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「あのひと」

探偵【その1】または【その2】で、ホームズの部屋で暖炉を調べると、マントルピースの上の女性の写真を見た寿沙都が「『あのひと』なのでしょうか。ああ、そうなのでしょうか‥‥!」と興奮気味に話す。
ホームズが「あのひと」と呼ぶ女性といえば、短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「A Scandal in Bohemia(ボヘミアの醜聞)」に登場するIrene Adler(アイリーン・アドラー)であろうと思われる。「ボヘミアの醜聞」で彼女に一杯食わされたホームズは、自らへの戒めを込めて、依頼人に「アイリーンの写真」が欲しいと要求し、彼女のことを「the woman(あのひと/あの女性)」と言うようになったのである。

‥‥だが、探偵【その3】以降でアイリスと行動時に暖炉を調べると、この女性の写真の正体が判明し、アイリーン・アドラーとは無関係であることが判明するのである。衝撃的な正体でもあるので一度調べてみて欲しい。

ボスコム渓谷の悲劇

ホームズの部屋にある、アイリスの思いつきが書かれた黒板を調べると「ボスコム渓谷の悲劇」と書かれている。
短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの冒険)」収録の短編「The Boscombe Valley Mystery(ボスコム渓谷の惨劇)」からそのまま取られたものと思われる。
探偵【その1】~【その2】で寿沙都と共に行動している時は、どんな惨劇なのかワクワクする寿沙都の姿が見られるが、探偵【その3】以降でアイリスと共に行動している時は、この惨劇が何だったのかが判明する。本物の短編「ボスコム渓谷の惨劇」とは全く関係なさそうな笑える話である。

55シリングのヴァイオリン

探偵【その1】で、ホームズがヴァイオリン(実はストラディバリウスという名器)を「街はずれの質屋で、価値を知らないのをいいことに55シリングで買いたたいてやった」と言うが、これとほぼ同じエピソードが、原作の短編集第2作「The Memoirs of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの思い出)」に収録された短編「The Cardboard Box(ボール箱)」にある。
「ボール箱」では、ホームズがユダヤ人質屋から、少なくとも500ギニーの値打ちのあるストラディバリウスを55シリングで買い叩いた、と語っている。

金色の三つ球

「ハッチの質屋」で入口付近を調べると、ホームズが、入口にある金色の三つ球は質屋の看板のようなものだと説明してくれるが、なぜ金色の三つ球なのかは知らないようである。
この「金色の三つ球」については、原作中にも言及があり、短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「The Red-Headed League(赤毛組合)」にて、「Three gilt balls(3つの金メッキされた球)」が家にかかっていることから質屋だということがわかる、という話がある。
何故「金色の三つ球」=「質屋」なのかについてだが、聖ニコラウスが貧しい三人の娘たちに3個の黄金の玉を贈って窮状を救うという説話(玉ではなくお金という説話もあり)があり、後にこの話を元にイタリアのロンバルディア出身のユダヤ人の質屋が使い始めた、という説があるようである。

参照:

穴を掘って銀行強盗

探偵【その1】の「共同推理」で、ホームズはエッグ・ベネディクトのことを「質屋の店員になりすまして、質屋から銀行に穴を掘り銀行強盗を目論んでいる」と推理するが、この内容は短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「The Red-Headed League(赤毛組合)」のあらすじとほぼ同じである。

海の底が牡蠣まみれ

探偵【その2】冒頭で、机で何かに没頭しているホームズに話しかけると、「こうしている間にも‥‥海の底は、牡蠣まみれになるのだよ!」と意味不明なことを言い出すが、これは短編集第4作「His Last Bow(シャーロック・ホームズ最後の挨拶)」に収録された短編「The Adventure of the Dying Detective(瀕死の探偵)」にて、瀕死の状態(のフリ)のホームズがうわ言で言った、

I cannot think why the whole bed of the ocean is not one solid mass of oysters, so prolific the creatures seem.
牡蠣にはあんなに繁殖力があるのに、何故海の底は牡蠣の塊で埋め尽くされないのか、ぼくにはわからない。

から取られたネタだと思われる。

黄色い顔

第5話探偵【その3】~探偵【その4】、アイリスと行動時に、「ホームズの部屋」のアイリスのタイプライターを調べると、最近ネタが思いつかないが、新作のタイトルだけは決まっていて、そのタイトルは「黄色い顔」だと言う。
原作の短編集第2作「The Memoirs of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの思い出)」に収録された短編「The Yellow Face(黄色い顔)」から取られたものだと思われる。
龍ノ介は「漱石さんのことを書いてみたら」とアドバイスし、それに対してのアイリスの答えが「ちょうどいいかも、タイトルだけは『黄色い顔』に決まっているから」なのだが‥‥夏目漱石からは、原作の「黄色い顔」のストーリーは何ら連想できそうにないのだが、そこがアイリスの才能なのだろうか。

ハッチ・ウィンディバンク

ハッチの名字「ウィンディバンク」は、原作の短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「A Case Of Identity(花婿失踪事件)」の登場人物、「ジェームズ・ウィンディバンク(James Windibank)」から取られたものだと思われる。

