オーディオ日記 第53章 超えてきた壁越えられぬ壁(その7)2022年2月19日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK 掲示板

されどサーバーPC:

あれこれと次の策を思案する中で、やや老朽化しつつあるサーバーPCを何とかしなきゃな~と対応を考えてみた。元々が古いPCの余り物パーツ(それも二世代ほど前のもの)で組んであるのでまぁ老朽化対応というのはちょっと語弊があるかも、、、

世の中にはオーディオ用NASという高価なものがあって、かって具体的にどのような音質向上施策が行われているのか研究したことがある。ざっと調べた限りでは電源系ノイズ対策やリジット構造など一般的なPCの音質向上施策とほぼ同類である。ほとんどがLinuxベースと推測されるが、ソフトウエア的な対応について特別に言及しているようなメーカーは調べた限りであるが確認できなかった。破格の価格帯と思われる製品の紹介では電源や筐体構造などについて述べられていることが多いのだが、それ以上に踏み込んだ情報には出会えていない。

当方のプランとしては、NAS製品の購入ということはもう全く無いので、リニューアルの要求仕様としてはコンパクト、シンプルで音源ファイルを共有できるサーバーPCでありさえすれば良い、といいう感じであろうか。もちろん、音の向上が期待できるのであればそれに越したことはない。

音に係わる点についてテストしてみようとアイデアがひとつ浮かんだのが、現在AoE Symphonic-MPDのフロントエンドに使用しているPCのハードウエアを利用しこれを「サーバーPC化」した上で「音質 vs 対策」の評価をしたらどうなるか? ということ。このPCはファンレスPCで可能な限りあれこれと電源系ノイズ対策を実施しているもの。またアルミ製の筐体(Streacom製FC-10)で作りもしっかりとしているので、振動対策などの面でも遜色はないはず。

筐体としての強度は充分あると思う:


このPCをサーバーPCに仕立てて、従来のもの(こちらもある程度の対策は実施している)と比較してみれば、PCの音質向上施策として考えてきたものがNAS見合いのサーバーPCにも通用するのかどうか判断できるのではないだろうか。

実のところ、サーバーPCとして音源ファイルを共有するだけの仕組みで、そのプラットフォームが音楽再生にどのような影響を与える可能性があるのか、因果関係を明確に理解している訳ではない。何となく音楽再生用のPCと同じような対策なのかな~というレベルのものである。

オーディオ用NASがかなり高価な価格帯にて世の中に登場した時に、所謂「都市伝説じゃないか」という異論も含めて諸説あったことは確かであるが、現在では市民権を確立していると思う。実際に当方も試聴会等に出掛けて、それなりのアドバンテージはあるように感じた。だが、自宅でじっくりと比較試聴を行うには至らず、当時使用していたNASに簡易的な対策を実施してお茶を濁している間に、サーバーPCへ移行してしまった。

なお、このテストを実施するハードウエアは既存のものをそのまま使うが、OSなどをどうするか改めて考えてみた。もちろんGUIを持たないサーバーOSであることは大前提である。ポピュラーなUbuntu Serverがまず念頭に浮かぶが、これも実は案外といろいろな機能(アプリ)が入ってしまっている。ファイル共有(Samba)だけのミニマムな環境で良いとすれば、更のLinuxから環境を作った方が余分なアプリを全くインストールしないで済むというメリットがある。DLNA/UPNPも現在の環境では不要なのだ。ということで、Arch Linux64_86をベースに環境を作ってみた(この観点ではWindows環境で云うところのプロセスカットの究極かも)。

現、新どちらの構成でもOS起動は小容量のSSD、音源は2TBのSSDという構成である。SSD用SATAケーブルの電源ラインにもファインメットビーズを入れてある。サーバーPCを参照する側(プレーヤー側)の設定は変更しない前提で考えたのでIPアドレスや音源ファイルのフォルダー構造その他すべて現状と同一とした。現状のサーバーPCとテスト用のこの新サーバーPCのいずれかを立ち上げて試聴するという方法である。(同時稼動はIPアドレスが同じなので不可のため、瞬時の切替試聴はできない。CPU速度は最大速度の50%以下とし、どちらも1.6GHzの定速とした。)

環境セットアップはさっと終わるので、あとはじっくり試聴タイム。音楽再生をする側の環境については多少迷ったのだが、Bluesound Nodeにて行った。現在はどちらかと云えば(AoE Symphonic-MPDよりも)こちらの環境で音楽を聴いていることがメジャーなので実態に即した比較が望ましいだろう。Nodeからの出力はUSBでIntonaを介してMUTEC MC-3+USBへ入力という我が家での通常の構成である。

