#220 ノートパソコンを買って売った

2003/05/30

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 昨今のように、パソコンの部品の高性能化がものすごい勢いで進んで行くと、わずか1年前のパソコンであっても途端に陳腐化してしまう。こんなことは今更言うまでもないことだが、あっというまに陳腐化したこれらのパソコンの一部は、中古市場に出まわって来たりするわけである。

 年末のある日、秋葉原を徘徊していると、5年前のモデルとおぼしきF社のB5サイズのノートパソコンが2万円ほどで売っているのを見掛けた。5年前のモデルと言っても、Pentium133MHz、1.6Gbyte、SVGAサイズTFT液晶であるから、載せるOSがWindows98くらいであれば、満足に使えるモデルである。大きさも1kgくらいなので、持ち歩いて使うには手頃である。例えば旅先で撮ったデジカメ画像を保存し閲覧したり、メールのやりとりやWebの参照をするのには役に立ちそうだ。ということで、2万円出して買ってしまった。

 中古であるから、展示されている時に動いているOSは、売る時にはきれいに消去されてしまう。かくして、HDDをまっさらにされたノートパソコンを入手したのであるが、ここからOSをどうやってインストールしたものか。とりあえず使えるのは外付けのFDDで、CD-ROMなどはついていない。PCMCIAカードスロットはあるので、コンパクトフラッシュなどにデータを入れて、そこからHDDにファイルをコピーしてからインストールをしようかとも思ったが、DOSすらない状態ではカードを認識させることもできず。

 結局どうしたかと言うと、インストールに必要なファイル群をアーカイブにして、それをFDに入るくらいの大きさに分割。FD数十枚分のデータをちまちまとHDDにコピーして、中で再結合して解凍するという、途方もなく面倒くさい方法でなんとかインストールした。やれやれ。

 ともあれ、OSが入ってしまえばあとは楽。ネットワークカードを挿してルータにつなぎ、LAN経由でデスクトップのCD-ROMドライブやHDDからコピーしたり、ネットから必要なドライバ類を拾って来たりして、だいたいの環境設定を終える。しかしながら、実際にそこまでやってしまうと、実はこのノートパソコンの出番はあまりないことに気がつく。普段の用途はすべて今のデスクトップで済むし、デジカメに一度に入りきらないほど写真を撮る機会なんて海外旅行くらいしかない。出先でパソコンを使うにも、携帯端末ので十分だし、携帯端末の重さに慣れると、なかなか持ち歩こうという気にはなれないものだ。

 そもそも、中古パソコンにありがちなのだが買ってみたあとで激しく失望したのは、内蔵バッテリがだいぶへたっており、電源ケーブルなしだと5分ほどしか動かないということである。これだと、たとえ持ち歩いてもコンセントのないところでは使えないから、モバイルという小型ノートパソコンの利点があらかた失われてしまう。

 そんなわけで、さしたる利用目的も見つからず、買って早々私の狭いパソコン机に肩身が狭そうに置かれていた中古ノートパソコンだが、正月に実家に持って行ったとき、親父が欲しいと言うので、2万円で売る事にした。なにしろ実家にある親父のノートパソコンは、7年ほど前に弟と私が共同出資で買ったものが流れ流れて来たものだが、バッテリーは馬鹿になって電源ケーブルなしでは動作しないわ、ゲーム用にWindows95を入れたものの486の33MHzでメモリ8Mbyteだから途方もなく遅いわ、挙げ句に液晶のヒンジが壊れて配線がむき出しになるわで、まあ(ゲーム専用機とは言え)よくここまで使い倒したなという感じである。

 というわけで、ほとんど買った時の値段で件のノートパソコンは親父に引き取られることとなった。さすがに買った時の原価で売るのは少し気が引けたので、デジカメ用に買ったPCMCIAのカードリーダとソフトケースもおまけにつけた。というわけで今では新しい親父のゲームマシンとして、更に親父のデジカメの画像ストッカーとして、早くも第2の余生を送っている次第である


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