ちなみに、ハッチのフルネームが明らかになるのは、「遺体解剖記録」の中の記載でのみ。
関係者ファイルの名前欄は「ハッチ」のままである。

リージェント街

法廷【その1】終盤で、陪審員5号が「裁判が終わったら、《立体視鏡(ステレオスコープ)》を買いに、リージェント街にくり出しますわッ!」と言うが、リージェント街は「シャーロック・ホームズ」シリーズで度々登場する道の名前で、実在しているショッピング街である。

リージェント・ストリート - Wikipedia

余談になるが、2021年のPS4/NS/Steam「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」発売前には、ハムリーズ横浜店・博多店で謎解きイベント「大逆転裁判 in なぞとも」が開催された。
「大逆転裁判」の謎ときイベントがハムリーズ横浜店&博多店の“なぞとも”で開催 - 4Gamer.net
ハムリーズはイギリス生まれの世界最古の玩具店であり、1号店は1760年にロンドンで生まれ、19世紀末の1881年にはロンドンのリージェント・ストリートに移転している(ハムリーズ公式サイト(英語)より)。
もしかすると、陪審員5号はハムリーズで立体視鏡(ステレオスコープ)を買おうと考えていたのかもしれない‥‥?

「すべての《可能性》が消去されれば。そこに残るのは‥‥《真実》だけだ。」

法廷【その2】のバンジークスの台詞。この後すぐにアイリスが「あたしが書いた、ホームズくんのセリフじゃない!」とツッコミを入れるとおり、これと似たフレーズは、原作にて何度か登場している。「シャーロック・ホームズ」シリーズにおいて有名なフレーズのひとつである。

また、このフレーズは後年様々な作品に引用されており、「逆転裁判3」第5話終盤ではゴドーが似たような台詞を言っている。

ゴドー
まるほどう‥‥
こんなコトバを知ってるかい?
《あり得ないことを、すべて
 消去していけば‥‥》
《最後に残るのは‥‥
 たった1つの“真実”》

ミルバートン

ルバート・クログレイのかつての名字「ミルバートン」は、短編集第3作「The Return of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの帰還)」に収録された短編「The Adventure of Charles Augustus Milverton(恐喝王ミルバートン)」からとられたと思われる。
原作においてはミルバートンは「恐喝王」だが、恐喝された被害者によって復讐され殺害されている。

なお、クログレイの名前である「ルバート」自体、「ミ“ルバート”ン」と、かつての名字中に自身の名前が含まれているという言葉遊びにも注目。

血液を判別する試薬

第5話では、ホームズが作った「血痕に吹き付けて、誰の血液か判別する試薬」が活躍する。
現代の科学知識から推察すると「ABO式血液型などの分類がひと吹きで判別できる、とんでもない試薬?」と考えることができるのだが、現代でもそんな便利なシロモノは存在しない。

原作ホームズでは、長編第1作「A Study in Scarlet(緋色の研究)」の冒頭にて、ホームズが化学実験で「一滴の血液を1リットルの水で希釈しても、ある試薬によって沈殿物が生成されることで血液を検出可能である」という画期的な発見を披露している。
本作ほど優れた技術ではないが、原作のホームズもまた、血痕を検出する技術を発見していたのである。
本作に登場した「血液を判別する試薬」は、原作ホームズのこの件が元ネタになっているのであろう。

なお、法廷【その4】で、バンジークスが「ごく最近。独逸(ドイツ)の科学者が、人間の血液を検出する技術を開発した。」と発言し、血痕について検査を行うことになる。
ドイツ生まれの血液の検出方法といえば、逆転裁判シリーズでもカガク捜査として何度か登場している「ルミノール反応」が思い浮かぶところである。
だが、現実世界においては、1928年にドイツの化学者H. O. Albrechtがルミノール反応の仕組みを発見しており、1937年にはドイツの法医学者Walter Spechtが、犯罪現場での血液の検出にルミノールを適用することについて研究を行っている。
つまり、現実の19世紀末にはルミノール反応の技術は未発見、裁判で証拠として提出できるほど確立もされていないのである。
とはいえ「大逆転裁判」世界は現実世界とそっくりそのまま同一ではないので、「大逆転裁判」世界の19世紀末にはルミノール反応が発見されているか、あるいはルミノール反応ではない何かしら別の技術が完成しているのか、どちらかだろう。本作ではルミノール反応という言葉は登場していない。

バスカビル家の犬

長編第3作「The hound of the Baskervilles(バスカヴィル家の犬)」からとられたと思われる。
本作においてホームズが世間への発表を止めた理由や、未発表作品なのに寿沙都がタイトルを知っていた理由などは不明のまま。

ちなみに、「アイリスの原稿」をアイリスにつきつけると、「ホームズくんの出番がちょっと少なかったから」ホームズは発表してはいけないと言ったのだろうか、とやや冗談っぽく語るが、確かに原作では、中盤あたりまでワトソンが(表面上は)ひとりで頑張る話である。

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