国では注文後のオプションが多いので、この手の補足が必ず生じる)。しばらく押し問答していると、うしろにいた学生らしいグループのひとりが「モーメントなんとか」と解説してくれたので、「できあがりまでしばらく待ってほしい」という意味だとわかりました。おもしろかったのは、会話が通じたことでその人が英雄のように扱われていたこと。つまり、それほど国外からの訪問者と接する機会の少ない町だということでしょう。

日本からの観光客が少ないこともあって、旅行ガイドは充実していません。「歩き方」の中国編と北京編に10ページほど記載がある程度。なので情報はネットで集めてください。ここで朗報! 天津空港の税関のあたりに「天津生活スタートブック」というかなり厚い本が置いてあり、タダでもらえるわりには中身が充実しています。現地在住の日本人が編集しているみたいで、内容はかなり実用的であり、滞在中、けっこう重宝しました。そんなにたくさん用意してあるわけではなさそうなので、がんばってゲットしてください。

北京から近いだけに大気汚染はかなり深刻ですが、視界が悪いだけで臭いがするわけではないので、数日間観光するだけであればあまり気にすることはありません。むしろ困るのは中国独特のインターネット規制でしょう。グーグルなどメジャーなサービスの大半が使えません。ただ、これについてはアマゾンなどで香港の電話会社(中国聯通香港など)の中国本土でも使えるSIMカードを用意していけば回避できます。

一応、言っておきますが、中国文化圏の旅行先としては香港や台湾のほうが楽しめるし、問題も少ないです。なので、そういうところと違う中国が見たいという人だけ、ぜひ足を運んでみてください。