#227 MP3で英会話

2004/02/28

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 前2回でも触れたように、フィリピンからの研修生と英語で話す機会が多くなり、改めてもっと英語力、とりわけ会話力をつけなくてはいかんと思うことしきりな今日この頃である。とは言え、普段日本で日本語オンリーで生活している多くの日本人にとっては、自ら積極的に聞いたり話したりする機会を作らないとなかなか会話力はアップしない。

 もともと日本では、多くの人が少なくとも中学高校の6年間は英語を勉強しているものと思うが、得てしてその習得度を筆記試験という形で試されることが多いため、英語の勉強のほとんどが教科書を読んだり英作文を書いたりと、読み書き重視の英語教育になっている傾向があると思われる。だからこそ、日本人は案外これで、結構複雑な文法の英文も理解できたり、難しい単語を知ってたりするものなのである。だが、それで英会話ができるかというとどうもそれは全く別のことであるらしい。

 我々日本人はよく、go=行く、come=来る、have=持つ、put=置く、of=〜の、in=〜の中に、などというように、英語と日本語の意味を一対一で対応させて憶えていたりする。しかし、実際にはこれらの簡単な単語、とりわけ動詞や前置詞には、非常に多くの意味が含まれており、これらの組み合わせだけで非常に多くのことが表現できるのである。

 実際に、例のフィリピンからの研修生の方が話す言葉をよく聞いてみると、動詞に関してはさほど難しい単語を使っているわけではなく、むしろ私の話す英語の方が「難しい単語を使うねえ」と言われてしまうくらいである。英会話が上達するための秘訣は、難しい単語を多く憶えることではなく、簡単な単語をいかに使いこなせるかということにある。

 実際、ある学者が1万語からなる英語の作品について調べたところ、使われている単語の90%が基本的な単語1000語であったという。また別の調査では、10万語について調べたところ、25%はthe,of,and,to,a,in,that,it,is,Iの10語で、50%はそれ以外の基本70語であったという。つまり、難しい単語や文法を知らなくても、日常会話程度であれば基本的な単語と文法の組み合わせで用が足りるということらしい。

 そんなわけで、最近私がはまっているのが「基本語英会話 Be.Have,Go!Go!(水野光晴著:増進会出版社)」という本である。この本では、16の基本動詞(be, have, do, make, put, take, give, get, come, go, keep, let, see, seem, say, send)と、34の前置詞・副詞(この本では仲介語と呼んでいる、at, in, into, out, out of, before, after, behind, from, to, toward, on, off, for, against, among, between, by, until, till, over, under, up, down, around, about, across, along, through, beyond, of, with, without, as)の組み合わせと、その他名詞等を含めた合計1000種の単語(固有名詞や国際語は含まない)のみで、様々な表現をするというグローバル・イングリッシュというものを薦めている。

 本の構成は、見開き2ページに英文とその日本語訳が7文載せられている。この7文が1日分とされており、6日分で1週間(日曜はお休み)で合計17週・700余りの英文が掲載されている。これらを少しずつ憶えることで、これら基本的な動詞や仲介語の使い方をマスターするというものである。これらの基本的な語の持つニュアンスについての解説もあり、表現に関する日英の発想の違いのようなものを汲み取ることもできる。

 ありがたいことに、この本には例文を読み上げたCDが添付されている。原則として1トラックが1日分となっており、繰り返し耳から聞くことで憶えることができる。これを利用しない手は無い。

 ということで、私はこのCDの内容をパソコンでMP3に変換し、それをソリッドオーディオと呼ばれる小型のメモリプレーヤーに入れて、通勤途中に聞くということをやっている。1週間分くらいのトラックを繰り返し聞き、憶えたら次に進むということを続けて、ようやく一通り聞くことができた。

 なかなか一通り聞いただけでは身についたとは言えないだろうが、今後も繰り返し聞くことで、英語のスキルアップの一助になればいいと思っている。何しろ、幸い今はマンツーマンで英語を話せる機会もあるわけだし、その気になれば、英会話学校などに通う間でもなく、はるかに安上がりに英語力を身につけることができるチャンスはあるのだから


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