#007 自宅に専用線が来た

1998/08/12

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 さんざん引っ張ってきた、私を再びページ作りに引き込ませる最初のきっかけは、1枚の封書から始まった。

「件名:CATV高度化計画実証実験」

 私の住むつくば市では、いわゆるケーブルテレビが普及しており、私の住む公務員宿舎もケーブルテレビの線が入ってきている。そのケーブルテレビの専用線を使ったLANを通してのインターネット利用実験を、昨年(1997年)秋から、私の住む地区の住民から希望者を募り行うという知らせがあった。つまり、希望してそのモニターに選ばれれば、必要な装置を貸し出し、自宅でインターネットを利用できるようにするというのである。

 実験というのがどんなものかは良くは知らんが、私はもちろん、希望する旨の回答を返送した。だが第1次実験の募集選考には落選してしまった。しかしその後、そんなことがあったことも忘れかけていた翌年の5月に、第2次実験の選考で選ばれたという通知が来たのである。それが冒頭の「件名:CATV高度化計画実証実験」という通知である。

 選ばれたことは大変うれしいことであったのだが、一つ重大な問題があった。それは、その当時私はパソコンを持っていなかったのである。と言うか正確に言うと、Webを閲覧することのできるパソコンを持っていなかったのである。希望調査表に所有パソコンを書く欄もあったのだが、そこには「当たったら購入予定」とか書いていたのだ。にもかかわらず、まさか本当に当たってしまうとは。

 一瞬どうしようかとも思ったのだが、折角の機会を逃すことはない。OKの回答をしたところ、近日中に工事に伺うということなので、さしあたり、職場で誰も見向きもしなくなったかろうじてWindowsの動く古いノートパソコンを一時拝借して、接続工事に間に合わせた。

 果たして5月の下旬のある日、工事のために4人くらい人がやってきて、1時間ほどの作業でケーブルモデムやブースターをとりつけ、あっけなく自宅に専用線が引かれた。あっけないほど簡単である。ほんまかいな。

 職場から持ってきたノートパソコンの設定をし直し、10base-Tのケーブルをつないでみると、おお!職場で見ていたWebのあのページもこのページも、職場とほとんど同じスピードで閲覧できる!

 ちなみにモニターの期間は翌年の3月まで。その間ケーブルモデムやブースターは無償で貸し出してくれ、ネットワークボードについても1万円を上限に購入費を出してくれるとのこと。そして実験期間中は回線使用料はタダ。利用できるのは、なんと1.5Mbpsの専用線。なんともまあ、日本中に何十万人いるか知れない通常電話回線やISDNでインターネットを利用している人たちからは石でもぶつけられそうなうらやましい環境になってしまったのである。

 しかし、いつまでも職場のパソコンを使ってインターネットを利用しているわけにもいかない。うーむ。いよいよ数十枚の大枚をはたいてパソコンを買うときが来たか、などと考えていたところ、ほどなくして第2の転機がやってきたのであった。(続く。


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