TOP > 「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-」攻略 > 色々ネタ

伝声管からヘビ

探偵【その1】で「バラブロック号 壱等船室 第弐号房」の、布の詰まった伝声管を調べると、ホームズが「ここからヘビが侵入してくるのを防ごうとしていたのか‥‥」と推理する。
前作第2話でおなじみ、「まだらの紐」のネタである。

4つの名前

前作の第5話で初披露され、そして今作第5話でとうとう謎が解ける、「英国から日本への極秘通信」中の4人の名前であるが、長編第2作「The Sign of Four(四つの署名)」を彷彿とさせる。
「四つの署名」では、被害者のかたわらに「ある4人の名前」が書かれた紙が残されていた。
その4人の名前がどんな意味で描かれているのかが重要なのは、本作も「四つの署名」も同じ。

バスカビル家の犬

由来については前作の色々ネタも参照。
長編第3作「The hound of the Baskervilles(バスカヴィル家の犬)」のタイトルであり、前作では、アイリスが原稿を書いたものの、ホームズが世間への発表を止めてしまったり、未発表作品なのに寿沙都がタイトルを知っていたりと数々の謎を残していた。
本作では全ての謎が明かされる。

原作小説とは、「犬を使った連続殺人事件」という共通点がある。
また、《プロフェッサー》の妻が身を潜めていた「ダートムア」という場所は、小説「バスカヴィル家の犬」の実際の舞台であり、実在する。
ダートムーア - Wikipedia
(そもそも小説「バスカヴィル家の犬」自体が、ダートムアの伝説に着想を得て描かれた物語である。参照:バスカヴィル家の犬 - Wikipedia

前作第5話で、寿沙都が「バスカビル家の犬」のタイトルを知っていたことが明らかになった時の、ホームズの反応を改めて確認してみてもいい。
この時、ホームズは驚くが何も言わずに通している。
アイリスの書いた「バスカビル家の犬」を『相棒』へ送って、公開の是非を相談したのはホームズである。その時に寿沙都に何かしら知られてしまったと、ホームズは察していたはずだ。だがそういったことを、前作第5話では明かすことはできなかったのである。

大英帝国の女王

裁判の最後の最後でホームズが、バッキンガム宮殿にて大英帝国女王が裁判を傍聴していたことを明かす。
原作では、短編集第4作「His Last Bow(シャーロック・ホームズ最後の挨拶)」に収録された短編「The Adventure of the Bruce-Partington Plans(ブルースパーティントン設計書)」において、国際問題になりかねない重大な事件をホームズが解決した後、ウィンザー城に招かれて「さる高貴な女性」からお礼の品を受け取っている。表現こそぼかしているが、ウィンザー城に居る高貴な女性といったらイギリス女王で間違いない。
他にも、ホームズがイギリス王室の人物から依頼を受けたと思われる、短編集第5作「The Case-Book of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの事件簿)」に収録された短編「The Adventure of the Illustrious Client(高名な依頼人)」もある。
本作では唐突に女王が登場した感が否めないのだが(あえていうのなら、ホームズが言う通り、英国の裁判の開始時、「女王陛下の名のもとに全ての裁判が開かれている」という宣言があることが伏線といえば伏線。前作においてもこの宣言は行われている)、原作ホームズにおいてはこのように、ホームズは女王をはじめ、イギリス王室とも知り合いなのである。

本作において女王が誰なのかは明かされないが、時代背景からしてヴィクトリア女王(統治期間は1837年から1901年)を想定しているのだろう。
ヴィクトリア女王は即位の際にバッキンガム宮殿に移り住んだということと、ホームズの部屋の銃弾の痕跡が「V.R.」(Victoria Regina=ヴィクトリア女王)であることも、これを裏付ける(前作のホームズネタ「射撃の痕跡と暖炉」を参照)。
なお、「女王をはじめとして実在の王族の名前は明かされない」のも、原作ホームズと本作との共通点である。

ヴィクトリア女王は大英帝国絶頂期の女王であり、後の世に「ヴィクトリア朝」という言葉が特別な意味を持って残るほど、イギリスのみならず全世界に影響する絶大な力があった。
首席判事たる『彼』が、最終盤で10年前のことや死神について語った後、「女王陛下のお耳にも入れない」よう要請したのは、女王は彼が恐れるほど強大な力の持ち主であったという意味でもある。
だがそんな女王にすべてが筒抜けであったことを知り、彼は敗北を認めるのである。

ヴィクトリア女王についてや、時代背景については以下をご参照いただきたい。

「さあ。ゲームの始まりだ!(The game is afoot!)」

「共同推理」でも表示されるおなじみのセリフ。詳しい解説は前作の「The game is afoot!」「Elementary.」の項目を御覧いただきたい。
本作では、「共同推理」以外でも随所でホームズのこのセリフを見ることができるが、印象的なのはエンディングの見送り、龍ノ介のモノローグからのホームズのこのセリフ(ボイス付き)ではなかろうか。

番外 仏蘭西(フランス)の怪盗

探偵【その1】で「バラブロック号 壱等船室 第弐号房」の、カベの何か剥がされた跡を調べた時の会話で、ホームズが「最近、仏蘭西(フランス)に出没してるという、なんとかという《怪盗》かもしれない。」という。
19世紀末、フランス、そして怪盗といえば、モーリス・ルブランによる小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズが思い浮かぶところである。
「アルセーヌ・ルパン」シリーズが発表されたのは20世紀初頭からであるが、物語の設定では、ルパンが活躍し始めたのは19世紀末である。
また、モーリス・ルブラン本人が、シャーロック・ホームズとルパンが対決する作品を執筆している(が、諸事情によりシャーロック・ホームズを基にしたパロディキャラとの対決になっている)。
詳細はWikipedia等を。

アルセーヌ・ルパン#シャーロック・ホームズとエルロック・ショルメ - Wikipedia
ルパン対ホームズ - Wikipedia

なお、2021年に大逆転裁判シリーズ1作目と2作目を合わせ、「The Great Ace Attorney Chronicles」というタイトルで英語にローカライズされ発売されることとなったが(※日本語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」にも収録)、アルセーヌ・ルパンシリーズに登場するシャーロック・ホームズのパロディキャラ「Herlock Sholmes」、ワトソンのパロディキャラ「Wilson」がローカライズ名として使われることとなった。
このような変更になったのには、シャーロック・ホームズの海外での著作権問題が関係していると思われる。
元の小説自体はパブリックドメイン扱いで、インターネット上に英語の原文が全部載っているほどであるが、原作を題材にした創作物については、2020年にも以下のような事件が発生している。

女性に優しいシャーロック・ホームズは著作権侵害 遺産管理団体がネトフリ提訴 国際ニュース:AFPBB News

このようないざこざを避ける為、英語版では名前を変更せざるを得なかったのかもしれない。
結果として、逆転裁判シリーズによくある、キャラクターのネーミングでの遊びが実現できたと言えるのかもしれない。

◀前目次次▶