#265 ケータイでデータを携帯

2006/10/21

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 携帯電話については、ここにも何度か書いたことがあるが、私は現在、職場から携帯電話を支給される(持たされる)立場にあり、また一方で、個人の用事で電話をかけたりメールを出したりというようなこともほとんどしなくなってしまったので、2個も携帯電話を持つのが煩わしいし月額基本料を払い続けるのも馬鹿馬鹿しいので、個人の携帯電話は2年ほど前に解約してしまっている。

 職場で支給されている携帯電話は、半年ほど前に更新されたものであるが、何しろ支給品であり個人のモノではないから、音楽を聴いたりとか財布代わりになったりとかそんな機能はもともとない。一応カメラはついているが、デジタルカメラに比べると性能的に劣るので、常用しているわけでもない。もっぱら職場からの電話やメールを受けるためにのみ使っている状況である。

 ところで、この支給携帯電話には、miniSDカードスロットがついていて、16MbyteのminiSDカードが添付されている。主として携帯電話に内蔵された電話帳や送受信メールや撮影した写真や動画をバックアップしておくために使うものであり、そのためだけであれば16Mbyteというのも妥当な分量であろう。

 しかし先日も書いたように、今やminiSDカードやUSBメモリなどの外部メモリの値段はどんどん下がっている。先日秋葉原を徘徊していたら、1GbyteのminiSDカードが2750円で売っていた。どうも私は「こんな小さいものがこんなに高性能」というのに弱いところがあって、特に使用目的があったわけではないのだが、まあSDカードアダプターもついているので、デジタルカメラの予備メモリカードとしても使えるだろうと思って、つい買ってしまった。

 買ってしまったものの、とりあえずのところ使い道は無いのだが、何しろ1Gbyteである。私が10年前に購入し今でも現役で使っているDOSノートパソコンのHDDの3倍以上の容量があるわけで、この中に入っているデータを全部ほおりこんでなお余裕がある容量を持っているわけである。そして携帯電話は、常に持っている(持たされている)デバイスであり、そのデバイスでminiSDを使うことができるのである。携帯電話からminiSDにコピーしたメールや写真を携帯電話で見ることができるのだから、これを利用して、パソコンに保存している様々なデータをminiSDにコピーして、携帯電話で見ることができないだろうか。

 こういったことは、最近出てきたW-ZERO3などのPDA機能つき携帯電話であれば、特別なことを行うことなく簡単にできる話なのだろうが、アテガイブチの携帯電話の貧弱な機能を最大限に活用する方法を考えるのは、なかなか楽しいことである。

 携帯電話内の適当な画像やメールをminiSDにバックアップし、それをパソコンに読ませてみると、基本的にはMS-DOSのファイル形式になっており、各ファイルはシーケンシャルな番号が割り振られ、それを別途テーブルファイルで管理しているようである。テーブルファイルの中身はバイナリファイルだが、書かれている内容をダンプしてみれば、ある程度何が書いてあるのかは想像できる。また、メールや電話帳データなどは、VCard形式のテキストデータになっている。

 まず画像データを移植することを考える。対象とするのは、私がこれまで使ってきた4台のデジタルカメラで撮影した3万枚以上の写真や、スペース確保とバックアップのためにプリント写真をデジタルカメラで撮影保存したもの約4千枚である。携帯電話の小さな液晶画面にあわせて画像を圧縮してサイズを落とし、これらを時期別・イベント別にフォルダに分けて、miniSDにコピーし、テーブルを書き換えるスクリプトを作る。1枚の写真のサイズは携帯電話の解像度にあわせて数kbyteにまで圧縮されているので、3万枚の写真も400Mbyteほどで納まる。

 各種のテキストデータについては、メール形式で保存すれば閲覧できるので、適当な長さに分割しつつ擬似的にメールのような形に整形し、対応するVCard形式に変換してminiSDにコピーする。メールを次々に読む感覚で、長いテキストデータも連続して読むことができるように工夫をこらす。青空文庫などからダウンロードした小説なども比較的楽に読める。

 こうして、私がこれまでに撮影したすべての写真データや、私がこれまで作ったり保存したりしてきたテキストデータのほとんどが、1GbyteのminiSDに入り、携帯電話で閲覧できるようになった。処理速度が速くなく検索機能などもないので、ノートパソコンほどの便利さは無いものの、自分の「記録」がいつでも手元で閲覧できるというのは、ちょっとした快感である。


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