オーディオ日記 第34章 ブレークスルー(その9) 2014年8月18日


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オーディオにのめり込んで以来、マルチアンプシステムを自らのベストサウンドに至る最上の道としてあれやこれやと追求してきた。時に途方に暮れながらも何とかゴールに近づいたと思った3wayであるが、4wayへのチャレンジを行ってみたことによってまだまだ先があることも痛感した。一方で4wayマルチの音の纏め方の難しさも厳しい現実として理解できた。この経験を活かしながら再度3wayのステップアップを試み、 スロープ特性の決め方イコライザイを使用しない補正 で均一な特性を得る(特に低域の)という二つのチャレンジによって現在は至福の時を迎えている。前者のスロープ特性の決め方とは15インチウーファーの受持ち帯域の決めとそれより上の帯域のコントロールにある。また、低域の周波数特性の補正においては、敢えてイコライザを使わず不足する帯域のみを別ユニットで補う、というあまりマルチでは一般的ではない方法を取った。これらによって現時点では過去に到達し得なかったかなり自分自身の満足度の高い音に仕上がっている。もちろん単なる自己満足かもしれないが、「全方位で納得」ということは今までほとんどなかったことでもある。後者の方法は自分で勝手に3way+Oneと呼んで密かに悦に入っている。

以前の音との違いを明確に文章で表現することは難しいが、音楽自体の自然さと闊達さにある。眉を顰めて音の粗探しをする必要は全くないほど音楽自体に集中し、浸り、楽しめるのだ。これは敢えて表現すれば、混濁感や鈍重さが排除された豊かで軽い中低域に支えられ、透明感と柔らかさを兼ね備えた高域によるもと思う。+Oneの部分を担当するユニット(最終的な受け持ち帯域は57~100Hz)が小口径であることにも起因している部分があると推測している。(結果として、しばらく聴いていると当然のように心地良い眠りに落ちていってしまうのだ、、、)

もちろん、この構成とて現時点ではファイナルではなく、特に後者の低域の補正についてはスピーカーユニット自体が暫定的な措置でもあるし、完璧な調整がまだまだ終わった訳ではない。また課題はやはりデジチャン後段の「音量調節」であることからは脱却できていないのだ。

能率差のあるユニットのレベル合わせのためにデジチャンにはデジタルでの各チャネルのゲインコントロール機能があるが、この機能では4way全体の音量の任意のコントロールはできない。このためデジチャンの後段に4way用の8chマスターボリュームが本来必要なのだが、現状は6ch+2chの暫定構成にて代用しており、それによって4wayの音量バランスを取っている。このため、この方法でも全体音量の任意の調節ができない。本来的にはデジチャンにマスターボリュームとなるようなゲインコントロール機能があればすべて解決なのだが、DF-55にはその機能がない。

したがって、現在は各ユニット間のバランスと音量の程良い位置で6chと2chのボリュームをそれぞれ固定し、再生ソフトウエア(主としてBug Head)のボリューム機能(デジタルボリューム)を使って微妙な音量調節を行っている。

デジチャン以降の構成:


この構成3Way+Oneの音が存外に良いので、これでアナログも聴きたい、という欲求が当然起こってくる。さて、アナログを同じ3way+Oneの音で聴くためにはどうすれば良いか。二つの接続構成が考えられる。ポイントは音量調節をアナログで行うか、デジタルで行うかという観点とA/D変換機能の部分である。現在の手持ちの機器で候補となりうる構成は以下の通り。

アナログ再生時の二つの経路:


Case1.プリアンプのアナログボリュームによる音量調節の場合
   ・プリアンプ(C-290V)ビルトインのフォノイコ、アナログボリュームを経由し、Pre-Outからデジチャン(DF-55)という経路
   ・A/D変換はデジチャンにより176.4KHz/24bit
   ・アナログボリュームの位置は1時~3時くらい(最大ボリュームの6~8割となるかなり大きめの位置)
   ・課題点はアナログレベルの音量調整箇所が増える(二箇所)となること。

Case2.デジイコのゲインコントロール機能による音量調節(デジタルボリューム)の場合
   ・プリアンプ(C-290V)ビルトインののフォノイコからRec-Outでデジイコ(DEQ2406)という経路
   ・A/D変換はデジイコにより96KHz/24bit(イコライザ機能は使用しない)
   ・信号レベルに合わせてデジイコでのゲインは+4dB~+8dB辺りを使用する。
   ・課題点は構成が複雑化することとA/D変換が96KHz/24bitまでであること。

(注記)2.の構成はCDを聴く場合にも使用する。トランスポートからのデジタル出力をデジイコのゲインにて一度絞って送り出すこととなる。この場合は44.1KHz/16bitのままDSP処理で音量をいじることになるので本当はやりたくない構成なのだが、デジチャン後段の構成・方式に合わせるとこのような方法とならざるを得ないのだ。従い、CDを聴く場合は多少の不満が残ってしまっている。

さて、二つの構成でどちらがよりアナログ再生にぴたっとくる方法であろうか?当方の好みとしてはCase1であった。当初はアナログボリュームを経由させることに若干の抵抗があったが、全開に近い位置で最適音量となるようにしたことの効果もあってか、すんなりと受け入れられた。C-290Vのアナログボリュームの優秀さもあるかもしれない。Case2は96KHz/24bitへのA/D変換後にデジタルレベルでの操作となるのでそれほど違和感がないであろうと思っていたが、多少「糊が効いた」ような音楽になる印象。こちらだけ聴けば予想通りでそれほど違和感はないのだが比較すると僅かにデジタルっぽい感じがする。これは後段のDSP処理と二重になることに起因しているのか、デジイコにおけるA/D変換の精度(デジチャンでのA/D変換は176.4KHz/24bit)なのかは判らない。機器構成的にもCase1の方がシンプルなので、当面はこちらの構成でアナログを聴こうと思う。ただし、リモコンによる音調調節に慣れてしまっているので、微妙な調整をしたい時にはリスニングポジションから動かねばならないのが難点である。なお、その後続けてアナログディスクを堪能しているが、3way+Oneのこの方式はデジタルでもアナログでも今後我が家での常用となるものと思う。そうなると今まで探していた200~800Hz辺りを受け持つミッドローユニットではなく、57~100Hzを受け持たせるユニットあるいはサブウーファでの4way構成に突入ということになる。究極の「マイベストサウンド」にはまだまだ至ってはいないと思うが、もう残された時間が短くなってきていると思うので、一歩、二歩でも前進を続けたいと思う。


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