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TOP mook 動物ジャーナル バックナンバー動物ジャーナル33・動物不妊手術キャンペーンを終えて

■ 動物ジャーナル 33 2001 春  

  動物不妊手術キャンペーンを終えて

片山 千代子


 動物救済の一環として、不妊手術は、捨て子など不幸な動物を増やさぬためにも、必要不可欠と推進してきたのですが、七年来のC型慢性肝炎に、三年以前の大腸癌手術、その手術跡のケロイド化で針で刺されるような痛みがある、若くはない七十七歳の身で、犬猫百匹以上の世話は、耐え難い苦痛の日々。その上、容赦なしの乳児猫置き去り、ほっとする間もない保護と育児に追い回され、持病を抱える身には、捨て子がこの先どこまで続くのかという不安が消えることがなかった。
 此の度のキャンペーンは、全く資金あっての思い付きではなく、近くにあるマンモス大学の学生が、卒業時に置いて行く、出産させて困って捨てる等の捨て子が多く、幾度か学校にも抗議済みではあるが、改まる気配もなく、これでは相変らず猫の悲運が続いてしまう、と、矢も盾もたまらず、キャンペーンを実行に移すことにしたのである。
 「実行に移す」という結論に、同志も資金の心配はあった。
 長期に亘り、外宿猫や犬の不妊手術を心掛けてきた同志に、これ以上の資金面での負担は酷と察し、ここは従来運動にご協力いただいている獣医院に重ねて懇願することにした。その結果、別紙(表)の通り、本人負担額が格安の数字になり、早速キャンペーンの広報にとりかかった。
 新聞や情報紙に「学生さんでも出来ます」と書いていただき、足の便の無い年配者には、同志の方々の車で送り迎えをして上げ、また、遠方からの依頼者には、当方のアルバイトの方に動いてもらった。十月二十一日から三カ月間、同志の方にはフルに活動していただいた。
 希望者が思った以上に多く、受付の窓口は、耳の遠い私に代り、北原さんが電話を受けた。彼女は心優しく、依頼者の苦悩の訴えに家事を阻害されつつ聞いて上げ、不妊手術が実行できる、あるいはできた、ことへの感謝の手紙が大封筒に一杯になるほど届いた。私宅へも、多くの方から礼状が届き、冥利に尽きる思いだった。
 補助金として捻出できる限度も考慮して、キャンペーン利用券は四百枚で一旦打ち切ったが、その後も続く依頼に、後は、当会で常時出している補助券を、二百枚以上送り出した。
 この券は、先生方の割引だけで、会の負担無しのため、希望者には以前より差し上げている。それでも他医院より半額以上安価のため、喜んでいただいた。
 動物虐待防止会には、ご賛同だけと申し込みしたのに、会運営のバザーより五万五千円と、このほど追加金と言われ、金三十万円を頂戴した。
 資金ゼロの無謀キャンペーンも、窮地を乗り越えられたことは、一重に、動物を愛する人々の慈愛の表われと、感謝は言葉には到底表わすことができない。感謝感激のみ。
 今回のキャンペーンでは、犬十六頭、猫百六十三匹の補助をさせていただいた。別に後から発行した従来の補助券でも、手術を済ませたとの礼状が続々届いている。
 関係者諸氏には深い感謝の意を、紙面をお借りして、有難く御礼申し上げます。
 お蔭様で、我が家の門前には、昨秋より四月現在に至るまで、一匹の置き去りも無く、安眠はもとより、体調も好調で、この分では、迷いなく八十歳までがんばれそうです。
 改めて喜びを噛みしめ、感謝いたしています。

   (かたやま ちよこ・動物不妊手術推進の会代表)

不妊手術代一覧
オス
メス オス
メス
本人負担額
3,000円 5,000円 5,000円 8,000円
両会負担額
3,000円 4,000円 3,000円 5,000円
貴院への支払額
6,000円 9,000円 8,000円 13,000円
備考:猫、犬共に妊娠の場合2,000円増し。犬は体重10kg以上2,000円増し。
 平素格別のご協力を賜ります上に、この上のご迷惑なこの度の御願い、何とぞ、
ご理解賜りたく重ねて御願い申し上げます。
動物不妊手術推進会  片山 千代子  池田 初恵
動物虐待防止会  青島 啓子 東京都世田谷区経堂

〔獣医院諸先生への依頼状 二〇〇〇年九月〕
拝啓 平素ご尽力賜りますこと厚く御礼申し上げます。
 動物救済の一環として不妊手術は、不幸な子を増やさぬためにも必要不可欠で、その推進運動に一方ならぬ御厚意を賜りますことに、私共グループ一同有難く感謝いたしております。
 毎年シーズンに繰り返す、終わり無き捨て子には、人間エゴによる動物の命軽視に外ならぬ怒りに、全て保護できぬ事は、身を砕く思いで一同居る次第です。本年特に、我が家には置き去りが多発、その中でも多い乳児猫の保護は、七十七歳の老いに病魔との闘いと重なり、死の苦しみといっても過言ではありません。
 諸先生方のお力を得て数年前までは、毎年バザーと共に不妊の支援を実行できましたが、現在残念ながら、諸先生方の御尽力に甘えての運動継続に心苦しい思いです。
 この度更に厚顔な依頼に、何卒御賛同願わしく、別紙の通り、シーズン二ヶ月程の期限を持ち、実行いたしたく、諸先生方のご尽力を伏して御願い申し上げます。尚、東京、神奈川、大阪のグループ・会では、本人負担軽減運動は期間中と年中と有り、当会は以前より諸先生方のご理解を賜り実践いたして居りますが、残念ながら貧困の当会の負担は現在無に等しいため、他県のグループに及ばず、不本意なこれ等虐待を防ぐことに挺し得なかったことは、残念な思いで居ります。私個人としての最後の運動になるやも知れず、今回再度の御迷惑を重ねて、諸先生方の御協力を重ね重ねにも御願い申し上げます。
 取りあえず、右大要のみの失礼、平にお許し下さい。
 末筆ながら、貴院のご繁栄お祈り申し上げます。敬具
       動物不妊手術推進の会 片山千代子
追伸 ご返事は当方より後にお電話でお聞きいたします。
この運動が終り次第白内障の手術をいたします。見づらく不自由しています。

 驥尾に付して敬白
   (偉大な存在のしっぽについて、うやまって申す) 青島 啓子
 昨秋、片山様からのキャンペーン実行のお話を伺い、賛同団体として当会名をお使いいただくことになった。
 会名だけとのご趣旨だったが、獣医先生方への依頼状に付けられた料金表には、片山様の会と当会の名を並記、つまり二つの会が負担するということが示され、私はおちつかない気持ちになった。とりあえず昨秋のバザー収益をお届けし、去る三月末福岡に伺った時に、冬のボーナスの一部を呈上した。
 補助券は当初の予定をはるかに超えて四百枚発行され、これまでに済んだのが二百弱であるから、今後の実施によって「両会負担額」はもう暫く必要になると考えられる。
 片山様の会に届いた感謝のお手紙を見せていただいたが、不妊手術の必要を知っていながら出来ない現実に、人々がどれほど苦しんでいられるかと、更めて認識させられた。この現実を、行政はしかと受け止めてほしいものである。

(写真二枚はその時撮影・猫さんのお部屋)
整然と並べられたトイレ、清潔な部屋、
幸せそうな猫さんたち、頭がさがります。
よ〜く見てください。二名様のように見えますが、なんと四名様も!