オーディオ日記 第33章 原点への回帰(その2) 2013年7月15日


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BS403 にて引き続き遊んでいるが、設定位置の微調整、ハイブリッドマルチアンプのチャレンジ、パワードモニターとの比較、という三点についてあれこれと記しておこう。

1.位置の詰め

フリースタンディングの状態で最適位置を探すのはちょっと難しい作業であった。左右の間隔と前後位置を多少大きく動かしながら、好みに合う位置を探した。左右の間隔は広げすぎると中抜けになって音場の密度感が減衰する。狭くすると、多少音がダンゴ気味になって良さがスポイルされてしまう。また、リスニングポイントは遠くしすぎるとニアーフィールドリスニングの快感が薄れてしまうし鮮度感、リアリティが不足気味となる。近すぎると音がブレンドしなくなってしまい直接音の割合が増えるのが理由かもしれないが、気持ち良さが今一歩となる。幾度と無く試行錯誤にて位置を動かしながら、落ち着いたところは左右の間隔が190cm、リスニングポイントまでが175cmというポジション。この設置位置でいろいろな楽曲を試しているが、BS403の特質であるナチュラルさと共に、奥行き、広がりなどまあまあの状態となったと云えそう。

2.ハイブリッドマルチアンプシステム

さて、次にどうしてもやってみたかった「ハイブリッドマルチアンプ」(自分で勝手にネーミングしたものだが)のチャレンジである。単発のBS403に対して、サブウーファー的に現行メインスピーカーの低域を加えようというもの。構成としては、チャンデバ(DF-55)にて低域、中高域の2WAYに分割し、低域はSUP-L11、中高域はBS403に受け持たせるスタイルとなる。その狙いについて格調高く云えばBS404とメインシステムのDNAの融合であり(実際のところは単なる遊びなのだが)、ニアーフィールドリスニングの利点を生かしながら、音楽のスケール感(特に低域方向)を充実させてみようというもの。BS403単体でもそれなりの低域の量感はあるが、ブリッ、ゴリッとした感触や身体で感じるような低音の再生は難しく、メインシステムとBS403単体を聴き較べてしまうと気持ちの良い低域を満喫するための質感や圧迫感は不足気味なのだ。

さて、この構成のチャレンジに試聴に使用するソースは Jennifer WarnesのHunter(24K CD) である。このCDはマッシブな低域の成分が多く(リアルタイムアナライザーで見ると良く判る)、それでいて全体の響きがクリアーという今回の試行には持って来いのソースだと思う。なお、このハイブリッドマルチアンプの基本となるスピーカーの設定項目は以下の通り。

(1)クロスオーバー周波数
クロスオーバー周波数は80~120Hz位に設定すれば良かろうと考えた。BS403の150mmウーファーをミッドレンジ的に使用して無理をさせない(低域再生を回避)ことによって、その上の帯域のトランジェントの向上ならびに混濁感の回避を図ろうというもの。ただし、音色的な違和感が出ないようにするには、あまりクロスオーバー周波数を上げないようにする方がベターかと思う。デジチャン(DF-55)では80Hz、90Hz、100Hz、112Hz、125Hzが選択可能なクロスオーバー周波数なので、まずは90Hzからチャレンジすることとした。

(2)スロープ特性
低域側-48dB/Oct、中高域(BS403)側を-24dB/Oct辺りが良いかと思案。特に低域ユニットから余分な周波数を出さないようにするには急峻なスロープ特性がベターであろうか。従い、-48dB/Octあるいは-96dB/Octのいずれかを試してみようと考えた。

(3)出力レベル
単純にSUP-L11の能率(98dB)とBS403の効率(86dB)の差分を考え、まずは低域側を-11dB(-10dB分はDF-55のアナログアッテネータを使用する)と若干控え気味にスタートする。

(4)ディレイ
現状の設置位置では両スピーカーの前後差は106cmある。これに低域ユニットのボイスコイル位置(10cm奥)までの距離を足して、単純に物理的距離となる116cm分のディレイとする。15インチウーファーの反応の遅さが懸念事項なのであるが、もしそれが顕著であれば、ディレイを増加させる必要があるかもしれない。

