オーディオ日記 第31章 夢の中へ(その2) 2012年9月22日


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もうすぐ新しいスピーカーエンクロージャーとホーンが出来上がるので、それに合わせて出力系のリファインを考えてみた。いくつか案が考えられるがその中で、デジタルチャネルデバイダーを試してみたくなった。

デジタルチャネルデバイダーで避けて通れないのが、これかも。
DF-55 01

ずいぶんと昔であるが、Accuphaseから初代のデジタルチャンデバ(DF-35)が登場してきた時に、速攻で試してみたがその時は残念ながら良い感触が得られなかった。その時の経験では、一度DACで変換したものをプリアンプでボリュームを絞った上で、再度A/D、D/A変換をかけることの限界が顕著で、音にもやもや感が拭いきれず、それ以来ずっとアナログチャンデバに固執し続けて来た。然るに、デジタル環境も大きく変化し、デジタルイコライザなどは今や無くてはならない機器となったし、DACも大きく進化してきた。デジタルチャンデバによってスピーカーユニットの柔軟なコントロールが出来ることは大きなアドバンテージであるし、高次のスロープ特性(48dB~96dB)などはアナログチャンデバでは難しく、新しいエンクロージャで是非とも試してみたい魅力的な機能である。

一方、心配な点はやはりプリアンプでボリュームを絞ったアナログ信号に対するA/D変換処理とこれに伴うノイズである。いろいろな機器を調査してみたが、プロ用のデジタルチャンデバはこのA/D変換が48KHz/24bit( DBX DriveRack260 など)のものが多く、96KHz/24bitのものは以外と少ない( Behringer DCX2496 など)。Accuphase DF-55は唯一(?)176.4KHz/24bitでA/D変換を行っている。
結局のところ自分であれこれと悩んでいたのは、音量調節を何処で行うか、ということである。アナログ的な使い方ではプリアンプとパワーアンプの間にチャンデバを入れるのが通常であるが、デジタルチャンデバの場合は、デジタルのまま入力し、デジタルチャンデバの後段で一度だけD/A変換を行い、その後に音量調節を行う使い方がしたい。ただし、このような使い方をするためには、3wayの場合には6連ボリュームが必要となるので、マルチチャネルプリアンプか特注によるボリュームコントローラーが必須となる。やはりこのような環境へ変更するのが「王道」とは思うし、実際そのような使い方をされているオーディオファイルも多いようである。ただし、当方は一足飛びにそこまでは行けないのでステップバイステップで行こうとは思うが。

また、イコライザ、チャネルデバイダー、DAC、プリアンプ(音量調節)の各機能をオールイン・ワンとした DEQX のような製品もある。これは一度 雪まるださん のところで聴かせていただいたが、デジタル環境におけるシステム構成のひとつの「解」となる素晴らしい製品であった。これを聴かせていただいたことが、改めてデジタルチャンデバについてあれこれ考える非常に良い機会になったものと思う。

ところで、実際のところアナログチャンデバ的な構成での使い方をした場合どうなのか、まずは試してみることが一番の近道であろう。

そこで、DF-55の使い方を詳細に検討してみたところ、
1.アナログアッテネッターという機能がある。
これは、D/A変換後のアナログ出力を-10dB絞れる機能。高能率のスピーカーを使用している場合にはこの設定により、入力信号をその分大きくできるので、S/N的に非常に有利になる。
(注)周波数分割した後の中域や高域については、ノイズ対策としてデジタル出力レベルを+4dB~+8dB程度上げることが望ましい。この程度であれば通常はデジタルクリップはせず、S/N的に有利となる。

2.4つのデバイダーユニットは、基本はステレオ仕様であるが、設定によりモノラル仕様に変更できる。
この機能は、一番感度の高いドライバーに対して、2つのユニット(のDAC部分)を左・右用にそれぞれモノラル使用することにより、DAC(ES9008)部分でのノイズ低減効果が期待できるというもの。(ウーファー、ツィータはステレオ仕様とすれば、3wayでも4つのユニットを無駄なく使用できるというメリットもある)

3.フィルター回路による遅延は自動的に補正してくれる機能がある。
ディレイの設定については、本来は厳密に測定が必要となるが、これを簡易的に計算して設定してくれるのでこれは取っ掛かりとしては結構ありがたい機能である。

実験1:まずは2WAY+スーパーツィータのセッティング
DF-55 02

当方の環境は2way+スーパーツィータ的な使用方法であるので、4つのユニットを
LOW-L、MID-L、MID-R、LOW-R
というように、すべてモノラル仕様として設定してみた。MIDの高域はスルーとし、スーパーツィータは別途ネットワークにて12KHzのハイパスとする。なお、各アンプの出力レベルは従来と全く変えないようにDF-55のレベル設定を行っている。基本設定が従来と同じなので違和感が少なく、昔日に感じた居心地の悪さやもやっと感はない。ただし、アナログ的な押し出し感は多少薄れ、ちょっとすっきりした感じになるかも。

実験2:オーソドックスな3wayのセッティング
DF-55 03

スーパーツィータとして使用しているユニット(Pioneer PT-R9)を純粋な3wayの高域として使用し、ミッドレンジドライバーとは8KHz~10KHz辺りでクロスさせる。4つのユニットを
LOW、MID-L、MID-R、HIGH
として、ステレオ、モノ混合で使用する。ウーファーのスロープ特性を24dBから48dBに、これに連動して中低域のクロスオーバー周波数を少し上げてみた。高域は暫定で8KHzでのクロスとしてみたが悪くない。う~ん、悪くない、、、いやいやこれはかなり良いかも。

さて、デジタルチャンデバのトライの結果であるが、心配していたS/N悪化、ノイズ等は杞憂であった。アナログチャンデバの代替としても遜色がない、というところまでは設定を追い込めている訳ではないが、S/Nに対する設定を工夫しての使い方であれば、既存のシステム環境を大きく変えずに使うことができるとの結論に至った。また、クロスオーバーやスロープ特性、ディレイの設定などの柔軟性は新しいエンクロージャーとホーンにて改めて練り上げて行くためには必須であるかもしれない。(調整にあれこれ悩むよりは気持ちよく音楽を聴く時間を増やしたい。もう若くない(?)ので、、、)

ただ、究極的に考えると、デジタルソースに対して2度のD/A変換を行うことはやはり避けたいので、
1.デジタル入力(デジタルイコライザー機能とのシームレスな連携が望ましい)
2.6chボリューム(音量調節はやはりリモコンで行いたい)
というシステム構成にもって行きたいと思う。(アナログレコードはやはりA/D、D/A変換を通すこととなるが、これは仕方ないだろう) 結局のところ、6chボリュームをどうするか、これが今後の大きな課題となりそうである。


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