オーディオ日記 第32章 夢の通り道(その1) 2013年1月1日


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一昨年11月のマンションへの転居を起点として再スタートとなった我が家のオーディオだが、昨年はその新しい環境でのベストを尽くすべく、比較的大きなシステム構成の変更を行った。年初に当たりその総括と次のステップとなる新たなチャレンジプランについて考えてみた。

まず昨年の総括であるが、大きなポイントは新たな エンクロージャー、ホーンの設えデジタルチャネルデバイダへの移行 であった。現用のスピーカーユニットは永らく使い続けてきたものであるが、このユニットの能力を十全に発揮させるため可能な限りの意を尽くしたエンクロージャーとホーンを奢ってあげたい考え、 Woody&Allen工房 にて製作していただいた。無垢の木材に拘ったこともあり多少高価ではあったかもしれないが、自分として長い間夢見てきたことを実現できたと思っており、期待に違わず温もりがありながら澄みわたった音楽を奏でてくれる。もはやこのユニット、エンクロージャー、ホーンから構成された自分だけの「オリジナルスピーカーシステム」は一生の宝物となったと確信している。

そして、そのスピーカーシステムを完璧にドライブする目的でチャネルデバイダーをアナログのものからデジタルへリニューアルした。デジタルチャネルデバイダーは特に中高域において情報の欠落が感じられず非常に素直な音を聴かせてくれるメリットを強く感じて導入を踏み切った。マルチアンプの設定パラメータ(クロスオーバーやスロープ特性など)は従来のものからデジチャンの機能・特徴に合わせて若干の変更を行うことになったが、これは今迄の経験をベースに何とか落ち着かせることが出来たように思う。なお、デジチャンでの演算処理はPCM信号をベースに行われるのであるが、このために従来と同じシステム構成の中に組み込んだ場合はデジチャンにおけるA/D変換、D/A変換処理が追加となる。従って、EM-DAC4399Octという素晴らしいDACをプリアンプの前段に置いたとしても、最終的にはデジチャンのDACの音を聴いている訳である。さらに、小音量での再生においてはプリアンプでかなり絞り込んだ信号に対してこのA/D変換、D/A変換を行うことも不利なポイントとなる。これにはかなり悩んだ。アナログチャネルデバイダーと同じ構成・信号ルートでは、デジチャンのメリットを100%発揮させることはできない。結局大きく構成変更を行い、惚れ込んでいたDACならびにプリアンプをお役ご免とし、デジチャンへ直接デジタル信号を送り込む シンプルな構成 として、デジチャンを入力セレクター、DACとしても機能させる方式へ移行した。このため、デジチャンの後段には6ch分の一括音量調節機能を挿入する必要が出てきた。この構成は一般論からすれば特異な構成であり、6chの一括音量調節機能については世の中に適当な製品がほとんど無いことから、更に悩むことになってしまった。ただ、余分な機器・機能を排したストレートな信号経路によるマルチアンプシステムはその苦労を吹き飛ばしてくれるようなピュアな音を聴かせてくれるようになり、新しい衣を纏ったスピーカユニットを十二分に歌わせてくれる結果となったと云えよう。なお、デジチャンにおいてアナログチャンデバにはなかったディレイ機能については一応暫定での設定を終えたが、まだまだこちらは研究の余地があると考えている。



この大きな二つの対応によって、「Mozartを居眠りしながら聴く」ためのシステムとしての練り上げは更に進んだと感じており、音楽を聴きながら爆睡してしまうことも多くなった(単に年のせいかもしれない)。さてこれらの蓄積の上で次なるステップである。現状はあらかたのソースをまずまず気持ちよく再生してくれるのであるが、更なる「音楽再生の高み」を目指したい。イメージとしては、打鍵によって煌きが転がり震えるピアノ線を感じ、吐き出す息の量が垣間見えるフルートの柔らかさ・温かみ、艶やかな漂いに総毛の逆立つバイオリン、石造りの教会の響きと清らかに幽玄に溶け合う合唱、内に秘めたる魂の炎のごとく熱き肉声、、、求める理想は尽きない。いつか手に出来るものなのか、それは判らない。今はまだ夢としてしか描けないが、求め続け、扉を叩き続けた先にきっと何かがあるだろうと信じて、今はただ道の途中であろうともこの道のままに追いかけて行きたい。

