オーディオ日記 第51章 行く道は果て無く(その9)2021年3月17日


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Carbon Textremeその後:

Carbon Textreme振動板を持つSB Acoustics MW16-TX8を導入して早半年余りが経過した。現時点では我が家のMid Lowとして長らく使ってきたFPSを押しのけて定位置を確保してしまっている。現代的なスピーカーユニットの特徴なのかもしれないが極めて低歪でクリーンな音を提示してくれており、高いS/Nを保持しているにも係わらずFPSよりもわずかに濃い目の音色。これによりサウンドステージがよりナチュラルな実体感として感じられ、結果として音楽に没入できるところが自分でもお気に入りになっている背景なんだろうと思う。

先に紹介したユニットの写真:
SB Acoustics MW16TX SB Acoustics MW16TX SB Acoustics MW16TX

Mid Lowとしての受け持ち帯域は現在160Hz~1KHzと設定しているが、かなりいろいろな設定を試しながら透明度やトランジェントの観点でベターとなるよう模索し結果として落ち着くに至ったもの。Mid Highにセラミックドーム(Accuton C51)、あるいはホーンドライバー(Sony SUP-T11)を使ういずれのケースでもこの受け持ち帯域は同じ。

このCarbon Textremeユニットが我が家の環境に馴染む経過に併せて、従来ほぼ不変としていた ベリリゥムツィータ (Scanspeak D2908)のクロスオーバー周波数も4KHzから3.15KHzに変更することになった。このツィータは能力的に稀有なユニットであり、もう音や表現力には磐石の信頼を寄せているのだが、Mid Lowの受け持ち帯域が熟成していく中でさらに音の広がりや音のクリーンさを求めて従来より低い周波数から使うことにした。結果的にはこれも表現の変化向上に一助になっているような気がする。

あんまり自画自賛してはいけないと思うのだが、ここに至ってとにかく凡庸な録音のものからキレキレの音源まで「ほぼ」不満の無い音楽再生ができてきていることには感謝をしなければならぬ。オーケストラのパースペクティブな提示や見通しの良さ、などなど以前ではなかなか思う通りにはならなかったところも苦節ん十年(?)息も絶え絶えではあるが良くぞここまで辿り着いた、と。

だが、「ほぼ」とわざわざ注釈したのにも理由がある。もう一息の音楽の芳醇さが欲しいのである。つくづく人間は我侭なものであるとは思うのだがここまできたらその我侭を通したくもなるのだ。これは何とはなくなのであるが理由の見当はついている。低域ユニット( Sony SUP-L11 )とのクロスオーバー設定である。ここが現在は160Hz。元々低域ユニットはもっと高いクロスオーバー周波数設定で使ってきた経緯がある。そしてそこにこのSUP-L11というユニットの音の魅力もあるのだ。だが、ここを上げてしまうと低域の切れとMid Lowの持つ音のクリーンさが減退するという相反がある。中低域は16cm級のユニットなので、再生能力の観点からはやはり200Hz以下のレスポンスは多少ダラ下がりにならざるを得ない。その辺りが全体の周波数バランスにも影響しているんだろうと思っているのだが、それが音楽の芳醇さをやや薄く感じさせる要素なのかなと。もちろんこれが正解なのかどうかは解らない、、、

そういう想いを僅かに引きずっている状態であるが、久しぶりにMadisoundを覗くと、このCarbon Textremeの新しい7.5インチユニット( MW19-TX8 )が既に販売開始されているではないか!? 現在の口径は6.5インチ、これを7.5インチへと拡大すればもしかしたらこの音の芳醇さというものを納得のレベルに引き上げてくれるかもしれないと、またまた妄想が渦巻くのである。

この7.5インチユニットに関しては HiFi Compass にて詳細にリポートされており物理特性の優秀さは折り紙つき(ただしレビュワーはパピルスコーンの方が好みの模様)。口径の差異による音色の差異は微妙なので実際に聴いて見ねば何とも云えないが、周波数特性的に考えれば160Hz~200Hz辺りの帯域に関しては口径の大きいほうがレスポンスとしては有利と推定してもあながち間違いではあるまい(ただし振動系の質量は増えるので得失はあろうかと)。

もちろんこの帯域のレスポンスの強化だけの観点であればクロスオーバー周波数を多少変更するなり、イコライザを使うなりすれば測定上の周波数レスポンスを弄る事はできると思う。ただ人間の感性はホント微妙なところで成り立っているとつくづく思う今日この頃ななので、小手先で修正するというような対応だと本来アドバンテージとなっているところをスポイルしてしまう危険性も考えられる。であれば真っ当な対応は口径の拡大と云えないだろうか、、、

現状はエンクロージャ製作を含めて試験的、暫定的という想定でこのCarbon Textremeを導入して評価するという経緯でもあった。仮にこれが成功だと位置付けるのならば、これを機会に改めて7.5口径ユニットの調達と本格的なエンクロージャの製作というアプローチが王道なのかも。そうとなればやはりエンクロージャはしっかりとした木材と外観で行きたい。またMid HighのAccuton用ケースとも材質やイメージを合わせたもので考えたい、となってくる。そう、枯れ木でも火を点ければ燃えるのだ、、、

現状のエンクロージャと配置:
SB Acoustics MW16TX SB Acoustics MW16TX

課題としては至急、早急なものではないので、いずれによせエンクロージャを含めたプランを煮詰めることがまずは優先、重要であろう。Mid Highまで含める事は当然としても、改めてツィータまでを考慮するという案もあるかもしれない。じっくりと暖めていきたいテーマである。


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2021年3月17日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.7 +0.7 -10.5 +4.7
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.7 85.2 83.5 80.7
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

160
160

1000
1000

2800
3150

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 +28.0 -37.0 +27.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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