#133 携帯端末再考(その2)

2000/09/06

<前目次次>


 携帯電話のテンキーでメールを打つのが大変であるように、携帯端末の場合もう一つネックになるのが文字入力である。パソコンなどの場合、テキストを入力する際に最も効率の良いのはキーボードであろうと以前に考察したが、快適に入力できるためには手の大きさなどを考慮に入れたある程度の大きさのキーボードが必要になってしまい、多くの場合は携帯端末のサイズと相入れないものになってしまう。

 キーボードのない携帯端末の場合、別売オプションとしてQWERTY配列のキーボードを接続して入力できるような機種もある。頻繁にメールを書く場合などには有用かも知れないが、いちいちそれを携帯する時点ですでに携帯端末の携帯性が損なわれる気がしてならない。

 文字入力のもう一つの選択肢としては、スタイラスペンという小さいスティックを使って、画面に書いた文字を認識させるというペン入力方式がある。人間が成長の早い段階で習得する「手書き」という方法を用いるため、直感的であり便利であるが、画数や総字数の多い漢字までサポートするとなると、個人個人の癖による揺れをどこまで吸収できるかということが課題となるため、100%完全なものはなかなか難しい。また慣れてくると筆記速度が認識速度を上回ってしまい、かえってもどかしく感じる場合もあろう。あと細かいことだが、スタイラスペンをどこかに紛失しないようにしなくてはならない。

 携帯端末としてその存在を無視できないのが、SHARPの開発したザウルスシリーズであろう。PIMとしての機能はもちろんのこと、早くから認識率の高いペン入力機能を実現し、デジタルカメラやボイスレコーダやインターネット接続など、時代の流行に合わせて様々なオプション機能を積極的に加えている。ただ一時期のカラーザウルスなどのシリーズは、あれもこれもと機能を加えるにつれ、本体も大きくなり、携帯端末で最も大事な携帯性や連続使用時間が失われてしまったのが残念である。初めにも述べたとおり、携帯端末は何でもできることが重要なのではなく、限られたサイズと機能の中で何を捨て何を選ぶかが重要なのである。

 かつてMicrosoftは、WindowsCEというOSを開発し、携帯端末市場に乗り出してきた。これが製品化されたものがCASIOのカシオペアや、Hewlett Packard社のJornadaシリーズなどである。ただ、個人的にはVer.2までのWindowsCE機にはどうも食指が動かなかった。携帯端末上で動かすにはWindowsCEというOSはまだ重く、そのくせCE用のWordやExcelはWindows9x上で動くそれらとの互換性がほとんどない(そもそもWordやExcelなんてあまり使わない)など、Windows9xシリーズ同様、まだまだ数多くの問題を抱えている。フルキーボードを備えているのでそれほど小さくないため、携帯するにはやや重く、その割に機能的にも不満足な中途半端なものになっている気がする。それならばまだ小型のノートパソコンの方が使えるように思えたのである。

 確かに、いつも使っているパソコンと同程度の機能を期待するのならば、いっそノートパソコンにしてしまった方がいいという話もある。究極的には、それをメインマシンにして、いつでもどこでも携帯する、というのも選択肢の一つだろう。ただノートパソコンの場合は、バッテリーの持続時間などにまだ不安があるし、画面の大きさにも限界があるし、最近は軽量化に走る反面、強度的な不安も残る。屋外で使う場合は、うっかり落としたりどこかにぶつけたりという事故はつきものだ。一度落としたくらいで故障してしまうようなものはあまり頻繁に持ち歩くべきものでもないだろう。

 というわけで、結局なかなかコレといった選択肢が見つからないのであるが、そんな中でも次回は、気になる携帯端末の存在をピックアップしてみることにする。


<前目次次>