なお、このような設定が簡単かつ思い通りにできてしまうのがデジチャン(DF-55)の大きなメリットであろう。また、設定のメモリを使うことによって、微妙な聴き較べも可能である。いずれにしてもメインシステムがちょっと贅沢な(?)「サブウーファー」とできることが判った。



さて、基本の設定が済んだところで音出しであるが、やはり低域の下支えの有無は音楽の印象、表情を変える。クロスオーバー周波数は多少いじってみて、112Hz辺りが量感、質感、スピード感から頃合が良さそうに思えた。また、音全体のクオリティも悪くない。実際のところ、他のパラメータはあまり変更する必要性を感じなかった。狙い通りの異なるスピーカーのDNAを融合し、新たな音の発見があったのか?ということがポイントであるが、これは主たる帯域を受け持つBS403のDNAが(当然ながら)色濃く出て、期待したほどの「優性遺伝」あるいは「突然変異的な優位性の出現」、というまでには至らなかったように思う。この辺りはクロスオーバーをもう少し高くするなどいろいろと試行錯誤を続けてみようと考えている。

なお、この構成でのチャレンジにより、小型スピーカーにおける低域再現の重要性が改めて認識できた。やはり、100Hz辺りから下の低域の支えが音楽のそのもの形成には不可欠だと思った次第。従って、口径が16cm以下のシングルユニット構成のウーファーを持つ小型スピーカーではサブウーファーがあった方が、音楽のファンダメンタルをしっかりと感じさせてくれる観点から望ましいと思う。

しかしながら、このような使い方自体が当方の小型サブスピーカーの導入目的のひとつである、あまり難しく考えずにシンプルに省エネに、という当初の狙いからはずれてしまうことにもなる。そこまでするなら、結局メインシステムを聴けば良い、となってしまうので、これはちょっと悩ましい。かと云って、BS403用に別途専用のサブウーファーを導入するのも何だかなぁ、、、

3.ところでヤマハのパワードモニターとの比較では

ちょっと遊び心で、BS403の代わりに、 お古で貰った パワードモニター(YAMAHA HS-50M)をスタンドに乗せてみた。位置はBS403で決めたままで再調整はしていない。広がり、メリハリもあってこれもなかなか楽しめる。ヤマハの方が多少ダイレクトな力感を感じられるが、これはパワーアンプを背負っているメリットかもしれない。XLRケーブルでつなげるという接続の容易さも利点であるが、電源ケーブルも必要となるので、これは痛し痒しかな。

音場展開や奥行きについては多少浅くなるようだし、しっかりと聴き較べれば、高域にかけて僅かに硬質な成分があるようで、この部分はもう一息望みたくなるなど、実売2万円/台以下のパワードスピーカーであることを忘れて欲を云いだすとそれなりに指摘ポイントはある。しかし、サブスピーカーと割り切ってしまうなら、このクラスのパワードモニターで充分かもしれないと思うし、そこから上の価格帯での選択肢も多く、価格なりにクオリティもアップするし、サイズに似合わずとても高価な製品もある。また、スピーカ自体に高域や低域のレベル設定機能を持つ点(パワードモニターにはほとんどこの調整機能がある)は大きなアドバンテージと思う。BS403はスピーカー自身には全く調整機能はないので、設置位置の微妙な加減でコントロールしなければならないが、設置位置に制限などある場合は、妥協せざるを得なくなる。また、アンプやスピーカーケーブル等に対する余分な考慮やコストが不要な点もアドバンテージだろうし、一般レベルのパワードモニターの価格(純オーディオ用に比すればかなり安い)とその性能、機能を考えれば、非常にリーズナブルなものと思う。特にPCオーディオなどでは、USB DACとパワードモニタースピーカーで用は足りてしまうので、当方も現在パソコン部屋でこのような使い方をしているが、アンプ不要なのでスペースファクターも良く、とても使いやすい。


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