#088 引っ越した

1999/10/29

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 理由は、私が結婚したからである。

 結婚して世帯を持つようになると、国家公務員の場合、通常は独身宿舎もしくは単身宿舎から、世帯用宿舎に移ることが出来る。もちろん二人で住むわけであるから、前者よりも後者の方が広い。私の住む筑波の場合、宿舎事情は比較的恵まれており、私の場合も、二人で住むにはもったいないくらい広く、しかも比較的市の中心街に近くて便利な宿舎に入ることができた。

 新しい宿舎が決まれば、古い宿舎から引っ越す準備を始めなくてはならない。家電に関して言えば、一人暮らしを長くしているので、結婚にあたり新たに買い揃える必要のあるものはあまりない。ちなみに私は家電の箱や緩衝材は、引っ越す時の事を考えて、原則としてすべて保管してある。 もちろんそのまま保管するとかなり場所を取られることになるので、大きい箱の中に小さい箱を入れたりするなど、ロシアの民芸品のような技を使ってなるべくコンパクトに箱を保管している。また本棚や机と言った類ものも、なるべく分解組み立ての可能なものを購入している。借り住まいの生活を続けている以上、引っ越しの際に便利でコンパクトにするための備えは大事なことである。

 結婚に際して、職場の人達の有志がお祝い金を集めてくれた。何か買って送りたいので希望のものがあれば言ってほしいとのことである。そこで、とりあえず更新が必要ですぐに使うことになる冷蔵庫とオーブンレンジを買ってもらうことにした。早速家電量販店におもむき、どんな商品を買ってもらうかあれこれ見ることにする。こういう家電ものを選ぶ私は、いつもより生き生きして見えると妻は言う。

 昔の冷蔵庫は、冷却の構造上からか、上が冷凍室で下が冷蔵室という形と相場が決まっていたものだが、最近の冷蔵庫は例外なく上の大きい扉の方が冷蔵室になっている。冷凍室や野菜室のほかチルドルームだのなんだのと細かい室がついているものもあるが、あんまり細かく分れているのも使い勝手がいいようには思えなかったので、3ドアのシンプルなものにした。宿舎のスペースにも納まるよう、なるべく省スペースのものを選んだ結果、SH*RP製の両開きの345リットルのものにした。

 オーブンレンジについては、ワンタッチクッキングボタンやら何やらがいっぱいついているものが多いのだが、ボタンがたくさんあってもあまり使わない気がする。主に使う妻の意見を重視して、オーブンの温度調節が効き、庫内が広く、角皿を中段に置けるタイプのものを選んだ。冷蔵庫と合わせても集ったお祝い金で充分買える範囲であり、残金はお祝い金として頂いた。品物は引っ越し当日に新しい宿舎に届くと言う。ありがたい話である。

 ということで引っ越し当日。この際古い本やら雑貨やらを大量に処分したりした甲斐もあって、私の荷物は2tトラックにちょうど納まった。新しい宿舎までは、前の宿舎から自転車で行っても約15分ほどで着く。引っ越しは、同僚の手伝いもあってあっと言う間に終わってしまった。その日の午後には、妻の家から送られて来た婚礼家具や新しい布団や、先に書いたお祝いの冷蔵庫やオーブンレンジなどが届き、私が運び入れた荷物よりもたくさん届いた程である。それでも、家が広くなっただけあって、ほとんど片付けなくても寝るだけのスペースはある。快適快適。

 ただ残念なことに、新しい宿舎に移ったことによって、今まで参加していた「CATV高度化計画実証実験」は終了せざるを得なくなり、インターネット使い放題の環境はなくなってしまった。従って、このページの更新も自宅から手軽に行うことが難しくなってしまった。まあファイルのアップロードだけなら接続時間は短くてもいいので、ダイヤルアップでもあまり不自由はないのだが、自宅で自由にWebを徘徊できたあの便利な生活に慣れてしまうと、それがない生活はやはり不便に感じてしまう。もっとも、結婚してからもそんなものにだらだらとはまっていたのでは、夫婦生活にも差し障りがある可能性があるので、かえって使えなくなってしまった方が良かったのかも知れない。

 その後、新しい宿舎での荷解きもだいたい終えて、徐々に部屋も片付きはじめたのだが、悩ましいのがコンセント数の不足である。特に家電が集中する私の部屋や台所は、コンセント数が圧倒的に不足しており、消費電力なども考えながら、テーブルタップや二股・三股コンセントなどで数を増やして対応しなくてはならない。

 また、新しい宿舎も集合住宅の1階になってしまったため、湿気との闘いは今後も続くことが予想される。特に今度は部屋も広いため、除湿機や換気扇をフル回転して湿気に対抗する必要がありそうである。


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