オーディオ日記 第47章 巡礼(その4)2019年10月6日


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音の不可思議:異なるユニット

ホーンドライバー(SONY SUP-T11)と対決させるつもりでセラミックドームユニットを導入して大分経ち、その使い方や再生音も安定してきたように思う。当初はミッドハイ担当であるホーンドライバーとのガチンコ対比に於いて、音楽表現の違い、音色や質感の差に随分と戸惑いがあった。その時点での評価はセラミックドームユニットはホーンドライバーを(特に女性ボーカルの再生に於いて)越えられないのではないか、というものであった。

(注記)この時点での使い方は、中低域にFPS、中高域にホーンドライバー又はセラミックドーム、高域にベリリゥムという4way構成。

Accuton C51-6-286とSONY SUP-T11:その物量の差は大きい
Accuton C51-6-286 Sony SUP-T11

紆余曲折を経て現状は当初の使い方の想定を変更したものとなった。結果としてはセラミックドームユニットは中高域担当として定位置を占めるに至り、ベリリゥムツィータとのコンビで中高域、高域を担当させる使い方が不動のものとなったのだが、ホーンドライバーを使用する構成では「中低域」用のユニットとしてSUP-T11を位置付けている。つまりホーンドライバーとFPSという二つのユニットが中低域用となって、この二通りの4way構成で交互に音楽を聴いている状態である。

(注記)変更後は、中低域にFPS又はホーンドライバーのいずれかを選択、中高域はセラミックドーム(固定)、高域にベリリゥムというもの。

現在の中高域、高域ユニットの配置:C51は便宜的にボックスに収めた


それぞれのユニットの受け持ち帯域詳細は末尾に示すが、4way構成におけるクロスオーバー周波数や遮断特性はホーンドライバーを使うケース、FPSを使うケースいずれでも全く同じ設定となった。(当然ながら、出力レベルやタイムアライメントは異なる)

この状態で不思議だな~と思うのは、変更後の構成ではホーンドライバー、FPSのどちらのユニットを中低域に使用しても、以前の状態より遥かに音の差が少なく感じること。中低域の受け持ち帯域としては500Hz~1250Hzである。先に中高域用のユニットとして比較していた時は1000Hz~4000Hz程度の範囲で試行錯誤していた。現状の中高域は1250Hz~2800Hzとしている。ここで、そうなのかな~っと思うのは、ホーンドライバーというものはやはり2000Hz~3000Hzの帯域に独特の表現や音色があるのかも、ということ。もちろんこの辺りが微妙な魅力に繋がっていることも否定できないのだが、、、、

FPSを中低域に、セラミックドームを中高域に使用する構成であっても女性ボーカルの再現に注文を付けたくなるようなある種のもどかしさを感じることが現状では少ないのだ。もちろんユニットのエージング等が進んできたことによる聴こえの差の範疇かもしれないのだが、セラミックドームユニットの持つ音の明晰さ明るさというチャーミングポイントはこの構成でもしっかりと残されている。逆に云えば、セラミックドームとベリリゥムで中高域、高域を担当する構成においては高域方向の再現能力が極めて高く、またより普遍性があると云えるのかもしれない。

一般論的には中低域、中高域、高域の三つのユニットをインライン配置したFPS構成の方が音の広がりなどの表現に於いて優れているようにも思う。謂わば「普遍性のある音」なのだ。だが、ホーンドライバーを使用した構成であっても、「個性が強い音」とはほとんど感じない。むしろ、これが「ホーンの音?」と拍子抜けする位のフツ~の音なのだ。

FPS構成は三つのユニットをインライン配置:
FPS Stand

最近では、意識して聴き分けるようにしなければ、あれ? どちらで鳴らしていたんだっけ、、、というようなことにも。それ位に差が縮まってきたということか? あるいは耳の衰えか、、、

複数のスピーカーを使い分ける環境に於いて、徐々に設定が煮詰まってくればその出音の類似性が高まってくる、ということはオーディオの半ば常識なのかもしれないが、正にそれを実体験していることになる。当初は相当の差があると認識していたにも係わらず、だ。もちろん用法が変更となっているのでこれをもって単純な評価は危ういとは思うのだが。

4way構成のあれこれの試行錯誤と並行的に行ってきたPCトランスポートを含む上流の変更や電源ノイズ対策の推進なども一助にはなっているのかもしれない。だが、此処に来て、当方のオーディオの音もやっと落ち着きつつある、というようにも感じている。多様な録音状態の音源を聴いても、その差はきちんと表現するのだが、そこに流れている音楽の自然な良さはしっかりと表現してくれるのだ。だから、音楽を「だら~」っと聴いている時にも以前程の不満要素がない。皆無とは云わないがあまり感じなくなった。これは僥倖と考えて良いのだろうか。それともやはり耳の衰えか。

オーディオに入れ込んで早数十年の月日が流れたのだが、これが終着駅に近づいたということなのか、それとも聴き分ける能力の年齢から来る喪失なのだろうか。それはそれで寂しくもあるのだが、幸せに音楽を聴けることが第一だとすれば、少なくともそこにはちゃんと近づいている、と感じられることが大事かも。モーツアルトは、いつ聴いても甘美でなければならない、、、


4way構成の設定備忘録(2019年10月6日更新)設定値

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 -9.7* +1.7 +4.0
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -3.0 -6.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 85.3 82.7 82.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

500
500

1250
1250

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -7.0 -37.0 +40.0 +40.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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