オーディオ日記 第53章 超えてきた壁越えられぬ壁(その6)2022年2月9日


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幸せの時代:

なかなかコロナ禍が収まらず世の中も少々キナ臭いので多少気が引けるところもあるのだが、自分的にはオーディオ趣味として案外と幸せの時を迎えている。ストリーミングによって音源に対する枯渇感が全く無くなり、言うなれば浴びるほど多様で新しい音楽(音源)を聴けるということはこの時代の僥倖以外の何者でもないと思う。

オーディオ事始めの遥か昔にはアナログディスクの手持ちも潤沢ではなかったのでお気に入りの音源をそれこそ擦り切れるほど聴いていた。CD時代になっても音源の当たりはずれは相変わらずでせっかく買ったのに、と思うこともしばしば。更にPCオーディオに取り組み始めて以後はリッピング作業やタグ編集、アルバムカバーアートの整理に勤しんだものだが、実のところこれは結構単調でしんどい作業だった。名盤と呼ばれる音源がハイレゾとしてダウンロードで手に入るようにはなったもののとても高価で、中にはニセレゾとしか思えないようなことも。

今にして思えば、「そんな時代もあったよね」、、、最早そんなストレスや苦労は全くと云って良いほど不要となった。

人気の高い音源はストリーミングでもハイレゾ化されているものが結構あるので、自分のCDリッピング音源よりもいいんじゃないかと思うこともしばしば。リッピング音源を中心に存外に長い期間聴いてきたと思うのだが、今に至れば比較的短期間に大きな地殻変動が起きてしまったものと自分では認識している。

また、探し求めてきたはずの「究極のデジタルトランスポート」は形を変えて結局は「極楽のネットワークストリーマー」となってしまった。だが、不思議なことに後悔もなければやり残し感もあまり無いのだ。究極だのハイエンドだの、と志向していたのはもしかしたら己の中の幻影だったのか、あるいは単なる自己顕示欲の発露でしかなかったのか、、、

音の良さというものが絶対的なものなのか、あるいは相対的なレベル差の感じ方でしかないのか断定はできないのだが、最上流の機器がある程度の水準を超えたものであれば後段となるシステム全体のクオリティが多くを支配することにもなると思う。 現状 はその上流の音質に対する飢餓感というものがほとんどなく、これは自分でも不思議で仕方ない。

ネットワークストリーマーという範疇の機器もこの時代背景に合わせて相当速いスピードでこれから新製品がどんどん登場してくるだろうし、そこにはもっと楽しませてくれるような機器もきっとあるはず。その観点では現状で満足してはならず決してアンテナを畳んではいけないのだと思う。若干残念なことに新しい機器の多くは海外からのものなので、そこに網を張っておかねばならない。

翻って、後段となる我がオーディオシステムの進化を止めて良い訳ではない。デジチャン以降の4wayマルチアンプシステムとしては目指してきた環境整備が一応は終わり、設定も熟成してきて(注記)それなりの成果を見せてくれている。けれどテクノロジーは進化を続ける。デジチャンを使っているとしても、本来のデジタルプロセッシングの縦横無尽さ柔軟さを充分活かしているとは云えない機器構成、環境であることは間違いなくここは新しい機器の登場を待たなければならない。

また、現状でやり残していることもある。早急に手をつけねばならないのは、暫定としてテストしてきたミッドローユニットのエンクロージャのファイナル化である。評価、自己採点ではユニット能力は合格で構成に組み入れて使用することは確定なので、ヘタな自作ではない納得のエンクロージャを準備してあげねばならない。これに合わせて、多少のお色直しもしてあげたいユニットもあるので、それを含めて一体的にプランすることになろうか。

年初にも書いたのだが、この程度の拙文を25年にも亘って書きなぐってきた。その原動力は進化できない、納得に至らない自分のオーディオの表れでもあったのだとも思う。もちろん現状がベストということなどオーディオ道には決してないのだが、それでもやはり幸せの時代になったのだろうな、としみじみ思う。

(注記)
現状の4way構成はいくつかのユニットの組み合わせがあるのだが、そのそれぞれの構成における「リスニングポイント」での周波数レスポンスのざっくりとした測定結果を掲載しておく。もちろん、これによって音のクオリティの判断が付くものではないが、多少の参考にはなるだろうか。(なお、低域は SONY SUP-L11 、高域は Scanspeak D2908/714000 で固定)

ケース1:中低域に SB Acoustics MW16TX-8 、中高域に Accuton C51-286-6
Frequency Response case1

ケース2:中低域にSB Acoustics MW16TX-8、中高域にSONY SUP-T11
Frequency Response case2

ケース3:中低域に FPS 2030 、中高域に SONY SUP-T11
Frequency Response case3

(注記2)
40~50Hz辺りについてはオーケストラ等の再生をある程度意識した上での設定になっている。なお、やはり中低域については逃れられない部屋の影響もあるのかディップ、ピークも散見されるのだが、ユニットによっても違いが出る点興味深い。

測定風景:
Frequency Response All case


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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