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■ 動物ジャーナル 34 2001 夏  

  報告 犬猫供養祭

青島 啓子


 『動物ジャーナル32』三一ページに掲載しました「ねこ捕りに注意!!」の呼びかけには、かなりの連絡があったそうです。
 この「犬猫ネットワーク・ねこ捕り被害の会」は「ねこ捕り」を「ねこ盗り」に改めました。被害者の怒り、思いの深さがいっそう切実に伝わってきます。その熱意が新聞記者を動かし、毎日新聞四月二六日付朝刊に大きく紹介されました。見出しは
“猫捕り”にご用心! 足立の主婦ら「被害の会」結成
「私の家も…」反響数十件
(記者は長谷川豊氏)
この会の中心となる村山さんは、十年間に十五匹もいなくなり、調べ始めると「猫猟師」という言葉に行き着いた。三味線や実験用にネコを捕獲する業者だ。九七年四月に大阪市で猫十二匹を捕獲箱で捕まえた男性二人が、府警に事情聴取され、「三味線業者に売るつもりだった」と答えた例がある。村山さんは「単純な行方不明ではなく、盗まれた可能性があることを知らせたい」と話す。
 以上が記事の概要です。

 ちょうどそのころ、たまたま『邦楽の友』五月号に掲載された「犬猫供養祭」のお知らせを入手しました。それによりますと、「邦楽は三味線がなければ成り立たない。三味線は犬や猫がいなければ成り立たない。犬猫に感謝しよう。五月二九日、東京両国の回向院にて」という趣旨でした。早速このコピーを村山さんに送りましたところ、そのような場所で実情を知ってもらうよう働きかけたいと、会場で配布するチラシ作成をJAVA(動物実験の廃止を求める会)に依頼むされ、当日チラシ配布もJAVA会員が数人手伝われたとのことでした。
 犬猫供養祭の参加者はあまりたくさんではなかったそうですが、チラシを熱心に読む人も多く、目的は或る程度達せられたことと思います。

 これより先、やはりたまたま、『歌舞伎の舞台技術と技術者たち』(日本俳優協会編・二〇〇〇年三月刊)を見ていました時、「三味線の原材料」の項「C皮」のページに吸い寄せられました。曰く、
近年、動物愛護の気運が高まり、猫・犬の原皮の入手が困難を極めている。(中略)犬皮は八割以上が外国産で、(右段へ)

タイ、ラオス、ミャンマー、台湾などから輸入される。猫皮も七割は外国産で、主に台湾、フィリピン、中国などから輸入される。しかし、国産の原皮にこだわっている業者もいる。(三九一ページ)
また「三味線の関連業者・皮」の項「橋本末吉商店」の店主紹介の部分には、
また、国産の原材料にこだわって、品質の高い皮を提供していることで高い評価を得ている(四〇一ページ)とありました。
 どういうモノにせよ、需要があるからこそ供給されるわけで、三味線の場合、演奏者の意識改革を目指して働きかけようとされた村山さんの方向性は正しく、その実行力に敬意を表します。
 ちなみに、人工皮革は品質が向上し、〈本物〉に遜色ないまでに至っている、海外演奏旅行用・稽古用に普及が著しいとのことです。
 ついでに申せば、前掲書に、象牙(撥・糸巻・駒に造る)の項もあります(三九二ページ)。邦楽器とは無縁の人にとっても、印材や装身具などを求めれば、象が殺されること、『動物ジャーナル29』(「希少動物と現代日本」―小原秀雄氏)その他でご確認下さい。
付記:回向院の写真は、犬猫供養祭当日、
村山さん撮影