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■ 動物ジャーナル 39 2002 秋

   現状リサーチ・その一

   猫虐待で川崎市職員逮捕

田口 純巳


 九月二十日夕刊各紙に次のような報道がありました。
大田区内の公園にいる猫を粘着テープで動けないようにして車に閉じ込め、衰弱死させた男が、動物愛護法違反容疑で逮捕された。今月に入ってから七遺体が発見されており、余罪を追求中。
 ひどい事件です。放置できないので、管轄の署へ、翌二十一日に電話しました。
 逮捕されたのは、川崎市役所の建設局土木課管理部用地第二課に勤務する職員(三十八歳)。仕事がうまくいかなくて、むしゃくしゃしていたのでやった、という報道もありましたが、動機は取調べ中とのことでした。

 猫の死骸については後日電話してほしいと言われたので、二十四日に聞きました。証拠物件となるはずなのに、わりと早く処分してしまったらしく、びっくりしました。ちなみに、所有者不明の動物が死んでいた場合、区が無料で引取ってくれるということは知らなかったそうです。知っていたら、ちゃんと引取ってもらったのだが…とのコメントでした。

 その電話の時、意外な情報を得ました。
 犯人がつかまった時、その車の中に、やはり紐でぐるぐる巻きにされた猫がいた。まだ子猫で、とてもおびえてしまっている。犬用のケージに保護してあるが、トイレの掃除をするのも大変な状況で、かわいそうだが手も出せないでいる。ケージは地下室に置いてある。係の人も困りはてている…。

 翌二十五日、署を訪ねました。門前払いも失礼なので、と、幹部が会って下さいました。質問に対して、
(1) 猫の殺害場所は大田区仲六郷三丁目十二番・区立仲三児童公園。
(2) 報道では一匹殺したとあるが、取調べで、あと三匹が判明した。余罪もありそうなので厳しく追及しているところである。同じ死に方をした猫が発見されているので、それについても取調べをしている。
(筆者注・ひょっとしたら、かなりの数、殺しているかもしれません。)
(3) マル秘情報―まだマスコミには発表していないが、地下室で子猫を一匹一時預りしている。
   これについては、検察庁から拘留期間などについて報告が上ってこないと、猫は移動できない。
   ここにいる間は、私自身が責任をもって、猫は大切に育てるので、ご安心下さい。
   マスコミに未発表なので、写真撮影はやめて下さい。
などなどの答をいただきました。
 余談ですが、猫の世話も担当されていた係の方は、マル秘をしゃべってしまったので、幹部からだいぶ叱られてしまったそうです。

 子猫のことが気になって、その翌日(二十六日)の朝、再び係の方へ電話しました。
 子猫を地下の日の当らないところにずっと置いていては健康状態が悪くなるので、一時預りでもいいから、預ることを許可していただきたい、と申し出ました。
 すると係の方は「実は、猫はとてもおびえていて、食べ物を入れるのも、トイレの掃除も、ちゃんとしにくくて困っている。預っていただければ嬉しい。拘留期限が決まったら、移動できるので、近々お知らせしますので、どうぞよろしくおねがいします。」ということでした。

 その日の夕方、五時半ごろ署より電話が入り、猫の移動許可が出たと伝えられました。
 そして、いろいろ打合せの後、翌二十七日正午ごろ、署へ出向いて、「受領書」に署名し、受渡し完了。子猫を引取ってきました。

(たぐち あやみ)

 ここからは、青島が引継ぎます。
 田口氏が所轄署に連絡なさって以来、その様子や経過を電話で伺っていました。
 警察署の、それも地下などに置いてはおけないと意見は一致し、さて預り場所は、となりました。第一に、署が信用してくれる場所である必要があります。
 この時、財団法人富岡操動物愛護基金理事の肩書が活きました。というわけで、この危なかった小さな子は、今私の部屋にいます。先住の大猫ふたりは余りいい顔をしませんが、子猫はしっかり自己主張し、すでにわが家のつもりのようです。ただし、依然としてヒトを怖がっています。そばでじっとヒトの顔を見ているので、話しかけるとおもしろそうな目付になりますが、立ち上がりでもしようものなら、さっと遠のきます。
 リハビリには時間がかかるでしょう。一対一で養育して下さる方があると最高です。
 この後こわいことが起こらないよう、守って上げなければなりません。どうぞよろしく。(青島啓子)

関連:動物ジャーナル41 『犯罪者から救出した子猫』