ぱっぱと切り替えて試聴出来る構成ではないのでじっくりと聴く。多少の変化、改善はあったのかも、、、だが、明確にここがこう、あそこがこう、とは全く指摘できそうにもない。いつも聴いている、いつもの音と云えばその通りかも。

現状、ストリーミングの割合がかなり高くなっているため、相対的にサーバーPCの重要度は下がってきているかもしれない。だが、やはり貴重な音源であることには間違いなく、可能な限り良い音で聴きたいと思うのだ。だが、ここまでいろいろな対応を実施してきたPCがベースであっても、サーバーPCとして音源データの送り出しだけの機能に限定される環境では音へのインパクトは殆ど認められない、というのが現時点での実感である。

もちろん、介在するハブ、LANケーブルなどの周辺の環境にも依存する部分はあるだろうと思う。だが、我が家での現状の環境を踏襲する限り、サーバーPCとして音質向上には「ほとんど」貢献はしていない。やってはみたけれど、今後の施策について検証してみるという実験は失敗か、、、

あるいは使っているパーツ(CPU、メモリ、マザーボード)が旧世代のものであるので、それらが音質向上しない原因でもあるだろうか。確かに無いとは云えないかもなのだが、論理的に考えればそこで大きな差が生じる要因には全く思い当たらない。

最終的な結論を出すにはまだまだ聴き込みが不足なのかもしれない。まだ聴き取れていない小さな差もあるかもしれない。そう思うので改めてここはじっくりと時間を掛けて判断してみようと思う。

リニューアルするとすれば、基本的にはコンパクトな筐体としたサーバーPCを想定しており、各種対策などをどこまで行うべきか目星が付けられれば良いな~と思ったのだが現時点では一旦ここでストップ。手間やコストを掛けた対策も自己満足的には意義があると思うのだが、ここは踏みとどまって冷静な評価が望ましいんだろうな、と。

で、ここまでやってみて、もうひとつの比較実験をすべき、と思い至った。それはラズパイ4をサーバーPCに使うスタイルである。こちらもいろいろな構成案はあると思うのだが、逆に一番シンプルなスタイルで考えてみようと。

即ち、全くノーマルのラズパイ4(HATの搭載なし)をスイッチング電源で駆動し、音源は外付けUSB3.0 HDDというスタイル。OSはここもArch Linux64(for Raspberry Pi)で基本はファイル共有の機能のみ。これでも機能的には全く立派な「サーバーPC」である。CPU速度は1.38GHz定速。LEDは本体、LAN部分を含めて全て消灯する設定。LANケーブルはCAT6で50cm(上記のテストでは1.0m)。 

これで同じだったら、笑っちゃうか、それこそ駄耳だよな~と思いつつ、さて、、、

う~ん、これは何かすっきりしないものがある。音の抜けが悪くなったような気もする。だが、全く箸にも棒にもかからない、というレベルではない。何かちょっともう少し、、、という気分になるのだ。先入観による単なる感覚的なものなのか、やはりどこかに音質劣化の要素、泣き所があるのだろうか、そこを明確にしたくなる。

この辺り、この三種の構成をもう少し継続して研究しないとだめだろうな、と思わせられた。違いを感じるなら何か要因があるはず。そこを見極められれば、自信を持って向上施策にも取り組める。やはり、電源なのかな~という思いも必然出てくるのだが、ここは速攻で電源を代えたりせずに明確に差を判断し、因果関係が納得できるまで我慢してみようと思う。電源以外にも思いつくことは、筐体強度、音源がSSDとHDDという差か(発熱、振動、電力消費という観点ではSSDは優位にあると思う)。

だが、論理的に考えれば、サーバーPCからTCP/IPによって送り出される音源データは再生側でバッファリングされるだけ。その受信データに齟齬は無い。という根源的なところにも思いが至ってしまう。もちろん、その音源データを「再生する」パートによって差が生じることは間違いない事実なのだが、、、

今更ながらでもあるのだが、改めてサーバーPCの研究が足りていなかったと反省も。Bluesound Nodeにおける再生能力の限界もあるやも知れずAoE Symphonic-MPDでも比較してみる必要(このためには現行サーバーPCのAoE Symphonic-MPDフロントエンド対応を行わねばならない)があろう。なお、ストリーミング音源の再生においては、いずれのサーバーPCに接続している状態であっても差は検知できていない。


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

next index back top