オーディオ日記 第42章 枯淡の境地を目指し(その5)2018年5月10日


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パワーアンプの リニューアル の一環として、プリアンプとそれに内蔵するフォノイコライザー(AD-290)を処分したので、アナログディスクを聴くために、 合研ラボ のGK08VCRという真空管CR型フォノイコライザーを導入した。導入前にいろいろとフォノイコライザ情報を検索しているとどうしても高価(?)なものに目が行ってしまうものだが、フォノイコライザ自体は数千円のものから何と500万円(!)近いものまで。音の好みと良し悪しは実際にあると思うのだが、あまり高くないものを想定して考えると(特に廉価なものは)現実にはほとんど試聴の機会もないので選択には迷う。

理想を云えばキリがなくなるし、元々アナログを聴く機会は相当に少ないことでもあるので、ある程度対象を限ってしまった方が良いかな、と考えて選択することとした。クラシック系は現状ほぼPCオーディオになっていることもあり、中古版をぽつぽつと買い集めた70~80年代のフォーク系やJ-POP、Oldiesなどがそこそこ気持ちよく聴くければ、ということを狙いとしてみた。もちろん中には録音も良くて愛聴盤というものもあるのだが、全部が全部そういう録音という訳でもないので利用頻度に見合ったコストパフォーマンスと「ボーカルの再生」にフォーカスして機器選定した。

GK08VCR:コンパクトで意外にもキュート?:


聴いたことのない機器はえいやっ、で選ぶしかないのだが、それでも過去の記憶を辿れば、EAR 834P(古くからある製品だが今も現役の様子)など好印象。また、真空管やCR型などといううたい文句には意識はせずともボーカルの表現には何となくいいかな~と惹かれるものがある。もちろん、真空管には良い点ばかりではなく、特にS/Nに関しては課題もあるので、より良いものをと欲張れば自ずと高価な製品にならざるを得ない。

一方でS/Nを考慮して、現代的な機器をリストアップしてみれば、REGA MM MK3、ATOLL PH100、clearaudio SMART PHONO V2など案外と好ましい機器もあり、廉価~ほどほどの価格には収まっている。たが、ここは敢えてノスタルジックな真空管、それもCR型での「懐かし」のボーカル再生にチャレンジしてみた訳である。合研ラボのフォノイコライザ全般の評判も良いことも後押しにもなった。

相当な時間をかけて暖気運転し、おそるおそるシステムに接続。やはり一番気になるのはS/Nなのだが、当方が聴くような音量であれば心配した程ではなく、ほっと一安心。真空管固有の残留ノイズはスピーカーに耳を近づければ感知できるので皆無ではないが、リスニングポジションでは全く気にならない。従来使用していたプリアンプ組み込みのAccuphase AD290は端正な音に加えて圧倒的なS/N性能であったのだが、これと比較するのはお門違いであろう。

さて、懐かしのフォーク系のアルバムから聴き始める。フォノイコライザとしてのGAINは40dB、使用しているカートリッジはオーディオテクニカのVM型で出力は4mV。デジタルに比すれば出力レベルは低いので、ある程度ボリュームは上げてやる必要がある。小椋佳の彷徨から潮騒の詩とさらば青春。あ~、声にリアリティがあって力強くいい感じだ。中島みゆきの初期の頃の親愛なるものへからタクシードライバー。やはり同様の印象であるが、こちらはもう少し切れ込みや凄みが欲しい気もしないではない。その後、次から次へ(さだまさし、南こうせつ、井上陽水、、、、)。時間の経過とともに更にボーカルの印象が良くなっていく。

もちろん手放しでという訳にはいかない。寝起きが悪いので、一度電源を切って再度聴く場合は真空管がしっかり温まるまで10分は待った方が良い。最低域は少しほぐれずにかたまる、高域の伸びは悪くないのだがもっと飛び散るような表現が欲しい、など欲を云い出せばそれなりに注文も無い訳ではない。

オーディオ機器は価格との関連で判断するのは妥当ではないと思うが、この価格での真空管CR型フォノイコライザとしては「在り得ない」とも云うべきパフォーマンスかもしれない。まだまだ聴き始めたばかり、真空管の通電時間としても不十分なので、楽しみつつ(懐かしみつつ?)エージングしてみようと思う。このボーカルの温かみのある自然さに加えて全体に突き抜け感が出て来るようなら最高である。

(参考)フォノイコライザからの出力はZAOLLAのRCAケーブル(純銀線)にてデジチャン(DF-55)へダイレクトに入力しA/D変換(176.4KHz/24bit)とDSP処理を行う構成。その他のアナログ環境は こちら に。


-96dB/oct4way構成の設定備忘録(2018年5月10日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 +0.0 +3.0
Analog Att
OFF
マスターボリューム
アッテネーション
dB -4.0 0.00 -10.0 -6.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -12.0 -0.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 93.0 90.0 88.0 90.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

355
355

1400
1400

8000
8000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-96 96-96 96-96 96-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 20.0 35.0 0 38.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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