#266 テスト・オブ・イングリッシュ

2006/11/23

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 12月にマレーシア国へ出張する任を命ぜられた。海外出張は8年ぶりになるが、今回は専門家として先方の国に対し技術的助言を行うという大役なので、いささか荷が重い。そして、そういう立場で行くということで、ついてはその任に足る英語力を持ち合わせているかどうかを、事前に試験するというのであるから更に荷が重い。

 荷が重いが、引き受けたからには、試験を受けましたが落ちましたので行けません、などとなるのは組織としても個人としてもいささかみっともないことである。命を受けてからその英語の試験まで1ヶ月ほどしかないが、最大限努力はせねばなるまい。ということで、しばらくさぼっていた英語の勉強を俄かに再開した次第である。

 英語の能力を測る公開試験としては、日本では昔から英検(実用英語技能検定)が有名であるが、最近ではTOEIC(Test Of English for International Communication)のスコアが、企業や学校などで評価されているようである。能力別に細かく級が分かれ合否判定をする英検と違い、TOEICの場合はリーディングとリスニングのそれぞれで、5〜495点のスコアを算出するという方式を取っている。正答数がそのまま点数になるのではなく、偏差値の考えを導入して点数の算出を行っているとかで、数多くの受験者によって得られたデータにより「国際コミュニケーション力」としての英語力を客観的な指標で表すところが、多くの機関から信頼を得ている理由の一つと考えられる。

 というわけで、実際の試験がこれに準拠しているかどうかは不明だが、とりあえずTOEICの模擬問題が3回分ついている問題集をやってみた。みたのだが、これが結構ハードである。試験はリスニング45分、リーディング75分の計2時間なのだが、それぞれ100問計200問をこれらの時間内に解くのであるから、普段英語に親しんでいない者にとっては、まずもってそのスピードについていくのが精一杯である。特にリスニングは、聞き取れなくても問題は次から次へと進むので、わからないからと言ってパニックに陥るとどんどん傷口が広がる。リーディングも後半は長文をいくつも読まなくてはならないので、前半は30秒で1問のペースで解かなくては全部を解き終わることすら困難である。

 というわけで、別にTOEICの点数を上げるのが目的ではないが、目下のところ、こうした大量の英語をこなすトレーニングを継続中である。リーディングに関しては、Google Newsの米国版のページを見ては、興味のある記事を毎日2〜3個、なるべく辞書なしですばやく読むようにしている。大学時代に使った単語集など、本棚にある英語関連の本を再度読み返して語彙を補強したり、図書館からも解き方の参考になりそうな本をあれこれ借りて読む。リスニングに関しては、海外の映画を字幕なしで見るようにしたり、以前に紹介した「Be,Have,Go!Go!」のスキットや、英語の歌などをMP3プレーヤで聴くようにしたりしている。今の世の中、その気になれば、英語の勉強になるような教材はそこかしこから無料で入手することができるものだ。あとは本人の努力次第というところか。

 俄か勉強ではあるが、眠っている知識を掘り起こしたり、試験の形式に馴れてきたりしたおかげで、最初の頃に比べればTOEICの模擬問題のスコアも80点ほど上がってきた

 で、実際の試験が先日あったのだが、問題の程度はTOEICより易しく、どちらかと言えば語彙や用法を問う問題が多かった。とは言え、やはりかなりの数の問題をこなすと言う点では、TOEIC模擬問題でのトレーニングが役にたったのではないかと思う。ちなみに結果が出るまで1週間ほどかかると言うのだが、実際のところ、結果が出る頃にはすっかり行く準備を整えてないといけないので、事前に能力を測るというのも、どうやら建前になってしまいそうなのであるが。


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