オーディオ日記 第33章 原点への回帰(その5) 2013年7月31日


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BS403 によるハイブリッドマルチアンプシステムの 続き のその2。

BS403単体でもかなり聴き込んでおり、初期のエージングは終わったかな、という状況であるが、このスピーカーは当初の思惑とは少し違い、ある程度パワーを入れてしっかりとした音量で鳴らす方がよりパフォーマンスを発揮できると感じている。あまり小さい音だとバランスが整いすぎている、ということなのかちょっと物足りないように鳴る。しかし、音量を上げるとそのサイズからは想像し難いように広く、深い音場を再現してくれる。また高域の抜けが非常に素晴らしく付帯音が一切しないことが身上で、つややかなバイオリンと輝くようなピアノを満喫させてくれる。単体での低域の量感も決して不足はしない。ただやはりこの低域はバスレフで頑張って伸ばしていると思われ、もう一息の質感が望みたくなるなど、欲は出てくる。

BS403ハイブリッドマルチ(BS403単体にサブウーファー、スーパーツィータを加えてマルチアンプで駆動したもの)に気を良くしてトライを続けているが、クラッシク音楽の場合は今までの設定(112Hzでサブウーファーとクロス、14KHzでスーパーツィータのアドオン)だと若干ながら低域のつながりに違和感が残る。基本的にはBS403の音色がベースとなるのだが、RockやJazz系の音楽のように低域=ベースやドラムの音と割り切っていればかなりいい感じなのだが、持続的な低域(通奏低音やパイプオルガンなど)も美味く出してみたいということを考えると、BS403の150mmウーファーの負荷をもっと低減させてトランジェントを向上させるために、低域自体をSUP-L11にすっぱりと任せてしまったらどうか、といういう考え方に至る。声の帯域を中心とした200~800Hzをミッドバスの領域と考え、それより下では使わない、ということであればクロスオーバー周波数は200Hz前後まで上げれば良いだろうか。こうなると最早サブウーファーではなく、全くのウーファーとしてSUP-L11を使用するという方向になる訳だ。なお、BS403のJET-Vツィータは2500Hzでクロスしているのだが、このスピーカーはシングルワイヤリング端子のみなので、改造しない限り別々に駆動できないので、これはそのままとする。高域はPT-R9と9KHz~11.2KHzあたりでクロスさせてみようか。この構成はいわば変則的な4Way(擬似4Wayマルチ?)とも云えるかもしれない。

変則的4wayの使用ユニットとクロスオーバー周波数:
LOW :SUP-L11        ~224Hz
MID-LOW :BS403 150mmウーファ  224~2500Hz  
MID-HIGH:BS403 JET-V      2500~9KHz
HIGH :PT-R9          9KHz~
(注記)BS403自体は内臓ネットワークをバイパスしていないので、この部分はチャンデバで200~9KHzのMID-HIGHとして設定し、一台のパワーアンプで駆動。

擬似4Way構成図:デジチャンメモリ設定とパワーアンプ選択でこのモードに簡単に変更可能


さて、交互にBS403単体、メインスピーカー、さらに変則4Wayのこの構成と聴き較べながら、設定を弄ってみる。低域のクロスオーバーは224Hz辺りがスムーズに繋がる。高域はあまり厳密な差が出にくかったので、(JET-Vの高域再生能力が優れているからか?)最初の9KHzのままとしている。7.1KHzや8KHzなどの少し低いクロスオーバー周波数も試してみたが、ある程度高い方がすっきり感が優る。この辺りはスピーカーの前後位置調整(106cm離れている)を行うために、デジタルディレイを入れていることにも何らかの影響を受けているかもしれない。

この擬似4Wayマルチ構成で聴いた感じであるが、メインシステムもこの先4Wayに挑戦したくなるような好結果。やはり音楽のファンダメンタルの部分とその上の領域はちゃんとユニットを分けて、ユニットの得意領域(おいしいところ)だけを使う、という考え方に改めて納得出来てしまう。このユニット構成ではホーンは全く入らず、中高域、高域がリボンで駆動されていることにも関係があるかもしれないが、全体的に非常に爽やかですっきりした音がする。一方で低域の下支えと質感は申し分が無い。いやぁ~、これは結構良いなぁ。音のふわっとした広がりとリアリティが絶妙なのである。

メインシステムと厳密に比較すれば、声の出方など微妙にふんわりしすぎているかな、と感じるし、音の密度(凝縮感)、感度(反応)という観点では一歩譲らざるを得ないかもしれない。しかし、クラシック系の音楽にはこの広がり感や爽やか感がとても合っているように思う。特に教会音楽などは天井の高さのイメージや響きの心地良さが倍加されベストマッチ。逆に云えばJAZZやROCKのように音の芯やガッツが欲しいような音楽にはちょっと向かないかもしれない。

夏場の暑さ対策なども頭の隅にあり、まぁイージーに多少良い音で聴ければ、ということで導入したELAC BS403であったが、単体としても納得できる音であるし、このハイブリッドマルチ、あるいは擬似4way構成にすると結構大きく化けてくれたように思う。デジチャンとアンプの構成をこのチャレンジの結果にあわせて多少の変更を行い、メインシステム、単体BS403、サブウーファー+スーパーツィータ方式、擬似4Way方式と簡単にデジチャンとアンプで切り替えられるようにした。デジチャンの設定のメモリやデジタルディレイなどの機能がある故に、これらのちょっと複雑な構成が簡単に構築できるのであるが、これはDF-55導入の大変ありがたい副次効果でもあった。

ただし課題が無くもない。この4通りの構成をどのように使い分けるか、また実際に使い分けられるか、というちょっぴり贅沢な悩みである。

1.メインシステム  :本気モード仕様
2.単体BS403    :読書タイムBGM用、省エネ仕様
3.BS403+サブウーファとスーパーツィータ:ニアーフィールドリスニング堪能仕様?
4.BS403の擬似4Way :教会音楽系の堪能仕様?


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