このような淡い夢とも云えるような理想を実現して行くステップとして、これからチャレンジして行きたいプランを具体的にまとめてみた。

1.現行マルチアンプシステムのブラッシュアップ(基本のプラン)
(1)6ch連動ボリュームの本格導入
(2)高域ドライバーのリニューアル
(3)サブウーファーの検討

基本は現行のシステムの音を練り上げていく方向であり、さらに音の質を高めたいと思う。音量調節器(ボリューム)については音に支配的な影響があるので、まずはこの点を何とかしたい。ただし、6ch必要なこともあり、電子ボリュームとするか、アナログ抵抗型とすべきかまだ迷いが残っている。手元で微妙に音量を調節・制御できるという使い勝手も不可欠である。高域のドライバーやサブウーファについては音楽の深みをもう一段増すために必要な対応ではないかと考えている。エール音響の1710や1750DEは高域のドライバーとしては正に垂涎のものであり、これによって音楽の気配が深遠な方向に変わることは実感している。だが、如何せん非常に高価であり、当方の財力ではなかなか叶わないのであるがやはり狙って行きたい。サブウーファは20~40Hz辺りをしっかりと出すことにより自然な音楽の佇まい、雰囲気を出したいというものであるが、当方のような集合住宅住まいにおいて音漏れの問題など果たして適切に使用できるものなのか懸念もあるので、その検討や製品の調査をしようと思っている。

2.デジタル入力への新たな対応(デジチャンでのDSD対応)
(1)DSD再生環境の検討と整備
(2)PCオーディオ環境の見直し

PCオーディオをベースにしてどのようにDSD対応の仕掛けを取り込んでいくか、これがまずは基本命題である。また最近ではPCMtoDSD機能(PCM信号をDSD信号に変換する機能)も実用になってきたこともあり、この辺りは急ぎ対応したいと考えている。しかし、デジチャンのDF-55はHS-Linkの入力があるのだが、SACD/DSD信号は何故か受け付けてくれない製品仕様となっている。この点が我が家のDSD対応に関して非常に大きな問題であり、新たなシステム構成の中でDSD対応をどのような仕組みとするかが課題として残ることとなってしまった。デジチャン自体はPCM信号の演算処理なので、元々DSD信号を直接処理できない。どこかでPCM信号に直し、デジチャンの出口でこのPCM信号をD/A変換するという方法となってしまう。そうではあっても、本来的にはデジチャンがDSD信号を受付けて内部処理としてPCM信号に変換することが望ましいのだが、HS-Link端子があるにも係わらずDF-55ではこれが出来ない。別途DSD対応のUSB DAC等を調達したとしても、普通に考えられる方法はD/A変換した後のアナログ信号をデジチャンに入力することである。しかし、これでは大変無駄なことをしていることになってしまう。考えられる方法のひとつとしては、DSD信号を176.4KHzあるいは192KHzのPCM信号にPC上で、あるいは何らかのハードウエア上で変換し、これをデジチャンへデジタル入力とするスタイルである。(結局はDSDネイティブ対応ではないことになるが)現状であればAudioGateがDSDソースをPCM信号に変換して送り出す機能を持っているので、当面 この方法 に頼らざるを得ないと考えている。しかしながら、DSDに係わる環境は昨年辺りから大きく変化し動き始めているので今後新たな方法が出てくるかもしれない。この辺りについてはアンテナをしっかり張って研究して行こうと考えている。それによりVoyageMPDなどの現行のPCオーディオの環境が大きく変わることになるかもしれないが、それも止むを得ないことと思う。


New Speaker



これらのプランとは別に、何よりも重要なことは良い音楽(音源)をさらに増やしていくことであろう。良いソースと良いシステムの音をたくさん聴いて自らの糧として行かねばならない。もっともっと耳を磨かなければ、究極の「マイベストサウンド」を手にすることはできないと思っているので、オーディオ道を尋ね歩きながら今年もまた精進を続けて行きたい。


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