#288 8GbyteのCFを買ったが…

2008/08/24

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 ここ数年の半導体メモリの値下がり具合は著しい。デジタルカメラの普及で一気に需要が伸びたことも影響しているのかも知れないが、特に需要の大きいSDカードなどの場合、数か月ぶりに秋葉原を覗いたら半額になっていた、なんていう勢いで値下がりしている。

 昔ほどには活躍する場面が減ってきたものの、今となっては製造中止となってしまった携帯端末HP200LXには、PCMCIAカードスロットが1つついている。本体の数Mbyte程度のメモリに収まらないデータについては、ここに外部ストレージとしてのPCMCIAカードを挿して使用するという利用の仕方が一般的であった。購入当初にこのスロットに入れて利用していたのは、ダイヤルアップモデムを兼ねた容量10MbyteのPCMCIA型メモリカードで、1998年3月当時27000円もした。

 その後デジカメの普及でコンパクトフラッシュ(CF)が安価に手に入るようになり、2001年8月にLX用に64Mbyteのものを購入した時の価格が約5000円。その後もう少し容量が欲しくなったので、2003年4月に256Mbyteのものを購入した時の価格が約7000円。容量が4倍になっても値段はほとんど変わっていない

 それから現在に至るまで、このCFをずっと使い続けている。もともとLXの母艦的な位置づけとして使っていたPC-9821ノートパソコンにもPCMCIAスロットがついており、データを共有するのが楽にできるということもある。日々記録している日記や出納データやメールなどのデータをこのCFカードに入れて、LXと98ノートで共通して使うというスタイルをずっと続けてきたし、Windowsの利用頻度が高くなってきた今でも、カードリーダを用意してWindows上でも編集できるようにしている。

 そんなわけで、私にとってはこの256MbyteのCFカードが、様々な環境で利用することの可能なもっとも汎用的なメモリということになっている。購入してすでに5年もたっているが、エラーが出ることもなく、紛失することもなく、表面が手垢で汚れているような状態であるが、何事もなく使い続けられている。

 とは言え所詮はただのメモリであるから、愛着があって使い続けているわけではないし、容量の大きいものが安く買えるのであればいつでも買い換えるつもりでいたのだが、実際のところMS-DOSでテキストベースのデータを扱っている分には、容量の不足を感じるわけでもない。

 とは言え、最後に買ってから5年もたっていれば、その間のメモリの値下がり具合はすごいもので、試みに価格comなど眺めていたら、8GbyteのCFが3000円そこそこで売られていたりする。半値以下で容量が32倍。モデム内蔵とは言え、最初に買ったメモリーカードと比べたら、容量は1000倍で価格は10分の1である。

 こういう現実を見ると、またぞろ「こんなに小さくてこんなに高性能」なものを欲しがる例の病気が始まってしまった。256Mbyteが8Gbyteになれば、大容量のデータベースを保存しておくこともできるし、Windows上の容量の大きいOffice系のファイルも集めて、一元的に管理できそうだ。という漠然とした目論見のもとに、つい欲張って8GbyteのCFを買ってしまったのであった。

 が、その迂闊さに気がついたのは、買ってきたCFをフォーマットをしてみようとした時だった。MS-DOSで利用するにはFATでフォーマットする必要があるが、MS-DOS上でもWindows上でも、どうしてもFATでフォーマットできない。そうなのだ、FATはそもそも管理情報が16bitまでしかないため、2Gbyteを超えるドライブには適用できないのであった。2Gbyteを超えるドライブは、FAT32かNTFSでフォーマットしなくてはならない。そして、MS-DOSで利用している98ノートやLXは、当然ながらFATにしか対応していない。従って、8GbyteのCFは使えない、ということになる。これでは互換性のためにCFを買った意味がほとんどない。欲張って8GbyteのCFなどにせず、FATが使える2Gbyteのものにしておけばよかったのだ。

 Windowsでは普通にFAT32のメディアとして利用できるから、初期不良として返品することもできない。まあ、利用範囲は限られるが、正常なメディアとして使えるのだから、これはこれでよしとしよう。たとえば、以前に2万円で買った中古ノートPC(Win98)の増設メディアとして使うか。何しろこのノートPCは全体で1.6GbyteしかHDDの容量がなく、システムやアプリケーションなどで残り600Mbyteほどしか空き容量がない有様だから、このカードの方が5倍も容量があることになる。半導体メモリの容量がちょっと前のHDDの容量よりも大きいのだから、まったくもって呆れてしまう。


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