TOP > The Great Ace Attorney Adventures(英語版「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」)解説

■ビリジアン・グリーン:Olive Green
「ビリジアン」が英語の女性名としてはないだろう、ということでの変更か。Oliveはオリーブ色のオリーブであり、女性名でもある。

■パトリック・オマーリ:Roly Beate
■ローラ・オマーリ:Patricia Beate
日本語版が「パトロール」から「パット&ローラ」になったのはほぼ間違いない。英語版も「パトロール」からの命名になるのだが、ローラがパトリシアで、パットがローリーと、日本語版と逆になっている。日本語版に馴染んでいると、少々ややこしい。
Beateは「beat」からで、打音・拍子の意味の他に、「巡査・番人などの受け持ち区域」という意味がある。
日本語版でもパットが担当する地域のことを「管区(ふりがなに『ビート』)」と呼んでいたことを思い出していただきたい。

Soseki
'The early bird catched the worm,' as they say here in
Britain.
Ryunosuke
Yes, I've heard that expression.
Soseki
But I really don't want to catch a worm.
SO I TRIED DESPERATELY NOT TO WAKE UP EARLY!
BUT I WAS SO WORRIED, I COULDN'T CATCH A WINK!
...And now I'm absolutely exhausted as a result.
Ryunosuke
(...Do all literary people take things so...literally?)
ソーセキ
『早起きは三文のトク』‥‥
我が国に、そんなコトワザがあります。
ナルホド
ええ。知ってます。
ぼくも、日本人ですから。
ソーセキ
早起きして“三文”ならば。
いっそ、一瞬たりとも眠らなければ‥‥
なんと。一晩で“一(えん)”ぐらいは
トクしちまう計算になるのであるとッ!
‥‥そんなワケで。現状、
ベラボーにネムい吾輩なのである。
ナルホド
(無罪判決の“価値”は、
 一圓ぐらいの感覚(イメージ)みたいだな‥‥)

日本語版の『早起きは三文のトク』のエピソードは英語版では全面的に変更。
英語版では、『早起きは三文のトク』と同じ意味のことわざ『The early bird catched the worm』が使われている。
Soseki「『The early bird catched the worm』(早起きの鳥は虫を捕まえる)‥‥大英帝国には、そんなコトワザがあります。」
Ryunosuke「ええ、ぼくも聞いたことがあります。」
Soseki「吾輩、虫は触りたくない。ゆえに、早起きするつもりはなかった。しかし、心配のあまり、一睡もできなかった! ‥‥そんなワケで。現状、ベラボーにネムい吾輩なのである。」
Ryunosuke(文士というのは、ことわざを文字通りの意味で受け取ってしまうものなのかな‥‥?)

Soseki
Oh, benevolent Non-Locum Assistant Miss Mikotoba Esquiress...
ソーセキ
ミコトバ法務助士殿‥‥!

SosekiはRyunosukeを「Locum Student Mr Naruhodo Esquire」と呼ぶことになったのだが(日本語版の「ナルホドー留学生代理」に当たる)、Susatoに至っては「Non-Locum Assistant Miss Mikotoba Esquiress」(代理ではない助手のミス・ミコトバ殿)と、必要のない「Non-Locum」(代理ではない)が付いて余計に長ったらしい呼び名になっている。

Gregson
I'm afraid so, My Lord, yes, She's bein' treated at Barts.
グレグソン
はい。現在、(セント)バーソロミュー病院に
収容されています。

(セント)バーソロミュー病院はイギリスのロンドンに実在する病院で、原作ホームズでは、シャーロック・ホームズとワトソンが初めて出会った場所。
Gregsonは「Barts」と呼んでいるが、これは(セント)バーソロミュー病院の略称になる。
聖バーソロミュー病院 - Wikipedia
>聖バーソロミュー病院(せいバーソロミューびょういん)は、ロンドン・スミスフィールドに存在する病院である。正式名称は "The Royal Hospital of St Bartholomew"(王立聖バーソロミュー病院)。また略称の "Barts"(バーツ)の名でも知られている。

Gregson
The closest secondhand bookshop to the accused's
lodging is this place here. Bourbon Books.
グレグソン
被告人の下宿から、最も近所にある
古書店が、この《ブルボン屋》です。

「ブルボン屋」は「Bourbon Books」。
日本語版は「古本」から「ブルボン」という言葉遊びだと思われるが、英語版は日本語版と似たような名前の上、「Bourbon」はお酒の「バーボン(バーボンウイスキー)」のことなので、本とは関係がない店名になってしまっている。

Gregson
What is it, sunshine?
I'm a busy man, you know!
グレグソン
なんだ!
ワシは忙しいのだ!

GregsonがRyunosukeに向かってしばしば「sunshine」と言うのだが、ここでの「sunshine」は、イギリス英語において「トラブルメーカーに向けて使う、皮肉を込めた呼びかけ」になる。

Ryunosuke
Hold it! (Press)
Junor No. 6
Hm? Sorry? 'Fold it', you say?
Fold what?
Ryunosuke
...Um, no no, what I said was 'Hold it!'
ナルホド
待った! (ゆさぶる)
6ゴウ
あ? スマンが、もう一度。 お願いできますかな?
ナルホド
‥‥いえ。まだ
『待った』しか言ってませんケド。

6ゴウことJunor No. 6は耳が遠いため、「Hold it!(待った!)」を、「Fold it(折りたたむ)」に聞き間違えるというネタ。
Junor No. 6「はい? すみません、折りたためっていいました? 何を折りたためって?」

Roly
Constable Roly Beate, SAH! Nothin' to report on the streets, sah.
パット
その名も、パトリック・オマーリ! シティ管区(ビート)の、巡査でありますッ!

「Sah!」は「Sir!」のスラング。

証拠品「The Fourth Book(4冊目の本)」のタイトルは、3DS/スマホ版の本のタイトル「The Adventure of the Lion's Mane」から、「The Lion's Pride」に変更された。
詳しくは、「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」色々ネタ/第4話のネタ 「4冊目の本」の謎(※解決)および、「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」色々ネタ/原作「シャーロック・ホームズ」シリーズからのネタ 第4話も参照していただきたい。

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