音の不可思議:異なるプレーヤーソフト
現状はPCオーディオにおけるプレーヤーソフトとして、JPLAY FEMTOとSymphonic-MPDを愛用しているのだが、此処にも音の不可思議というものがある。セラミックドームユニットを導入したことによりスピーカーユニットによる音の差異についてあれこれと実験し、用法を
取り纏め
てきたのだが、ここに来てスピーカー側の(もちろん内在する個性は残したままなのだが)出音の差異は大分少なくなってきたように感じている。
そこで更なる試みとして、PCオーディオのプレーヤーソフトとこのスピーカーユニットの組み合わせ?による音楽表現の差異というものがあるのか実験してみた。当然ながらPC環境の差異(ハードウェア、電源環境、ノイズ対策の状況、OSなど)があるので、ここでのプレーヤーソフトによる音の差異というものが全てプレーヤーソフトそのものに起因するものとは云えない部分がある。また、後段へのデジタル出力の送り出し方も異なっている。JPLAY FEMTOは(INTONA経由の)USB送り出し、Symphonic-MPDはBNCによるS/PDIF送り出しでMUTEC MC-3+USBにインプットしている。MUTEC MC-3+USBで10MHzマスタークロックベースのリクロック処理を行ってデジチャンへ送り出す(RCA同軸でのS/PDIF )という
構成
は同一である。
PCオーディオにおけるプレーヤーソフトウエアの音の違いというものは喧伝されて久しく、今更デジタルなので音が変わらない、と主張する人はまぁいないとは思うが、では何故音が異なるのか? その真髄を正しく解き明かした理論には浅学にして巡り会えていない。初期にはジッターが語られ、最近は電源(正しくは電源系ノイズ対策?)が環境として語られることが多い。一方でプレーヤーソフトウエアにおける音楽データの処理方法、具体的には出力デバイスへの送り出しについてその内容と効果に関して共に明確に示した情報はほとんどない。曰く負荷軽減、タイミングコントロールなどなど一般的な用語は並ぶのだが、仕組み自体の詳細やそれが何故、どのように音に影響を与えうるのか、実証としての「音」の結果でしか示されないし、理論的な解説というものはほとんど目にしない。
ソフトウエアの「作り」そのものは独自性、特異性を打ち出しにくいものである事はOSなど外部の仕組みに依存する機能を使えば使うほどその傾向が強まる。つまるところソフトウエアというものはそこで提供される「機能」というものが本来重要であって、感覚的な要素に近い「音質」というものとは相容れないものがあるのかもしれない。逆に云えばOSなり汎用ドライバーなどが提供する機能をなるべく使わずより厳密なタイミングで音源データの送り出し処理を行うことによって負荷の平準化、均一な応答処理、結果としてよりクリーンな?状態で「デジタル信号」の送り出しができるということなのだろうか(JPLAY FEMTOもSymphonic-MPDも手法は違えど根本の思想は同じように思える)、、、と一応の推測はしてみるのだが、自分自身が納得するような関係性に対する解は引き出せてはいない。
ソフトウエア(プログラム)というものはひとつの結果(演算処理結果)を求めるためには無限のアプローチがあり、設計やプログラミング手法も設計者、プログラマーによって異なる。だが、処理の結果という観点に注目すれば、演算プロセスそのものは多少の差異があっても入力に対応した出力が規定される。(注記:例えば可逆圧縮された音源データの復元処理のコード自体はそれぞれ異なったものであっても結果のデータは一義である、の意)出力結果が異なるとすればそれは設計やプログラミングの齟齬などのエラーであるということが当方の認識なのだが、「音楽再生」という領域ではどうもそうではないらしい、、、例えばFLAC音源を読み込んでS/PDIF信号として送り出すという処理に於いて「結果としてのS/PDIF信号が異なる」ものになるとはどうしても考えにくい(所謂ビットパーフェクトの処理が大前提で)のだが、それではここで現実として起こるこの音の差はどこから来る? 一体何に起因するものか? ここにも音の不可思議があってその因果関係を理路整然と語る事は自分には能わない。
まぁこのような御託を並べていても詮無いのであるが、やはり不思議というか面白いというかプレーヤーソフトウエアと我が家の二通りの4way構成のスピーカーとの間には相性がある。JPLAY FEMTO(Dual PC構成)はホーンドライバー(SONY SUP-T11)構成で再生した時がベストマッチ。Symphonic-MPDは平面スピーカーであるFPSで構成した時がベストマッチなのだ。その逆の組み合わせはそれぞれの特徴(良さでもある)を抑える方向(あるいはスポイル?)になる。
JPLAY FEMTOとホーンドライバー構成の組み合わせでは音の密度感、輝き、艶、何よりも音像の実体感が特徴として現れる。Symphonic-MPDとFPS構成の組み合わせでは、爽やかな音の広がりと浮遊感が味わえるし、ここで提示される音楽のたなびくようなエコー感はとにかく掛替えがないもの。このような印象は傾向として薄々は感じていたものなのだが、改めて「組み合わせ」という観点に注目して試聴をしてみると、その感覚が間違っていないようなのだ。
オーディオとして考えてみればいろいろなアプローチの手法があるのは当然で、それぞれによって音の差異が生じる事は語るべくも無い。だが、それぞれの個性を正しく把握し、自分なりに消化ならびに評価した上であっても言葉で表現する事は極めて難しいと事だと感じている。また下流の構成やそこにおける音のキャラクターによっても総合的な印象や判断は変わってくるものと思う。そうやって考えてみると当方のPCオーディオにおけるプレーヤーソフト遍歴というものはなるほど簡単には終わりそうも無いのかもしれない。
じゃ、今のJPLAY FEMTOあるいはSymphoic-MPDの音が不満なのか?と自問すれば決してそんな事はない。十全に音楽を堪能できているような気がする。一方で不満もあるのだが、不満の本質は安定性であったり、操作性などに係わることの方が多いというのが実体。安定性、操作性という観点ではやはりまだまだ及第点とは云えない(というか現実にかなり苦労することが多い)ということが紛れも無い事実。極楽PCオーディオにおいてはこの二つがしっかりと担保されていることが何よりも重要、大前提なのだ。
4way構成の設定備忘録(2019年10月6日更新)設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
Sony SUP-T11 |
Accuton C51-286 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+4) |
110 (+17) |
93 (+0) |
93 (+0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+1.2 |
-9.7* |
+1.7 |
+4.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-3.0 |
-3.0 |
-6.0 |
-3.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
-6.0 |
-12.0 |
-6.0 |
-12.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
89.2 |
85.3 |
82.7 |
82.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 500 |
500 ~ 1250 |
1250 ~ 2800 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-48 |
48-24 |
24-18 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-7.0 |
-37.0 |
+40.0 |
+40.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
MPD 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|